第25話 後日談

文字数 473文字

 美術部の武田は北陸の国立大学の芸術学部に合格した。奇しくも中学で元ハンドボール部だったあの柿沼の出身県だ。
 北陸と言えば、北アルプスに様々な険しくも美しい山々がある。武田はまずはその県の3000m級の神々の連峰にトレイルランニングで挑み、別世界の風景を描ききりたい、と意欲を燃やしている。
 柿沼は体育祭直後にハンドボール部の創設を目指して、立ち上げのための部員勧誘に動き出した。大胆にも2年生の教室にも乗り込んだ。
「自分は2年生の皆さんを先輩として敬意を持って接しさせていただきます。けれども、ハンドボールに関しては僕が指導させていただきます。下級生に教わっても構わない、という気概のある方、是非ともお願いします」
 体育祭のリレーの感動を忘れられない帰宅部の生徒がいたのだろう。まだ規定の人数には届かないが、1年・2年とも、手を挙げてくれる人が何人もいた。
「女子でもいいの?」
と加わってくれたクラスメートもいた。
 とにかく、部が無理なら同好会でも何でも構わない。
‘ハンドボール’の文字をこの合波高校の歴史に刻みたい、と柿沼は胸を高鳴らせていた。
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