2020年4月10日

文字数 1,282文字

2020年4月10日
 朝、また咳が軽く出るが、8時には収まる。

 太路秀紀記者は、『熊本日日新聞』2020年4月10日16時00分更新「『アマビエ』、厚労省の感染拡大防止アイコンに 熊本ゆかりの妖怪」において、厚労省の啓発事業について次のように述べている。

 新型コロナウイルスの感染拡大防止の鍵を握る若者に行動自粛を呼び掛けようと、厚生労働省は「疫病を沈静化させる」と伝えられる熊本ゆかりの妖怪「アマビエ」を使ったアイコン(記号化された図形)を作成し、7日夜から公開している。若者の一部では「アマビエを国が認めたよ」「厚労省公認の妖怪に出世したね」などと話題になっている。
 アマビエは江戸時代後期に肥後の海中に現れ、「疫病が流行したら自分の姿を絵に描いて人々に見せるように」と言い残して姿を消したと伝わる妖怪。新型コロナの感染が拡大する中、会員制交流サイト(SNS)で話題となり、若者の間で、絵を描いたり、コスプレしたりする動きが広まっている。
 同省のアイコンはアマビエの絵に「知らないうちに、拡[ひろ]めちゃうから」とのメッセージを添え、無症状者や軽症者に感染拡大防止を促している。同省対策本部は採用理由を「ネット上で若者の目に留まりやすく、分かりやすく注意喚起できると判断した」としている。

 前近代の日本において疫病が伝播することは認知されていたが、対策は主に加持祈祷である。『徒然草』203段に次のような儀式が紹介されている。

 勅勘の所に靫ゆき懸かくる作法、今は絶えて、知れる人なし。主上の御悩ごなう、大方、世中の騒がしき時は、五条の天神に靫ゆきを懸けらる。鞍馬に靫の明神といふも、靫懸かけられたりける神なり。看督長の負ひたる靫をその家に懸けられぬれば、人出で入らず。この事絶えて後、今の世には、封を著くることになりにけり。

 天皇が病気になったり、世間に疫病が蔓延したりした時、矢を入れる筒である靫を五条天神にかける習慣がったと兼好は記している。疫病は天神の祟りとされ、それを靭に封じ込め、流行を終息させるための行為である。その家には人の出入りがなくなるのだから、それは今日の自主隔離に相当する。人との接触機会を減らせば、疫病の感染拡大を防げることがこのエピソードの伝える社会的メッセージである。見るべきはこの集合記憶であって、当時の人々が天神の祟りと捉えていたかどうかは必ずしも重要ではない。そう考える時、厚労省の啓発事業がそうした効果をもたらすかははなはだ疑問だ。

 夕食にはジャスミン米のタイ風チキンカレー、セロリのピクルス、キャベツの酢漬け、野菜サラダ、オニオンスープ、食後はコーヒー。屋内ウォーキングは10610歩。都内の新規陽性者数は189人。

参照文献
吉田兼好、『新訂 徒然草』、岩波文庫、1985年
太路秀紀、「『アマビエ』、厚労省の感染拡大防止アイコンに 熊本ゆかりの妖怪」、『熊本日日新聞』、2020年4月10日16時00分更新
https://this.kiji.is/621238539985945697?c=92619697908483575

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