第10話
文字数 4,494文字
林の正体と言うか、実像を知るきっかけになったのは、偶然…
まさに、偶然のたまものだった…
私自身は、いつものように、自宅付近のコンビニに、出勤するために、急いでいた…
その日は、偶然、用事があって、たまたま、いつもの時間に出勤できなかった…
30分以上、遅れての出勤だった…
私は自分で言うのもなんだが、結構責任感が強い性格…
バイト先で、30分出勤が遅れることで、店に迷惑がかかることを、恐れるというか、嫌がる性格だ…
誰もが、働いてみれば、わかるが、コンビニに限らず、例えば、3人で、やる仕事を2人で、やるとすれば、当然、忙しくなる…
当たり前のことだ…
コンビニは、働いたことのある者ならば、わかるが、結構忙しい…
例えば、あまり売れてないような店でも、やることが、いっぱいあるものだ…
私が、働くコンビニは、お世辞にも、繁盛しているようには、見えなかったし、事実、それほど、売り上げがなかった…
そのせいだろう…
私が、シフトに入る時間は、私を含め、3人が、普通だった…
だから、それなりに忙しい…
要するに、少人数で、店を回しているので、一人欠けると、余計に忙しくなるのだ…
自分でも、それがわかっているものだから、遅刻するのは、気が引けた…
私が、出勤が遅れた分、二人に迷惑をかけるからだ…
だから、私は、ハァーハァーと息を切らせながら、小走りで、店に急いだ…
と、そのときだった…
いかにも、金持ちが乗りそうな、黒塗りの大きなクルマが、目についた…
いわゆる、社用車というか、会社のお偉いさんが、乗るタイプのクルマだ…
正直、私には、あまり縁のないクルマだった(笑)…
私は、珍しいなと、思いながら、なにげなく見ていると、そのクルマが、停まって、中から人が降りた…
それが、なんと、あの林だった!
どういうことだ?
私は、思った…
なぜ、林が?
そう思って、私は、林を凝視した…
と、言いたいところだが、真逆に、慌てて、身を隠した…
なんとなく、見てはいけない光景を見てしまった気がした…
同時に、気付いた…
これまで、なぜ、林が店に一度もやって来たことがないにもかかわらず最近やって来るようになったか?
その理由を考えた。
コンビニは、普通、近くに住む人間か、自分の通う会社や学校が近くにあるなど、要するに、自分の行動するテリトリー内にあるから利用するか、あるいは、主要な幹線道路沿いか、観光地など、普段は、利用しないが、そのときは、近くにあったから、たまたま利用したかのいずれかだ…
そして、私の勤務する店は、当然、観光地でも幹線道路沿いでもない…
つまりは、普段店に出入りするお客様の大半はリピーターであり、いつも見知った顔だった…
どこの誰とも知らないが、大半は、見知った顔だった…
そんな店に、突然、林が現れたのは、おかしい…
ゆえに、普通に考えれば、私を目当てに、店を訪れたと、考えるのが、自然…
自然だ…
だが、だとすると、一体なにが目的で、私の元にやって来たか?
私は考える。
悩む。
普通に考えれば、自分以外の杉崎実業の内定者の動静を探るためと、見ていい…
考えていい…
自分以外の内定者を探るとは、一体、なんのためだ?
私は、考える。
そして、高雄を思った…
高雄は、自分は狙われてると、言っていた…
自分を狙って、この杉崎実業に入社して、高雄に近付き、高雄と結婚して、いずれは、高雄の父親の組織ごと、乗っとる…
そう、ほのめかした…
高雄は、はっきりとは言っていないが、私は、そう解釈した…
ずばり、見抜いた…
そして、何度も言うように、高雄の目的もまた同じ…
私たち五人の中に、有力ヤクザの組長の娘がいて、その娘と結婚して、その父親の組織を吸収合併して、自分の父親のものにしようとしている。
いわば、食うか、食われるかだ!
まさに弱肉強食の世界だ…
まるで、ジェラシックパーク=巨竜の世界だ(笑)…
だが、笑ってばかりでは、いられない…
私自身は、ヤクザの娘でもなんでもないが、林が、そんな行動をしているとなると、やはり、林を警戒する。
いや、
警戒するもなにも、林が、ヤクザの娘じゃないのか?
でなければ、林は一体何者なんだ?
どうして、あんな黒塗りの高級車に乗っているんだ?
私は、考える。
謎がある…
私は、林について、考えていたが、いつまでも、考えているわけには、いかなかった…
コンビニに出勤しなければ、ならないからだ…
私が、
「…おはようございます!…」
と、言って、コンビニに出勤すると、すでに店内にいた林が、チラッと私を見た…
私は、すぐに、林の視線に気付いたが、無視した…
っていうか、どう対応していいか、わからなかった…
林には、謎があり過ぎる…
まさか、あんな高級車に乗って、わざわざ、私のバイト先に現れるなんて?
謎過ぎる!
私は思った。
私は、コンビニの制服に着替えて、店内に出た…
すると、すぐに、私の視界に林の姿が見えた。
林は、雑誌を立ち読みするフリをして、チラチラと、いつ私が店内に、姿を現すか、見張っていた…
私は、いつもなら、すぐにでも、店内の商品を補充するフリをしながら、林の元に行くのだが、その日は、遠慮した。
率直に言って、どう対応していいか、わからなかった…
本当ならば、さっき見た、林が黒塗りの高級車から降りた姿を忘れたフリをして、いつも通り、林に接するのが一番の得策…
いつも気安く、林に話しかけるのに、それをしないのは、かえって怪しまれる…
自分でも、それはわかっているが、どうしても、私は、それが嫌だった…
できなかった…
私が演技派ではない…
あらためて、わかった…
つまりは、嫌いな人間に、いかにも好きなフリをして、接するのは、私には、不可能…
できない…
私が、これまで、22年間生きてきて、そういう人間を間近に見たことが何度かあった…
そして、そのときに思ったことは、人間は案外気づかないものなんだということだった…
陰で、その人間の悪口を言い、真逆に、その人間に接するときは、ニコニコと、愛想がよい…
まるで、親友のように接している…
そして、そういう類の人間は、女に多かった(笑)…
さすがに男で、そこまで露骨に豹変する男は、見たこともなかった…
陰で、悪口を言い触らされる女に、
「…バカ! オマエは、陰で、いつもあの女に悪口を言われてるんだぞ!…」
と、思わず、口走りそうだったことが、一度や二度のことではない…
しかし、言わなかった…
理由は、色々あるが、やはり一番の理由は、悪口を言われている女が、性格に難があり、周囲から嫌われてる場合が多かったからに他ならない(笑)…
つまりは、悪口は言われてる女は、誰からも陰口を叩かれているが、さすがに露骨に、周囲から、嫌われている態度は示されていない…
だから、本人は気付かない場合が多い…
むしろ、嫌っている女の方が、身近に接して、陰で、その女が気付かないことを、バカにしている場合が多かった…
私は、それを思い出した。
そんなことを、考えていると、
「…竹下さん…」
と、林が声をかけた。
私は、驚いたが、あくまで、想定内…
想定内だった…
だが、自分から、なにを言っていいか、わからなかった…
「…今度、うちに遊びに来ない?…」
林が言った。
私は、内心ビックリしたが、
「…いきなり、そんなことを言われても…」
と、返事を濁した。
なぜ、いきなり、林が、そんなことを言うのか、わからなかったからだ…
ずばり目的が、見えなかったからだ…
どうしても、林の正体を考えてしまう…
疑ってしまう…
「…そうね…その通り…」
林は自分自身を納得させるように、呟く。
私は、言うべきかどうか、悩んだが、
「…林さんって、もしかして、お金持ち?…」
と、直球の質問をした。
いずれは、しなければいけないと思ったが、今が言うべき時か、わからない…
だが、つい、口から出てしまった…
「…どうして、そう思うの?…」
「…さっき、黒塗りの高級車から、降りてくるのを、偶然見て…」
私の言葉に、
「…」
と、林は一瞬、絶句したが、
「…そう…」
と、短く呟いた。
「…それを含めて、竹下さんに話したいの?…」
と、林は言った。
私は、悩んだが、
「…スマホのメールで、都合がいい時間を知らせる…」
と、答えた。
これが、一番、無難な答えに思えた。
メールならば、自分の都合のいい時間を知らせられるし、極端な話、嫌ならば、どうしても都合が合わないとか、なんとか言って、断ればいい…
そして、何度も断れば、当然、林も、私が会いたくないんだなと、察するだろう…
我ながら、いい案だった…
「…わかった…」
林は言って、私の前から去った…
それから、私は考えた。
林に会うべきか、否か、考えた。
…会って、どうする?…
いや、そうではない…
…なぜ、会わない?…
いや、
…なぜ会いたくない?…
私は、冷静に考えると、悩む理由がなかった…
断る理由がなかった…
私が林と会ったところで、なにか、私に不利になるとか、そんなことは、なにもない…
私が、林に会いたくない理由は、ずばり嫉妬だ…
林が、金持ちのお嬢様だから、会いたくないのだ
…
冷静に考えると、自分でも、意外な答えというか、本音だった…
と、同時に、恐れがあった…
自分とは、違う世界に住む、お金持ちが、私を自宅に招く。
そこに、どんな目的があるのか、わからない…
どんな罠があるのか、わからない…
高雄は、おそらくヤクザの息子…
その高雄が選んだ五人の女…
冷静に考えれば、いずれもワケありの女に決まっている…
現に、林は、黒塗りの高級車に、乗っていた…
あれは、もしかしたら、ヤクザのクルマではないのか?
私は再びそう思った…
林が金持ちの娘であることは、わかった…
しかし、金持ちであるが、同時にヤクザの娘である可能性も高い…
いや、それはないか?
林がヤクザの娘であれば、私を自宅に招くわけがない…
となると、林はただの金持ちのお嬢様か?
私は、悩んだ…
まさに、偶然のたまものだった…
私自身は、いつものように、自宅付近のコンビニに、出勤するために、急いでいた…
その日は、偶然、用事があって、たまたま、いつもの時間に出勤できなかった…
30分以上、遅れての出勤だった…
私は自分で言うのもなんだが、結構責任感が強い性格…
バイト先で、30分出勤が遅れることで、店に迷惑がかかることを、恐れるというか、嫌がる性格だ…
誰もが、働いてみれば、わかるが、コンビニに限らず、例えば、3人で、やる仕事を2人で、やるとすれば、当然、忙しくなる…
当たり前のことだ…
コンビニは、働いたことのある者ならば、わかるが、結構忙しい…
例えば、あまり売れてないような店でも、やることが、いっぱいあるものだ…
私が、働くコンビニは、お世辞にも、繁盛しているようには、見えなかったし、事実、それほど、売り上げがなかった…
そのせいだろう…
私が、シフトに入る時間は、私を含め、3人が、普通だった…
だから、それなりに忙しい…
要するに、少人数で、店を回しているので、一人欠けると、余計に忙しくなるのだ…
自分でも、それがわかっているものだから、遅刻するのは、気が引けた…
私が、出勤が遅れた分、二人に迷惑をかけるからだ…
だから、私は、ハァーハァーと息を切らせながら、小走りで、店に急いだ…
と、そのときだった…
いかにも、金持ちが乗りそうな、黒塗りの大きなクルマが、目についた…
いわゆる、社用車というか、会社のお偉いさんが、乗るタイプのクルマだ…
正直、私には、あまり縁のないクルマだった(笑)…
私は、珍しいなと、思いながら、なにげなく見ていると、そのクルマが、停まって、中から人が降りた…
それが、なんと、あの林だった!
どういうことだ?
私は、思った…
なぜ、林が?
そう思って、私は、林を凝視した…
と、言いたいところだが、真逆に、慌てて、身を隠した…
なんとなく、見てはいけない光景を見てしまった気がした…
同時に、気付いた…
これまで、なぜ、林が店に一度もやって来たことがないにもかかわらず最近やって来るようになったか?
その理由を考えた。
コンビニは、普通、近くに住む人間か、自分の通う会社や学校が近くにあるなど、要するに、自分の行動するテリトリー内にあるから利用するか、あるいは、主要な幹線道路沿いか、観光地など、普段は、利用しないが、そのときは、近くにあったから、たまたま利用したかのいずれかだ…
そして、私の勤務する店は、当然、観光地でも幹線道路沿いでもない…
つまりは、普段店に出入りするお客様の大半はリピーターであり、いつも見知った顔だった…
どこの誰とも知らないが、大半は、見知った顔だった…
そんな店に、突然、林が現れたのは、おかしい…
ゆえに、普通に考えれば、私を目当てに、店を訪れたと、考えるのが、自然…
自然だ…
だが、だとすると、一体なにが目的で、私の元にやって来たか?
私は考える。
悩む。
普通に考えれば、自分以外の杉崎実業の内定者の動静を探るためと、見ていい…
考えていい…
自分以外の内定者を探るとは、一体、なんのためだ?
私は、考える。
そして、高雄を思った…
高雄は、自分は狙われてると、言っていた…
自分を狙って、この杉崎実業に入社して、高雄に近付き、高雄と結婚して、いずれは、高雄の父親の組織ごと、乗っとる…
そう、ほのめかした…
高雄は、はっきりとは言っていないが、私は、そう解釈した…
ずばり、見抜いた…
そして、何度も言うように、高雄の目的もまた同じ…
私たち五人の中に、有力ヤクザの組長の娘がいて、その娘と結婚して、その父親の組織を吸収合併して、自分の父親のものにしようとしている。
いわば、食うか、食われるかだ!
まさに弱肉強食の世界だ…
まるで、ジェラシックパーク=巨竜の世界だ(笑)…
だが、笑ってばかりでは、いられない…
私自身は、ヤクザの娘でもなんでもないが、林が、そんな行動をしているとなると、やはり、林を警戒する。
いや、
警戒するもなにも、林が、ヤクザの娘じゃないのか?
でなければ、林は一体何者なんだ?
どうして、あんな黒塗りの高級車に乗っているんだ?
私は、考える。
謎がある…
私は、林について、考えていたが、いつまでも、考えているわけには、いかなかった…
コンビニに出勤しなければ、ならないからだ…
私が、
「…おはようございます!…」
と、言って、コンビニに出勤すると、すでに店内にいた林が、チラッと私を見た…
私は、すぐに、林の視線に気付いたが、無視した…
っていうか、どう対応していいか、わからなかった…
林には、謎があり過ぎる…
まさか、あんな高級車に乗って、わざわざ、私のバイト先に現れるなんて?
謎過ぎる!
私は思った。
私は、コンビニの制服に着替えて、店内に出た…
すると、すぐに、私の視界に林の姿が見えた。
林は、雑誌を立ち読みするフリをして、チラチラと、いつ私が店内に、姿を現すか、見張っていた…
私は、いつもなら、すぐにでも、店内の商品を補充するフリをしながら、林の元に行くのだが、その日は、遠慮した。
率直に言って、どう対応していいか、わからなかった…
本当ならば、さっき見た、林が黒塗りの高級車から降りた姿を忘れたフリをして、いつも通り、林に接するのが一番の得策…
いつも気安く、林に話しかけるのに、それをしないのは、かえって怪しまれる…
自分でも、それはわかっているが、どうしても、私は、それが嫌だった…
できなかった…
私が演技派ではない…
あらためて、わかった…
つまりは、嫌いな人間に、いかにも好きなフリをして、接するのは、私には、不可能…
できない…
私が、これまで、22年間生きてきて、そういう人間を間近に見たことが何度かあった…
そして、そのときに思ったことは、人間は案外気づかないものなんだということだった…
陰で、その人間の悪口を言い、真逆に、その人間に接するときは、ニコニコと、愛想がよい…
まるで、親友のように接している…
そして、そういう類の人間は、女に多かった(笑)…
さすがに男で、そこまで露骨に豹変する男は、見たこともなかった…
陰で、悪口を言い触らされる女に、
「…バカ! オマエは、陰で、いつもあの女に悪口を言われてるんだぞ!…」
と、思わず、口走りそうだったことが、一度や二度のことではない…
しかし、言わなかった…
理由は、色々あるが、やはり一番の理由は、悪口を言われている女が、性格に難があり、周囲から嫌われてる場合が多かったからに他ならない(笑)…
つまりは、悪口は言われてる女は、誰からも陰口を叩かれているが、さすがに露骨に、周囲から、嫌われている態度は示されていない…
だから、本人は気付かない場合が多い…
むしろ、嫌っている女の方が、身近に接して、陰で、その女が気付かないことを、バカにしている場合が多かった…
私は、それを思い出した。
そんなことを、考えていると、
「…竹下さん…」
と、林が声をかけた。
私は、驚いたが、あくまで、想定内…
想定内だった…
だが、自分から、なにを言っていいか、わからなかった…
「…今度、うちに遊びに来ない?…」
林が言った。
私は、内心ビックリしたが、
「…いきなり、そんなことを言われても…」
と、返事を濁した。
なぜ、いきなり、林が、そんなことを言うのか、わからなかったからだ…
ずばり目的が、見えなかったからだ…
どうしても、林の正体を考えてしまう…
疑ってしまう…
「…そうね…その通り…」
林は自分自身を納得させるように、呟く。
私は、言うべきかどうか、悩んだが、
「…林さんって、もしかして、お金持ち?…」
と、直球の質問をした。
いずれは、しなければいけないと思ったが、今が言うべき時か、わからない…
だが、つい、口から出てしまった…
「…どうして、そう思うの?…」
「…さっき、黒塗りの高級車から、降りてくるのを、偶然見て…」
私の言葉に、
「…」
と、林は一瞬、絶句したが、
「…そう…」
と、短く呟いた。
「…それを含めて、竹下さんに話したいの?…」
と、林は言った。
私は、悩んだが、
「…スマホのメールで、都合がいい時間を知らせる…」
と、答えた。
これが、一番、無難な答えに思えた。
メールならば、自分の都合のいい時間を知らせられるし、極端な話、嫌ならば、どうしても都合が合わないとか、なんとか言って、断ればいい…
そして、何度も断れば、当然、林も、私が会いたくないんだなと、察するだろう…
我ながら、いい案だった…
「…わかった…」
林は言って、私の前から去った…
それから、私は考えた。
林に会うべきか、否か、考えた。
…会って、どうする?…
いや、そうではない…
…なぜ、会わない?…
いや、
…なぜ会いたくない?…
私は、冷静に考えると、悩む理由がなかった…
断る理由がなかった…
私が林と会ったところで、なにか、私に不利になるとか、そんなことは、なにもない…
私が、林に会いたくない理由は、ずばり嫉妬だ…
林が、金持ちのお嬢様だから、会いたくないのだ
…
冷静に考えると、自分でも、意外な答えというか、本音だった…
と、同時に、恐れがあった…
自分とは、違う世界に住む、お金持ちが、私を自宅に招く。
そこに、どんな目的があるのか、わからない…
どんな罠があるのか、わからない…
高雄は、おそらくヤクザの息子…
その高雄が選んだ五人の女…
冷静に考えれば、いずれもワケありの女に決まっている…
現に、林は、黒塗りの高級車に、乗っていた…
あれは、もしかしたら、ヤクザのクルマではないのか?
私は再びそう思った…
林が金持ちの娘であることは、わかった…
しかし、金持ちであるが、同時にヤクザの娘である可能性も高い…
いや、それはないか?
林がヤクザの娘であれば、私を自宅に招くわけがない…
となると、林はただの金持ちのお嬢様か?
私は、悩んだ…