第8話 あらあら

文字数 795文字

 今朝ラジオで、楽天の三木谷さんがCNNで「オリンピックは自殺行為」 だと発言した。ソフトバンクの孫さんも反対している。とうとう財界トップクラスの人たちが、煮え切らない政府に引導を渡した。おそらく、多くの国民感情よりも、響くだろう。

 半世紀前、私が小学生だったころ、21世紀のイメージは明るい未来だった。それなのに蓋を開けたら、科学の発展どころか、アマビエ様にお願いしているなんて。誰も想像できなかったはずだ。先人の知恵は衰えを知らない。

 私は寺の孫だった。母方の実家。クルマ1台がやっと通れる山門を抜けると、真正面に建物の中央が見える。ものごころ着いたときに祖父は、アラ還くらいだったように思う。剃髪(ていはつ)している頭は数日に1度のバリカンだったようで、短めのゴマ塩。私の記憶では、しっかりお爺ちゃんだ。今の私がほぼ同年齢。私、お婆ちゃんに見える?(鏡の前で自問)

 伴侶であるお婆ちゃんは、檀家の人に親しまれ、墓参りを終えた客人にお茶を出しながら、長い時間おしゃべりしていたっけ。今、思えば、寺の雑事や家事もあっただろうに、どうやって回していたのか。ときどき、お爺ちゃんがカリカリしていたが、今、ようやく腑に落ちた感あり。

 お婆ちゃんは、いつも忙しそうだった。ある日、訪ねると体調を崩して、横になっていた。熱があるらしく、目を閉じて眠っている。
「えっ⁈」
なんと、両方のこめかみに梅干し。すわ、流血かと思うくらいの大粒だ。熱のあるときには効くらしい。恐るべし、梅肉パワー。そして、民間療法。みなさま、ご存知?
 
 私には、かかりつけの医師がいる。お世話になり3年ほど。初老の男性だ。私の勝手な思い込みだが、医師は初老くらいが安心する。先日も、コロナではない微熱で病院へ行った。待合室に医師免許が飾ってあり、読んでみた。
そこには、番号、名前、生年月日…… せいねんがっぴ……

 私より、1才年下だった。
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