元冒険者、貴族社会の内情を知る

文字数 727文字

「そりゃ、どういう事だ?」
「ミラーゼ嬢のお父さん、エルヴィル伯爵って相当有能なんだけど不正とかを厳しく取り締まっているんだよ。これって、なれ合いが当たり前の貴族社会では相当珍しい事で王の信頼が厚いんだけど他の貴族からしてみたら目の上のたんこぶ。そこに目を付けたのがランデス伯爵。まぁ、王太子に根も葉もない事を色々吹き込んだ訳。」
「なんで、王太子なんだ? 国王に言えばいいんじゃないか? 婚約破棄をする為にはいろんな手続きが必要なんだろ?」
「国王はエルヴィル伯爵を信頼している、それと同時に王太子について甘いんだよ。だから、王太子がミラーゼ嬢との婚約破棄したい、と言えば聞く、と思うよ。」
「それでいいのかよ……。」
 それって八方美人なんじゃないか?
 あっちもこっちも立てたらいずれは色々問題が起きるだろう。
「王太子、ってどういう人物なんだ?」
 その質問にミラーゼが言いにくそうに答えた。
「その……、あまり優秀な方ではありません。私は婚約者として色々言ってきましたが聞き入れてもらえず……。」
「あぁ、我儘て言う事か。」
 典型的なお坊ちゃんタイプて言う事か。
 それでいてミラーゼの事も煩く思っていただろう。
 それでミラーゼよりもシルビアていう令嬢を取った、と言う事か。
 どんな世界でも足を引っ張り合いて言うのはあるんだな。
「大変な世界にいたんだなぁ、ミラーゼ。」
「そうですね……、それが当たり前だった、という思いがありますけど。でも、他人から見たらおかしいですよね。」
「まぁ、俺は別にこの国を大国にしようと思っていないし、今の話を聞いたら身分なんて必要ないじゃないか、て思う。」
 この国では身分、ていうか貴族制度は無しだな。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み