第00話(1)

文字数 593文字

「お父様、一体、話とは?」
 シュヴァルツ王国城三階。エレンは父親に呼び出されていた。何でも大事な話があるという。
 側には護衛騎士として仕えているフェイがいる。
「エレン姫や、我が王国は滅びる。我々は北の王国ノールオリゾン国の領地になることを呑んだ」
「それは、長年の戦争に我が国が負けたという事でしょうか?」
「ああ」
 エレンの父は無念のため息を吐いた。
 所謂、シュヴァルツ王国は亡国になったという。その事に、エレンは涙を堪える事が出来なかった。
「お前は近郊の村、リーフィ村へ逃げるのだ」
「そんな、お父様、私はシュヴァルツ王国の姫として生きたいです」
「エレン姫、お前は生き延びて欲しい。それが、せめてもの、父の願いだ」
 そう言い、エレンの父は視線で側にいた騎士――フェイに合図を送った。
「エレン姫様、さあ、行きましょう」
「フーく……、フェイ・ローレンス、私は、シュヴァルツ王国の姫として――」
「エレン姫様、我々は再起の為逃げるのです。王様の志を忘れないように……」




 こうして、エレン姫は騎士・フェイと沢山のシュヴァルツ王国の民と一緒に近郊の村・リーフィ村へ逃げ延びた。
 シュヴァルツ王国の再起を臨んだ、姫の戦いは始まったばかりだ。
「フーくん、私忘れないよ。戦争で失った物を、取り戻すために」
「エレン、私は……、俺は、お前共にある。その事を忘れるな」
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登場人物紹介

エレン・ディル(16)

シュヴァルツ王国第二皇女の少女。

性格はほのぼの穏やかだが、王女としてのプライドはある。

フェイを心の底から信頼している。

亡国となったシュヴァルツ王国を再建する為に、奮闘する。

フェイ・ローレンス(17)

エレン姫に仕える護衛騎士。

クールで一匹狼だが、面倒見が良い。

エレンの事が好き。

エレンの夢の為に、フェイもまた奔走する。

セレナ・エーデル

ニコラが作った機械人形。

通称・仮初めの姫。

たどたどしく喋るのが印象的。

アレックとニコラを親のように感じている。

アレック・リトナー(20)

おちゃらけている謎の剣士。

セレナとニコラを連れて、旅をしている。

昔はセレナ姫の護衛騎士だった。

セレナ姫と瓜二つのセレナに特別な感情を抱いている。

ニコラ・オルセン(19)

腕の立つ技師。

部乱暴なしゃべり方で心は熱い。

アレックとはなんやかんやで仲が良い。

機械人形・セレナの親的存在。

香月七瀬(16)

ツツジの集落に住んでいた香月家の少女。

今は家出して、ダニエルの元にいる。

明るく元気な性格。

ダニエルの事を少々気になっている様子。

ダニエル・フォン・マクスウェル(25)

若き青紫男爵家領主。

シュヴァルツ王国を再建する為に奔走する。

物腰柔らかで爽やかな性格。

七瀬の事をなんやかんやで信頼している。

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