第3話 三か月後のカノジョ
文字数 1,990文字
いつも、充電は早めにしてって、お願いしてるよねえ?
ちょうど、アイちゃんと出会った頃に、このスマホに変えたから
アイちゃんとの思い出がいっぱい、沢山詰まったこのスマホを
この三か月、あたしなりにいろいろ調べてみたんだけどね……
ああ、どおりで、身に覚えのない、ページ閲覧の履歴とか残ってると思った
『人間が強く何かを思ったとき、その場所に残留するとされる思考、感情などの思念を指す』とありまして……
それで、物体に持ち主の、強い感情や思念が宿ることもあるんだって
あたし達、会えないときは、いつも、四六時中、このスマホで連絡してたじゃない?
電話だったり、LINEのやりとりだったり、SNSのDMとかも……
それに、このスマホの中には、あたしの画像、何千枚あるかわからないぐらい、あるじゃない?
アイちゃんが可愛い過ぎて、いつも、ついつい、撮りたくなっちゃうんだよね
つまり、そのときの、あたしの、たっくんに対する強い想いが
このスマホには、残ってたんじゃないかと思うんだよね
それに、たっくんが、あたしのことを想ってくれる強い気持ちが重なって
こうして、アイちゃんは、もう一度、俺の前に現れて来れたんだ
今のあたしは、本来の、あたしの魂じゃないってことになるのよねえ
もし、今のアイちゃんが、本来のアイちゃんじゃなかったとしても
俺にとっては、大切なアイちゃんであることに、変わりはないから
もし、このスマホの電池が切れたら、どうなるんだろう?
……修理しても直らないような場合は、あたしは、消えてしまうかもしれないわね
その新しいスマホには、あたしとの思い出とか、一切ないじゃない?
そりあ、画像や動画のデータは、移行出来るかもしれないけど
だからって、今のあたしも、その新しいスマホに乗り換えられる、そんな訳にはいかないと思うの
だから、このスマホが壊れて使えなくなったら、あたしは消えちゃうと思うんだっ
いや、アイちゃんと、もう二度と、離れたくないんだっ
修理に出しても、もう、メーカーに部品が無いなんてこともあるんじゃない?
ほら、あたし、交通事故で、突然、死んじゃったじゃない?
たっくんにひどいことしちゃったなって、ずっと思ってたの……
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