夜歩き
文字数 452文字
寝床に横たわりながら
眼を閉じて
記憶と想像力を頼りに夜を歩く
家から外に出て
近所の通り道を散歩する
雑念が入ると道が歪む
風景の輪郭もかすんでしまう
そうするとまた初めからやり直す
夜は長い
眠りにつくまでの空白は長い
何度だってやり直す
眼を閉じて記憶と想像力を研ぎ澄ます
そうして失敗を重ねながら
ようやく駅までたどり着く
そこに来るまで得体のしれない影のような何者かとたびたび出くわすが
雑念によるノイズとして捨て置く
集中を途切らせずに無人の駅のホームで待っていると
音もなく列車が停車する
福音 のようなその方舟 に
喜びをひた隠しながら無表情で乗り込む
列車の扉が閉められる
列車がふたたび動き出す
静かにわたしが拉 し去られる
どこかへわたしが連れ去られていくのを
駅にとどまったまま祝福して見送る
そのあたりで
わたしは気づかずにもう眠っている
これが不眠に悩まされたときの
わたしなりの安眠法である
眼を閉じて
記憶と想像力を頼りに夜を歩く
家から外に出て
近所の通り道を散歩する
雑念が入ると道が歪む
風景の輪郭もかすんでしまう
そうするとまた初めからやり直す
夜は長い
眠りにつくまでの空白は長い
何度だってやり直す
眼を閉じて記憶と想像力を研ぎ澄ます
そうして失敗を重ねながら
ようやく駅までたどり着く
そこに来るまで得体のしれない影のような何者かとたびたび出くわすが
雑念によるノイズとして捨て置く
集中を途切らせずに無人の駅のホームで待っていると
音もなく列車が停車する
喜びをひた隠しながら無表情で乗り込む
列車の扉が閉められる
列車がふたたび動き出す
静かにわたしが
どこかへわたしが連れ去られていくのを
駅にとどまったまま祝福して見送る
そのあたりで
わたしは気づかずにもう眠っている
これが不眠に悩まされたときの
わたしなりの安眠法である