8 帰りの道で

文字数 586文字

 塔を出て、すでに数日たった。
 リダンは、今回の旅でわかったことを、もう一度考えてみた。
 まず、”キーゴン”とは、ハラルドの塔に住むキリス・ギーのことであること。そして、キリス・ギーとは別に、もう一つのキーゴンが、昔の姿のまま、べつの場所に生き残っていること。
 次に、ルウィンラーナの北、ルーンの木があるという方角に、ニンゲンというものがいるらしいこと。
 これだけわかれば、たいしたものだ。
 リダンは自信にあふれ、足取りも軽くなった。旅行者として、立派なことをしたのだ。
 
 旅が進むにつれ、リダンの心は、あることにとらわれた。
 それは、ロームジィ館長の置き手紙のことだった。リダンは、そこに書かれていた警告を思い出してしまったのだ。
「第二の旅行者が旅から帰れば、その日のうちに消える」という、恐ろしい予言だった。
 リダンは、苦しんだ。消えたくなかった。でも、この旅でわかったことを、ルウィンラーナのみんなに知らせなければならない。
 彼は、自分の心がおかしくならないよう、気をつけた。もし、消えなかったら。それは、とてもいいことだ。でも、消えてしまったら。それは、考えないようにした。
 
 いよいよルウィンラーナに近づいた時、彼は歩くのをやめた。
 夜だったからだ。もし帰った日に消えるなら、朝早く帰った方が、残り時間が長いはずだ、そう思ったのだ。
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登場人物紹介

リダン|大陸の旅人

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