第１１話　あなたは誰？

　邪馬台国ツアーの前夜、伊代は布団の中で眠れずにいた。
　普段は何があっても、布団に入るとすぐに寝てしまうのに、その日に限ってなぜか眠れなかった。
「明日ツアーだから楽しみで眠れないのかな。遠足の前の日の小学生みたい」
　伊代はおかしくなって笑いだした。
「邪馬台国ツアーか。なんか明日はすごいことが起こる気がする」
　なかなか寝つけなかった伊代だが、少し経つと、いつの間にか気持ちよさそうに寝息を立てて眠っている。
　そのとき、伊代はふと誰かに呼びかけられているのを感じた。
「私を復活させて。あなたならきっとできるわ。お願い」
　伊代はその声を聞いて目を覚ました。
「夢？　私を復活させて…って誰だったんだろう。すごく力強くて、でも、とってもやさしい女性の声だったな」
　伊代は夢の中で聞いた声を思い出して、ぼーっとしていた。
　しばらくすると、伊代はまた眠りについた。
　今度は朝まで目が覚めることはなかった。