菊の恩返し(7)

文字数 217文字

 家をとび出した才之助は、かきねのまわりを、ぐるぐると歩きまわりました。
「おれは、いったい、何をしているんだろう」
 歩いているうちに、どうにも寒くて、たまらなくなってきました。おまけに、おなかもすいてきました。
 そして、とうとう、わが家の雨戸を、とん、とん、と、かるくたたいたのです。
 すると、雨戸が細くあいて、黄英の笑顔があらわれ、
「おかえりなさい」

 才之助は、はずかしくなりました。
 それからは、ちっとも強情をいわなくなりました。


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