竹青(11)

文字数 308文字

 一年たって、それはそれはかわいい男の子が生まれました。魚容はその子に、漢産(かんさん)――漢陽の都の子ども、という名まえをつけました。どうして漢陽の子どもなのか、おくさんはふしぎがりましたが、魚容はわらって、
「きれいな名まえだろう」
と、いっただけでした。



 みずうみと、月夜の旅と、桃の花のさく美しい家。
 からすになって飛んだゆめの話を、魚容は、だれにも話しませんでした。あまりにも、たいせつなひみつだったからです。

 そうして、やっぱりお役人の試験には受からず、お金もうけもへたなままでしたが……

 おくさんとなかよく、けんかして、なかなおりして、いつまでも、しあわせにくらしました。





(画:|園英俊 sono hidetoshi)
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