第1話

文字数 834文字

「………!……ぜぇ、」僕は走っていた。肺は痛いし、喉から血の匂いがする、足も痛い、肩も痛い。そんな中、走っていた。



現在時刻 8:57



 始業開始3分前、ギリギリ学校に着くか否かの瀬戸際である。別に寝坊した訳ではない。それなのに何で僕が遅刻ギリギリで大学に走っているかというと…





 朝、家を出て直ぐ、自転車に激突された。前方不注意の自転車に不意打ちで激突され、肩を思い切りアスファルトに叩き付けられた。自転車の主は男子高校生だった。が、彼はスマホに目をやりっぱなしで私に気付かないまま颯爽と通り過ぎていった。先ず其処で数分のタイムロスをした。ここで「先ず」と言ったのには次があるからだ。



 電車に乗るとき、中年サラリーマンに突き飛ばされて脇腹を肘で抉られた。お陰で電車を逃し、また数分のロス。脇腹は未だ痛い。



 最寄り駅から学校迄の道にて、道で座り込んだ老人を見つけて介抱した。 交番まで連れて行った。 交番に着くまでに話を聞いたが、大したことは無いらしい。此処では学校の反対方向に行った為に10分。



そんな風に今朝を回顧している内に学校に着いた。あぁ、身体中が痛い。が、良かった。未だチャイムは鳴っていない。





















『本日は休講です。』教室の張り紙にはそう書いてあった。

























「大方、野郎の自転車に轢かれ、誰かに脇腹をド突かれて、いつもの電車を逃し、満員電車でギッチギチ、途中で誰かを親切心で介抱。そんなこんなで朝から散々な目に遭い、遅刻ギリギリで学校に滑りこみ、挙げ句1限は休講。図書館で暇を潰して来たんだろう。が、敢えて訊こう。どうした?」



 1限の講義の時間が終わり、今は2限の前だ。早めに二限の教室に行き、見知った顔を見つけてその隣に空けてあったスペースに荷物を置いた。



 彼は僕が座るや否や、彼はいきなりそんな風に言った。
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