石ノ杜~Ⅴ
文字数 10,635文字
竜騎士。
岩をも砕く神々の力を
彼らの身体は、蒼き炎 ... 秘めたる焼印で
故国・シャンテを統べる王家と中枢ノ番人を守護した彼等の存在は、
伝説として語り継がれてもいる。
天より降り注いだ災いとして、地上に蔓延しつつある《霧ノ病》を恐れながらも。
祖国を愛し、戦い、死していった者の誇り高き精神は称賛に
歴史家、作家がいたらしいのだ。
遥か昔の出来事である。
彼は
白き石柱の立ち並ぶ回廊が、円形の訓練場をぐるりと囲う。
その際に積まれた敷石に座し。
「 ... ... グウィン!」
名を呼ばれても、聞き流す。
「おい! いい加減に少しは
仮にも親衛隊、隊長を言い付かった竜騎士だろう?」
彼の同期だろうか。
手合いを見守る、年頃の男が目上に対し
その場に居る皆々、良い体格をしているが。
「頼む。いくら面倒でも育ててやらねばならんのだ」
そう言って汗を拭う片手間に、肩を叩き行き過ぎる騎士の言葉すら無視。
彼の冷めた目には、小勢が
代わりに指導を続ける男は溜め息だけして黙る。
「着任前とは言え、今からアレではな ... 」
彼の背後にて、手拭いを首にかけながら言うも
回廊と場内に立つ両者は見合わせ、それぞれ立ち去った。
――― そう ... 私には無理だ。
彼は思う。
騎士になったのは誰かを守るためではない。
ただ、強さを求めていた。
皆、そうあるべきなのだと。
弱い者は死ぬ ... 当然ではないか。
立ち会う相手を探していた見習いは、突然の指導に
「生きたければ力を持て。戦え。殺せ ... 」
教えでも何でもない。
フラリ ... と
目を
「自分は、何も
「この
だから指導してやってんだ。
もう良いから
任命不適切と上に進言するべきか悩むところ。
見習いがザワついているので、まずは止めに入ろうか。
訓練を終えたはずの騎士が、見かね
視界の端に映り込んだ様子に息を呑んで振り向くと、
白い
「
駆け付け
更に、遅れ
「シャンテ
お察し ... ...
大の男が
荒ぶる竜騎士の視線が向く流れ。
少し前から気配を感じてはいたが、聞き捨てならぬと。
彼にも聞こえていたらしいのだ。実に
そわそわとして視線を遮るように立ち、ギュッ と目を閉じて説明を
「あの、申し訳有りません。あいつは、その、地獄耳でして」
「なるほど。
ぁぁぁぁぁ。 それ以上、言っちゃ
はっきり申し上げるべきであった。
後悔しても遅いが。
前後の視線が自分の胸を
すっかりと
その横から、ヒョイッ と覗いた子の瞳を ジッ... と睨むグウィンは同期に
「あれは、何者だ?」
... ... ハァ?
「まさか! お前、ご挨拶にも
式典を介し
顔向けもせず、記憶に
同期もビックリ。
竜騎士の
その時まで
知ろうとも思わなかったのだ。
国の中枢を司る番人の役目さえ。
「フェレンス様 ...
居たたまれず
両者の出会いに立ち会った彼等は、
後に二人が主従の立場を越え、固い絆で結ばれる事など夢にも思わなかっただろう。
「ご心配無く」
彼のもとを訪れたのは、
「
任命を取り下げるよう、元老院や軍部の官僚に言っておきます」
それって、全然、穏便じゃない!!
思ったのは、騎士と見習い達。
フェレンスの去り際に行く手を
グウィンの強さを押して語った。対してフェレンスが何と答えたか。
「彼は、シャンテに忠誠する気が無いようなので」
これまたビックリ。
「そんなはずは!!」
声を荒らげる同期との間に割って入った騎士が、
適性は
納得できるよう説明して欲しいと願った。
ところがフェレンスは彼等を黙らせる。
「彼の誓いは、あくまでも建前。
取り立て断る理由もなく、従っているに過ぎません。
本音は ... 言うまでもないでしょう」
辺りは騒然となった。
記憶ノ番人の言い
そう、フェレンスには予測できたのだ。
あえて告げる事は無かったが。
竜騎士の
誰もが思う。グウィン本人でさえ苦悩した。
それを見抜かれ、周辺共々困惑し。
結果、フェレンスの行動は裏目に出たと言っていい。
彼がフェレンスに対して興味を示し始めたのは、その日からだった。
「国を守る気など
お気付きになられたきっかけを、お教え頂きたい」
「 ... その答えを聞くだけなら、
刀礼の期日繰り上げを願い出るまでもなかったのでは?」
任命の撤回を元老院と掛け合う前に
寄りにも寄より筆頭として前に出る。彼の姿を見たフェレンスは、
人の《心変わり》というものが
どういうつもりなのか問い
「
「任命に応じられたのですから、私の役目については既にご存知でしょう?」
「やはり、中枢の《記憶》とやらから割り出せるものなのでしょうか」
「貴方は何かを失うという事に対し、私の知る者の誰よりも過敏。... 心当たりは?」
だが最後の問いかけを聞いた瞬間。脳裏を
研究者であった両親の事故、後見人の病、親族の行くへ知れず、兄弟の
「貴方は失い過ぎた。自らが力を付けたところで無意味。
他者の不足や不慮までは
守ったところで、どうせ死んでいくのだから極力、関わりたくないのでしょう?」
「 ... ... 仰る通りです」
「ならば
《記憶》は現世を生きる者の意図まで知らせてはくれません。
あくまでも推測でしかない。それと。
魔物も同然なので。貴方に守られる必要など無い。
元老院の議員は、それでも必要と言うのですが ... 」
彼は押し黙って聞いていた。それでいて思うのだ。
魔物も同然って ... 自分で言うか?
すると、じんわり ... 笑いが込み上げる。
話の途中であったにも関わらず、相手の目線が泳いている上、
本来は屈強であろう
フェレンスは
すると終いには、グフッ ... と吹き出し、声に出して笑い始めたので。
胸が
「あははは! はぁ ... いけませんフェレンス様。
ご自分で魔物も同然などと仰っては ... あはははは!」
両者は互いに似たような事を考えていた。
フェレンスにしてみれば、こう。
どれだけ笑うの?
片や彼にしてみれば、こう。
どれだけ自信過剰なの?
「しかも貴方は実際の魔物をご存知ない。違いますか?」
「いいえ。その通りです」
認めたし。実に素直だ。
しかし聞いたところ、記憶が生む魔物との実戦は積んでいるのだとか。
どういう経緯なのか気になる。
次第に話が
番人の住まう
一組の椅子とテーブル、そして
テーブルに積まれた書物は何のために有るのだろう。
聞くと、フェレンスは答えた。
「記憶から読み取る情報は、理解する必要もなく構築されていくだけなので」
自ら考え、記憶から得る情報との差分を埋めてみたいと。
他の番人がどういった存在であるのかは、まだ知らない。
けれども彼は、フェレンスの人間じみた人柄に惹かれていく。
同時に、人間離れした思考に対しても、強く ... 強く ...
竜騎士とは、竜の神々の器となる《魔導兵》の二つ名である。
後に契約を済ませた彼の恐れは、やがて執着へと変貌し。
自由を阻害する王族や元老院に対し嫌悪感を抱くほどに、フェレンスを深く愛した。
人間味を増す番人は、欠陥を生じたと
人として触れ合い、告発したのである。
案の定、シャンテの法官は記憶ノ番人の欠陥を認め、処分を取り決めた。
すると彼は、国を相手に申し出たのだ。
「
さもなくば、祖国であろうとも潰す。
フェレンスを愛するあまり、彼は
後に上院議員の間で、こう噂されたという。
騎士の筆頭でありながら流刑地へと送られた男。
--- 竜騎士、グウィン。
思い起こせば、雪を踏みしめる音が聞こえて来るよう ... ...
北の流刑地は、
かつては乾季を迎えた土地の泉を満たすため、豊富な水を
現在は
白銀の丘より施設内部へと向かい ... 長い 々 石橋を渡る間。
自身も残ると言って伝えた彼は、
契約主の移送を
晴天の雪景色を背景に歩み寄る姿を見つめ、フェレンスは言葉を失うばかり。
やがて迎えた夜は、昼間の静寂を
古びた家具の配置を一々気に掛ける彼は、どこか嬉しそう。
騎士団の筆頭であった黒ノ竜騎士が、部屋の模様替えなんかしているのだ。
こんな彼の姿を見る日が来ようとは ... ...
奇々怪々。
まずは鎧を外してはどうかと思ったので。
ここへ来て、何より先に指摘した。
すると彼は、少しだけ モジモジ としながら言う。
「そうですね ... 外すのを手伝って頂けますか?」
竜騎士の儀礼に
しかし今後は契約主であるフェレンスと二人住まい。
自由、気ままに脱ぎ着可能となるのだ。
元々裕福な家柄だった彼は、それまで家事の一切をした事がない。
全て使用人任せだったそう。野外訓練時も同様。新兵だった頃でさえ。
どうなる事かと思ったが、
本来であれば
なのに彼は本気で心配したらしい。
フェレンスに炊事、洗濯なんてさせようものなら災害が起こりかねないと。
そのため、煮炊きから何から
いつの日にか、あらゆる主婦スキルを身に着けた ... まさかの英雄。
かつてを連想するフェレンスを
そろそろ食事の支度をしようかと荷の山に寄るカーツェルは、
見つめる背に重なって映り込む面影から、思わず視線を
フェレンスは、鼓動の乱れを悟られぬよう ... 振り向き胸を押さえた。
一筋 ... また一筋。
単独、流刑地を訪れた
『要塞を、奪われました ... ...
地上ノ王と
国のあり方に異を唱え、怒りの境地に達した
王族を始め学者と軍が争闘中ですが。他の番人に仕える竜騎士も、
尊の発する血ノ
瞳を閉じても映り込む情景。
それは、
何者かの気配を
----- 私はお使えするお方を喰らいたくないばかりに戦線を離脱 ... ...
祖国の王は... 黒ノ竜騎士が仕える
禁断ノ
〈
寄り添い話を聞いたうえ。一歩、踏み出ると。
上階より飛び
『行かれるおつもりですか?』
『あの方は、地上の
『
『
----- 民もまた、王と
どうか、我々の血で ...
そして ... 我々の抱く未練が、尊の心に開いた穴を通じ
《無垢なる狂気》の
背後にて深々と伏せる竜騎士の
素早く抜き払う剣の一振りで絶ったのも彼。
逃れて来たとは言え、瀕死の状態だったのだ。
「主を失い、愛する者を失い、祖国を失い、なお生き恥を晒すのか ... !
騎士としての誇りを捨て、想いを殺し、責念から逃れ続けねばなぬのか ... !
騎士に伝わる最期ノ信条を叫び、恐れと苦痛から魂を解き放つ。
更に、彼は言う。
「私は貴方を失いたくない!!
どうしても行かれると仰るなら、まず!
私の臆病風をどうにかして頂きたい!!
今、すぐに! さあ ... !!」
歴戦を
けれども、そんな彼だからこそ増して愛おしかった。
だからこそ ... ...
首から血を吹き上げ横たわる
口元に唇を添え、別れを告げたのだ。
それなのに ... ...
捕縛を解いて戦場に現れた彼は、
自らの口で腕の肉を
「そんな ... ... そんな! どうして!? グウィン!!」
フェレンスは叫ぶ。
このまま神化を
例え成さずとも、押し迫る魔物は無慈悲に彼を
打ち砕かれ、無残にも
主である番人の血を
生き
「 フ ェ レ ン ス 様 --- --- --- !! 」
衝撃を受けると同時、実際に呼ばれた気がして瞳を見開く。
荒立つ脈動に呼吸を
するとカーツェルは、振り向き首を傾げる。
チェシャの方を見て考え事でもしているのかと思ったが。
どうも様子がおかしい。
「なぁ。どうかしたか?」
声を掛けてもフェレンスは微動だにしなかった。
しかし、答えはする。
「いいや。あの子も、そろそろ目覚める頃ではないかと ... 」
察した通りの返しだったので、カーツェルは ホッ ... と多めに息を吐いた。
本当はと言うと。
未だ正常には至らず、呼吸は小刻み。
脈を戻すのに集中したかったが。
その時、フェレンスは見てしまったのだ。
もっちもちの尻を上げ、
芋虫。じゃない。 ... チェシャを。
すると不意に声が出た。
「 ... ... あ 」
しかも若干、
「え、何、今の声」
カーツェルでさえ耳慣れず、
「つか、何だアレ。寝ぼけてんの?」
ウニョ、ウニョ、ウニョ、ウニョ。
ローブに包まったままのチェシャが前を横断して行くのに対し、
フェレンスは真顔で小首を
その反応が可笑しくて、 ブハッ!! と、吹き出してしまうカーツェルだったが。
違うだろと。フェレンスからしてみれば、複雑な気分。
けれども、はたと気が付いた。
色々な意味で驚いたせいだろうか。
心拍が戻っていたのだ。
和みの力かもしれない。
そう思うと、救われた心持ちがする。
が、しかし。
寝ぼけ
息を呑み
「いけない! チェシャ!!」
甘い香りに誘われたのだろう。
チェシャが向かう先には、カーツェルが採取してきた果実や木の実が転がっている。
場の空気を読んで
片やフェレンスは、
任せて安心と、思いきや。
ウニョ ウニョ ウニョ ウニョ !!!!
速度を増して猛進する赤毛虫の、速いこと 々 ... ...
先に着いたカーツェルが足元から実を持ち上げても、お構いなしに。
ローブから
「え、ちょ ... ! 待て、おい! 何!?」
ニギニギ、モソモソ、サササササッ ... !!
手を焼くカーツェルを
するとカーツェルは思う。
足、腰、
右手から左手へ、
小脇に足を突っ込まれたうえ移動されるものだから、
それでいて、文句を言っている場合でも無く。
「ぐあ!! やめろ! やめろって! ぶはははは!! フェレンス!! 早く! コイツ ... 」
あぎゃあぁあぁぁぁ!!!!
終いには髪を引っ掴まれ、奇声を発す。
「い ぃぃぃ で で で で !!!!」
フフッ ... と声に出して笑うフェレンスが、
口元を抑えて顔を
腹ぺこチェシャは無心。
力加減も忘れているようなので。
「マジ
助けを
いつぞや同じ思いをした事があるため、気持ちは分かる。
聞いていたフェレンスは、ようやく顔を上げた。
では、ここで。
《 ギャァアァァァ --- !! マジ マジ マジ マジ !! マジ
やれやれ ... ...
仕方なし。歩み寄ったフェレンスに抱え降ろされた
涙目のカーツェルと目が合って、シュッ と両腕を
「 ムゥ ゥゥ... 」
小声で
モゴモゴと波打っているのを見て、カーツェルは苦笑いを浮かべた。
「ああ、泣くな泣くな。今、食わせてやるからさ」
彼の大きな手が頭に乗って、ふわふわな赤毛を
顔を
食べられると知り、
けれども、気掛かり。
先の反応について、
「なぁ、コレ ... 食えなくはないんだろ?」
毒の心配があるなら、初めから
思い
「だが、しかし」
彼は一つだけ付け加えた。
「土地や植物が無害であっても、こればかりは常に警戒する必要がある」
コレって ... ... ?
顔を見合わせたチェシャとカーツェルは次に、
実を手に取り割るフェレンスの手元に目を向け、
彼らは揃いも揃って
見せられた実の中には何と。
虫。 虫。 虫。
鳥肌ものである。
《 キャァアァァァ --- --- --- --- --- !!!! 》
《 ギャアァアァァァ --- --- --- --- --- !!!! 》
絶叫、不可避。
夜風は
吹き飛ぶような勢いで
岩壁に張り付いて泣きそうな顔をする両者と手元を順に見て、フェレンスは
果実や木の実に限った話ではない。
自生する物を口にする場合、土壌、水、風気による変質や虫害を想定して
だが ... ...
人の手が行き届かぬ土地へ踏み入る事がなかったせいだろう。
意識することを忘れていたらしいのだ。
取り上げた例も極端すぎたか。
「そそそそ、そいつはあんまりだ!」
「シャマ、イイコ ! スル、ノ ! ポイ ! ソ、レ !! 」
ドン引きする二人は、捨てろと言って
けれども、そこは落ち着き払って。
荷の山から掘り出されたカトラリーケースを開くフェレンス。
様子を
「つか ... フェレンス? 何してんだ」
カーツェルは ソロリ と
すると彼は答える。
手にしたナイフで、実の中の虫を
「捨てている。虫を」
ポイッ ... ポイポイッ ... と。
言う通りにしてやっているつもりで。
平然と足元に。
ポイッ ... ポイポイッ ... と。
くどいようだが、足元に、次々と。
ウヨウヨ と
地べたに寝るしかないって時に、そんな近くに ポイポイ する?
寝てる間に
耳に入るかもよ?
思い余ったカーツェルも同様に、
「
なんて サラリ と流すフェレンスは気にも
「だったら、初めから外で
それでいて一瞬、口を閉ざすのだ。
何かしら心に引っ掛かったと見受けるも。
あのカーツェルが、黙って言わせる訳はないよねと。
聞いていたところ、案の定。
「ここだって
外
... 」「岩棚の
外
でって言ってんの!!」言ったそばから斬り捨てられている。
馬鹿なの?
いいや。彼は
知っていて
学び取ろうと耳を傾ける友人に対して、ある意味、
だ け ど 。
いつまで、足元の虫を放置するつもりなのかなー。なんてね。
もう、自分でやった方が早い気がしてきたし。
果実と一緒に岩棚の外へ押し出されるフェレンスを横から追い抜き、
細長い ウニョウニョ は数十匹。
見ると背筋が ゾゾッ とするので。
時折、
全ての前処理をする羽目になったフェレンスは、
辛うじて明かりの届く場所にて一人。満天の星空を見上げた。
片や、手頃な
せっせと虫を掃き出すチェシャの後ろ姿に目を向け、微笑む。
気の
箱を
果実の無事な箇所を切り出したところで、そのまま口にする気にはなれないので。
寄生虫や卵の産み付けにも
荷の山の中には、フェレンスが作り置いた符の
要するに、
地面が土であるなら固定も兼ね
風も強くないので、置き石で良い。
一仕事、終えたチェシャはフェレンスのローブに
《 クツクツ ... コトコト ... 》
湯の中で踊る果実の
こんな事もあろうかと、荷の山に忍ばせていた角砂糖が役に立つ頃合い。
小瓶を手にドヤ顔のカーツェルと、
甘い香りに、うっとりとして寝転ぶチェシャ。
そんな二人を横目に捜し物をしていたフェレンスは、
手のひらサイズの小箱を開き、中から黒曜の玉を取り出した。
あらため満天の星空の
薄っすらと背景を透かし。
ゆるりと回転しながら星の輝きを
持ち主に現在地を示す。
手元へと帰り着いたそれを、よく 々 確認したうえ。
水源より、やや南の空を見ると ...
「どうやら、《石ノ
この場から
平野部の森林を行く事になるので、早くても三日は掛かる見通し。
三人連れで一飛びなんて案は、
危険すぎるのだ。
空腹を満たした後。
山になった品々の確認と整理を済ませた頃には、寝息を立てている
そう言えば ... ...
起きる気配がなかった事に関しての推測とやらを、まだ聞いていないのだが。
それについて思い出した時分。
カーツェルは酷く気を