第28話
文字数 456文字
今、僕の前には、僕が想いを寄せている少女が立っている。
雨にまみれて、ひどく寒そうだ。
ただならぬ雰囲気を察した僕は、とりあえず亜希ちゃんに傘を差しだした。亜希ちゃんが受け取って小さく
と呟く。
今急いだらぎりぎり学校には間に合うかもしれない。
だけど、僕の心が、確かにそれを拒否した。
このままじゃ、亜希ちゃん、風邪をひいてしまう。
僕は一秒だけ考えて、すぐに告げた。
亜希ちゃんが小さく呟いて、僕は聞こえなかったから、
と聞き返した。
亜希ちゃんがもう一度言ってくれる。
なあんだ、そんなことか。
当たり前じゃないか。むしろ、何かあったんだろう?僕は、それが気になるんだよ。
そう言いながら、僕は思った。
もしかして、亜希ちゃんも陽菜と一緒なのか?って。