第36話:豪州旅行後、東日本大震災

文字数 1,875文字

 しかし、町は、小さく名所と言われる所を回り終わると、次にやることがない事に気づいて、2週間後、ブリスベンに飛んだ。ゴールドコーストの海辺のコンドミニアムに、滞在し、サウスポート言うエリアで釣りをした。そして、タイを4匹とマナガツオ4匹を釣り、コンドミニアムに持って行き、塩焼きにして食べた。

 その後、列車で1時間半のブリスベンへ行き、シーワールドを見てウオーターパークで遊んで夜に帰って来た。その後、ゴールドコーストからブリスベンへ行き、そこから列車で丸一日かけてケアンズへ移動した。ケアンズに到着、パームコーブのコンドミニアムに2週間滞在。そこで釣りや海で水泳を楽しんで、3月2日に日本に帰ってきた。

 その後、今後の事について話し合うと、既に60歳になって資産もあるので、何か、我々と同年代の人達に対して福祉事業を始めてみないかと石津健之助が提案。具体的に、何をしたら良いのかについて、熱海の芙蓉会の人達や、インターネットなどを調べてみると話した。その後、2011年3月11日、昼食を終え、15時前、テレビを見ている時、大きな地震に襲われた。

 特に、東北地方では、大地震と共に、大きな津波に襲われ、家、車、大勢の人が、洪水に流され命を落としたと、ニュースで知った。もちろん、石津夫妻の熱海のマンションでも大きく揺れ、大きな悲鳴が聞こえたが、石津夫妻も慌ててしまいマンション部屋で、地震が収まるのを待つしかなかった。同じマンション住人達も、パニック状態になり、多くの悲鳴が聞こえた。

 最初、マンションの外に出るべきか、中にいるべきか迷ったが、結局、部屋の中から出なかった。地震が収まった15時過ぎ、電気が切れたが、程なくして電気がついた。そして、テレビをつけると東北沿岸の津波の映像が入ってきて愕然とした。仙台空港の映像では、空港内に、洪水が押し寄せ、屋上に全員で避難している様子が見えた。

 また、家、車、人が流されている様子がテレビに映っていた。その他、生々しい映像や、気仙沼では、石油コンビナートが大火災を起こしてた。その後も、避難している車のが洪水に飲み込まれる映像など信じられないう様な悲惨な映像が流れて、海津夫妻も食い入るように見て、沈み込んでしまった。東京から、帰宅する人達の行列が、大きな国道を埋め尽くしている映像も流されて、呆然と放心状態で夜通しテレビ
を見ていた。

 特に、2011年の東北は季節外れの寒さ。物流網が破壊されれば様々な物資が不足するが、特に寒さを乗り切るための石油が足りなくなるのは大きな問題だった。この問題に対応すべく、関東から東北に石油を送り込む計画が持ち上がったが、トラックだけでは輸送できる量が十分ではない。しかし、関東から東北につながる東北本線は被災して使えない。そこで石油タンク車を普段運行していない迂回ルートで輸送するという前代未聞の計画立てられた。

 2011年3月18日、横浜市の根岸駅から岩手県の盛岡貨物ターミナル駅に向け、タンク貨車18両の石油列車が発車した。最短ルートの東北本線は地震で多くの区間が不通となっていたため、日本海沿岸を北上。 青森から盛岡へと回り込むルートで3月19日、第1便が盛岡に到着した。その後、3月21日から1日2本に増強され、北東北への輸送は一段落した。

 次は、南東北だ。ところが、備蓄タンクのある福島・郡山へはすべての路線が断たれていた。そこでJR東日本は磐越西線の復旧に全力をあげてルートを確保。磐越西線は一部区間の傾斜がきついため、普段は貨物列車が通らない。この南東北への石油輸送について、JR貨物の社内で、かんかんがくがくの議論が巻き起こった。

 2011年3月の中旬、「聞いたか?石油列車が青森を通って盛岡に来るってよ」震災から数日後、臨時石油列車の情報が入った。
「じゃあ、郡山にも来るのかね。東北本線はだめだぜ」
「新潟から磐越西線じゃないのか?まさか!」
運転士仲間の話題はいつしか郡山行き石油列車でもちきりになった。

 佐藤さんは「磐越西線ルートはあり得る」と思った。2004年の中越地震の際、磐越西線で救援物資を被災地に届けた経緯があり、佐藤さんも運転士の一人だった。ただ、石油列車となれば重量も重く、安全面も含めハードルは高いはず。

 急勾配、急カーブが続く磐越西線での大量石油輸送は非現実的に思えた。遠藤さんは国鉄時代、冬の磐越西線で客車を運転中、車輪の空転で動けなくなった嫌な思い出もあった。一方、JR貨物本社では磐越西線での石油輸送計画が決まりそうだった。
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