(四)-4(了)

文字数 233文字

「付き合ってくれ!」
 そう大声を張り上げて頭を下げるこの子に、周囲の客たちの視線が集まった。
「ちょっと! 大きい声出さないの!」
 右手を引っ込めつつ、私は声のトーンを低くして怒った。
 加島が頭を下げたまま「す、すみません」と声を小さくして言った。
「それに『お前』じゃないでしょ。大人の女性に向かって」
 私のその言葉に一瞬顔を上げたが、すぐにまた頭を下ろして加島は「すみません」と頭を下げた。
 その素直なところがかわいく感じられて、私の胸が少しだけきゅんとした。

(了)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み