本番直前
文字数 945文字
え?タイヲ君?!
まさか、タイヲが劇に出てくれるなんて思わなかった、、、
今日はいきなり本番だけど、登場するのは私と一緒の場面だから、失敗してもフォローできるので安心してね(*^^*)
フン。
で、ネタイヲは、他の兵士役の人と一緒に舞台に出る。
敵役の子がナイフで襲いかかってきたら、私の前に出てきて刺された振りをして倒れる。
すぐに暗転するので舞台袖に撤退。
分かった?
はいはい。
んーーーーーっ
ノコに対する悪意は感じるけど、やっぱり、誰かが分かんない。
練習中も悪意は感じたけど、事件は起きなかった。
だとすると、本番の今日しかないんだけど、、、
それにしても、、、
お姫様役のノコさんキレイですね〜。
きっと、本人もご自分の良さを分かってないのでしょう。
いつも、ネタイヲさんのことに必死で。
そんな健気なところが、男子に人気なのでしょうね。。。
お嫁さんにしたいタイプ。
キレイで長いツヤのある黒髪も素敵ですし。
ただ、ノコさんの無自覚な優しさとキレイさが、敵を作るってことですかね、、、
あ、タイヲ君、どこに行くの?
トイレ。
よう、ネタイヲ!
残念だけど、ノコに対する悪意の持ち主はまだ特定できてない。
正直、人のたくさんいるところでは、電気通信量が多すぎて誰の思考かが分かんない。
このまま、劇に出るつもりか?
まーな。
何か分かり次第、連絡します。くれぐれも、無理はなさらずに。
あいよ。
タイヲ君、今日は劇に出てくれるんだって?
ありがとう。
ノコさんの笑顔を久しぶりに見たよ。
彼女、いつも、君のことを心配しているようだよ。
勘違いすんな。
オレはノコの幼なじみであって、彼氏ではない。
幼い時も今も、これから先もずーっと変わらずに幼なじみ。
おまえも、せいぜい、いい友達でいてやれよ。
勘違いしているのは、タイヲ君、君じゃないの?
確かに僕は、以前、ノコさんに告って失恋したよ。
でも、それは今は君のことを心配しなきゃいけないから無理だと。
君のことを心配しなくなったときに、真剣に考えたいと。
僕は宣言するよ。
今日は、舞台の上でノコさんにキスをする。
勝手にしろ。