30

文字数 518文字



クソみたいなやつらとの
くだらない会食から解放されて
ウザいほどの満員電車に揺られ
15分も歩いて辿り着く部屋で
明日出す燃えるゴミを集めながら
今日初めて自分ためにしてる事に気付く
僕たちは確かに給料のためや
生きていくために働いてるけど
何かのきっかけで明日から何もなくなり
いざ何かしようとドアを開けても
手元に残ってるスキルでは
生き抜く術が何もないことに気付く
店で売ってる野菜や果物は
辛うじて名前を知ってるけど
もしこれが山にあるものを
探せと言われて探しても
食べられるかどうかすらわからない
売られてる魚なら何とか捌けても
釣ることから始めるとすれば
釣れる場所を求めて辿り着くまでに
歩いたら何時間掛かるのかすら
ネットが繋がらなくなればわからない
ほんの少し前にそう気が付いたはずなのに
喉元過ぎれば忘れていくのは
今に始まった事じゃないのは人の性
温もりと快適を知ってしまうと
なかなか簡単には捨てられないモノ
僕たちは思い出してもすぐ忘れちゃうな
あんなにたくさん失ったのに
あんなにたくさん苦しんだのに
あんなに大変だったはずなのに
今の僕らはまだ何もできない
でも今できることを精一杯
やり続けて生きていくしかない
また明日くだらない奴らと会うけど
今精一杯生きていくしかない


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み