第4話
文字数 1,249文字
学校で久しぶりに樹君と会った。
「唯!」
樹君は私に駆け寄ってきた。
いつものように屋上へ行くと変なことを言われた。
「蘭子のために生きるのはやめて、自分のために生きろよ」
「自分のため?」
私にはその意味がわからなかった。
「俺が連れて行ってやるから、自由になれる場所に」
「自由?」
その言葉も私にはわからない。
「できません」
自由とは蘭子様から離れるということなのだろうか。
「私は蘭子様の」
「それをやめろって」
私が最後まで言葉を口にする前に、私の唇に樹君の唇が重なった。これはなんだったっけ。何かで見た。そうだ。キスというものだ。
キスとはどういう時にするのだったっけ?
「樹君、どうしたのですか?」
よくわからないので聞いてみた。
「唯、俺と一緒に暮らさないか?」
「できません」
「今すぐじゃなくていいからさ。考えて欲しいんだ。蘭子の側にいるのが一番いいのか」
私は樹君が何を言っているのかわからなかった。私は蘭子様のお側にいるのが一番なのに。
帰って蘭子様に報告したら、変な顔をした。
「樹って奴何考えてるのかしら」
蘭子様はしばらく悩んで言った。
「私が話をつけるわ。コピーは気にしないで待ってて」
「はい」
これで良かったんだと思って安心した。
蘭子様が学校から家に帰って来ると、少し怒っているようだった。
「蘭子様? どうなさいましたか?」
「今度から、あなたが学校に行って。私はもう行かないから。邪魔みたいだし」
蘭子様が、そんなことを言うのはおかしい。
「何かあったのですか?」
「ほっといてよ!」
「申し訳ございません」
また蘭子様を怒らせてしまった。私はなんて馬鹿なのだろう。
「ごめん。あなたが悪いんじゃないの。でも、私しばらく学校に行きたくない」
「まさか樹君が何か」
蘭子様に何かなさったのではと思った。
「いいのよ。あなたが気にすることじゃない」
「蘭子様」
「どうしてあなたはコピーと呼ばれても怒らないの?」
私はただのコピーだから、それで十分なのに。
「私は蘭子様のために存在していますので」
「そうじゃなくて、あなたの気持ちよ」
「私の気持ちですか? 私は蘭子様にお仕えできて幸せです」
「嘘言わないで」
蘭子様はまた怒ってしまわれた。どうしてもうまくいかない。
嘘ではないと否定しようとするが、蘭子様は言った。
「和田君の方が良くしてくれるわよ」
樹君の所に行けということなのか。
「蘭子様は私が不要ですか?」
「そうじゃないの。ああ、純子」
「純子?」
急に蘭子様が言った名前に心当たりはなかった。
「あなたはまだ2歳なんだものね。わからなくて当然だわ」
生まれてから2年経ったということだろうか。
「勉強不足でした。蘭子様の気持ちがわかるように努力します」
「ありがとう」
蘭子様にそんな言葉を言われたのははじめてだった。
不思議と体が温かくなる。それが何なのか私にはまだわからなかった。
「唯!」
樹君は私に駆け寄ってきた。
いつものように屋上へ行くと変なことを言われた。
「蘭子のために生きるのはやめて、自分のために生きろよ」
「自分のため?」
私にはその意味がわからなかった。
「俺が連れて行ってやるから、自由になれる場所に」
「自由?」
その言葉も私にはわからない。
「できません」
自由とは蘭子様から離れるということなのだろうか。
「私は蘭子様の」
「それをやめろって」
私が最後まで言葉を口にする前に、私の唇に樹君の唇が重なった。これはなんだったっけ。何かで見た。そうだ。キスというものだ。
キスとはどういう時にするのだったっけ?
「樹君、どうしたのですか?」
よくわからないので聞いてみた。
「唯、俺と一緒に暮らさないか?」
「できません」
「今すぐじゃなくていいからさ。考えて欲しいんだ。蘭子の側にいるのが一番いいのか」
私は樹君が何を言っているのかわからなかった。私は蘭子様のお側にいるのが一番なのに。
帰って蘭子様に報告したら、変な顔をした。
「樹って奴何考えてるのかしら」
蘭子様はしばらく悩んで言った。
「私が話をつけるわ。コピーは気にしないで待ってて」
「はい」
これで良かったんだと思って安心した。
蘭子様が学校から家に帰って来ると、少し怒っているようだった。
「蘭子様? どうなさいましたか?」
「今度から、あなたが学校に行って。私はもう行かないから。邪魔みたいだし」
蘭子様が、そんなことを言うのはおかしい。
「何かあったのですか?」
「ほっといてよ!」
「申し訳ございません」
また蘭子様を怒らせてしまった。私はなんて馬鹿なのだろう。
「ごめん。あなたが悪いんじゃないの。でも、私しばらく学校に行きたくない」
「まさか樹君が何か」
蘭子様に何かなさったのではと思った。
「いいのよ。あなたが気にすることじゃない」
「蘭子様」
「どうしてあなたはコピーと呼ばれても怒らないの?」
私はただのコピーだから、それで十分なのに。
「私は蘭子様のために存在していますので」
「そうじゃなくて、あなたの気持ちよ」
「私の気持ちですか? 私は蘭子様にお仕えできて幸せです」
「嘘言わないで」
蘭子様はまた怒ってしまわれた。どうしてもうまくいかない。
嘘ではないと否定しようとするが、蘭子様は言った。
「和田君の方が良くしてくれるわよ」
樹君の所に行けということなのか。
「蘭子様は私が不要ですか?」
「そうじゃないの。ああ、純子」
「純子?」
急に蘭子様が言った名前に心当たりはなかった。
「あなたはまだ2歳なんだものね。わからなくて当然だわ」
生まれてから2年経ったということだろうか。
「勉強不足でした。蘭子様の気持ちがわかるように努力します」
「ありがとう」
蘭子様にそんな言葉を言われたのははじめてだった。
不思議と体が温かくなる。それが何なのか私にはまだわからなかった。