第1話

文字数 600文字

起)速見恋歌(はやみれんか)は11歳。突然母親から『親戚(しんせき)の子供を(あずか)ることになったからその子のお守りをして』と言われた。母親はパートに行った。恋歌は昼寝(ひるね)をしていたが目を()ましその子のお守りを始める。「お姉ちゃんの髪ってどうして(うす)い茶色なの?」その子は恋歌に聞いてくる。

承)「それはね。遠いご先祖様にヨーロッパから来た人がいるからだよ」恋歌の髪は栗色。色白で眼の色も栗色。全体的に体の色素(しきそ)(うす)い。母方(ははかた)のお婆ちゃんもそうなのだ。「お姉ちゃんは僕を変だと思わないの?」その子は更に聞いてくる。

転)「なんか変なとこあるの?」恋歌はその子をじっくり(なが)めた。年齢は5歳くらい。サラサラの短い黒髪。肌色は恋歌に似てる。眼の色は青い。「あたしとちょっと似てるね。髪は黒いけど肌色は白くて眼が青い。綺麗な青色だね」恋歌の言葉にその子は心から(うれ)しそうに微笑(ほほえ)んだ。『まるで天使みたいだ』恋歌がそう思うとその子の背中に白い翼が生え、着ている服もトレーナーから白いワンピースになった。その子は何故か涙声で「お姉ちゃんとまた会えるといいな」と言うと翼を広げて飛び去って行った。

結)恋歌は自分の部屋のベッドの上で目を覚ます。「またか」恋歌は時々、予知夢(よちむ)を見る。内容はあんまり()くないものが多い。恋歌には弟が産まれる予定だが、この夢通(ゆめどお)りなら弟は産まれて来れないのかも知れない。しかしそれは杞憂(きゆう)に終わる。数日後(すうじつご)恋歌の母親は青い眼の男の子産んだのだった。
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