第90話 間接強制決定に対する執行抗告申立事件

文字数 2,166文字

 平成二十五年九月二日、間接強制決定に対する執行抗告申立理由書を提出した。※の注釈は、現在の私の思いです。

 表記事件について、抗告人は執行抗告の理由を下記のとおり述べる。

                記

第一
 抗告人(債務者=私)は被抗告人(債権者=妻)に対して、未成年者を引き渡せという審判については、現在不服申立中である。
(一)原審では、未成年者の引き渡しの審判では、証拠調べを一切していない点が問題である。
 保全処分事件について、本件の審判官と同一人が、仮処分の決定を下したあと、本案事件では、抗告人は再三にわたって、子の引渡しという子供の人格にかかわるものであることから、子供の養育状況、環境調査、子供の意思の聴き取りなど、調査官の調査を申請していたものである。しかるに、この点一切無視され、仮処分と同じ判断をするに終わった。
※事実は、一切無視。証拠調べをしないどころか、母親を監護権者にするために、調査官は公然と嘘を書く。

(二)子供の意思を尊重すべきであり、子供の意思表示が端的に示されるものとして、代理人弁護士は、今回、本案事件において、子供の最近の様子を撮ったDVDを証拠として提出している。
 子供の生活環境を動画にしたものである。話しかけているのは子供の祖父の姉であり、日頃から懐いており自然な発言が期待できるものである。動画を見てもらえば、一目瞭然であるが、子供が生活する環境としては申し分ないことがうかがえる。
 動画を見てもらえば、一目瞭然であるが、子供が生活する環境としては申し分ないことがうかがえる。そして最も特徴的なことは、子供は、はっきりと自己主張している点である。
「お父さんとずっといっしょにいたい、お母さんとは、会いたくない。いやー。御飯たべられない」とはっきり意思表示している。かような子供の意思表示を尊重するのが、子供の福祉の観点から重要ではないだろうか。
 もしかような状況にかかわらず、無理やり子供を今の環境から引き離し、嫌がる環境に押しつけるならば、子供の今後の精神的発達にとって重大な影響を与えることは容易に想像できるところである。
 この動画の信憑性について疑問があるのであれば、公平な立場の調査官の調査で、現状の把握をすべきである。
※裁判官の意思に忠実に従うだけで、調査官に公平性を求めることは不可能だった。もちろん、二度目の調査はない。「どうしても娘を手元に置いておきたい」という私のエゴはなく、私が世話をして、私に懐いてしまった娘本人の思いを司法によって踏みにじられるほど、つらいものはなかった。

(三)子供の人権(憲法二十二条 居住移転の自由)という視点も重要である。たとえ三歳とはいえ、明確に父親のもとにいたいと子供は主張している。子供人権から、引き渡せという命令は、憲法違反にもなりうる案件である。
※裁判所が憲法に違反しても問題にはならない。法を司る者の特権なのだろう。

(四)御庁においては、今一度調査官調査を実施し、慎重な審理を上申するものである。
※ただ一度の調査のみで、調査官は娘の意思を確認することはなかった。

第二
 一日あたり金三万円というのは、抗告人(債務者)に奴隷的な拘束を強いるものであり、不合理である。
(一)まずもって間接強制の根拠が、なにゆえに一日三万円なのか、不明である。裁判所は、この合理性を具体的に説明すべきである。被告人(債務者)の所得からみて、一日あたり三万円、年間にして一〇〇〇万円にもなる。この数字は、荒唐無稽な金額である。
 子供を引き渡せという裁判所の命令に従わせるための、いわばお金で強制する金額というのであれば、金額は三万円ということにならないのではないか。逆に、いくら高くてもいいことになるのだろうか。なにゆえに、一日あたり三万円が適正なのか、抗告人には不明である。
※収入を超える額を要求するということは、「父子ともども飢えて死ねばいい」という家裁の判断である。司法は、常軌を逸している。

(二)抗告人は、ビデオの子供の様子でも分かるように、当の子供から、「お父さんといたい。お母さんのところには行きたくない」と言われ、子供の真摯な気持ちを知っているのである。抗告人は、被抗告人に子供を引き渡せば、子供の信頼を裏切ることになると思っている。いわば、殉教者として、子供の養育をしているのである。子供の明確な意思表示を受けて、子供の幸せのために、子供を引き取っている。
 抗告人は、審判の結果如何にかかわらず、子供の幸福のためには、現状がいいと認識しているし、将来子供にとって感謝されるものと確信している。
 将来、抗告の理由が認められる可能性は十分にあるのである。かような状況を踏まえて、間接強制の金額は判断されるべきである。
 かようなことは考慮せずに、一方的に一日あたり三万円の間接強制金額を抗告人に課すことは、いわば抗告人に対して奴隷的拘束を付加するものである(憲法十八条)。

 以上が、執行抗告申立理由書の内容です。上記の主張を、高裁はすべて黙殺し、子供の意思を踏みにじる。
 これが家事審判であり、この国の司法の実態。家事審判を経験した者だけが知る裁判所の真実の姿です。
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