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文字数 506文字

 くじゃくの王さまのお城は、丘の上にあります。
 王さまは毎朝、お城のバルコニーに立って、尾羽をひろげます。
 王さまの尾羽は、お天気によって、色が変わるのです。

「やあ、きょうは、オレンジ色だ。晴れて暑くなるぞ」
 丘のふもとで、鹿がさけびました。
「王さま、ばんざい。ばんざい、王さま」
 みんな、くちぐちにさけびながら、出かけていきます。野ねずみは、草の実をあつめに。はちどりは、花のみつをすいに。

 お日さまは、高くのぼり、じりじりと、照りつけてきます。
 くじゃくの王さまは、暑いのをがまんして、じっと立っています。尾羽の色は、オレンジ色から、濃い赤に変わってきました。
「冷たい水が、飲みたいなあ。ほんのひと口でいいから」
 王さまは、おもいました。
 けれども、だれも、王さまの苦しさに、気がついてくれません。

「ああ、わたしも、ふつうの鳥になりたい。
 泉まで飛んでいって、おもうぞんぶん、水が飲みたい。
 こんな尾羽、なければいいのに」

 王さまは、じぶんの尾羽を、くちばしで、引きぬこうとしました。
「痛い!」
 一枚ぬいただけで、尾羽のつけねには、血がにじんできました。

 王さまは、涙をこらえて、立ちつづけることにしました。
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