第12話

文字数 496文字

 しっかし暑いのはキツいな。
 夏は大好きだけど、こう暑いと…。
 でも夏は暑いんだよな、今も昔も。

 家人から、一昨日か、悲しい報せを聞いた。
 彼女は庭園で受付のパート勤めをしているのだが、「鹿がいるよ」と外国人観光客から言われたという。
 庭園に鹿! 植物が食べられてしまう。
 その教えられたところへ行くと、お母さん鹿。
 だが、その横に、ああ、産まれたばかりの赤ちゃん鹿が。
 赤ちゃん、もう旅立っていたそうだ。

 キツい。お母さん鹿は、ずっと子どものそばを離れようとしない。
 どうしてこうなったのか分からない。
 そしてカラスや鷹みたいな鳥が、やっぱり寄ってくる。

 何日も、お母さん鹿、そこにいたらしい。

 家人が鹿愛護センターに連絡し、やっと来たセンター員。
 が、その場に行くと、何もなくなっていたという。
 鷲みたいなでかい鳥も来るし、タヌキみたいなのも出るらしいから、かれらが「持って行った」らしいのだ。

 そう、目に見えないだけで、自然界、きびしい。
 こんなこと、ぼくらが知らないだけで。
 これが「自然」なのだ。

 しかしお母さん鹿の気持ちをおもうと、やりきれない。
 でもこれが自然なんだ。

 あかん…
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