第6話

文字数 443文字

 全国各地に、雨後の筍のようにサボテンラジオのミニ放送局ができた。人気の放送を受信するサボテンは、放送局の直販分が品切れになると、街の花屋でも完売して入荷待ちになり、闇価格が高騰した。
 サボテンラジオを放送することは違法ではなかったが、闇取引が問題視された。希少な受信株の末端価格はとんでもないことになっていた。国会でも取り上げられ、サボテンラジオに対する世間の風当たりは強くなった。
 それでも、サボテンラジオに楽しみを見出したものたちは、放送を流すことも聴くこともやめなかった。
 撤退した放送局も少なくなかったが、逆にそれによって、価格の高騰はいったん落ち着いた。加えて、もともとそれほど情熱があったわけでもない連中が淘汰されたおかげで、放送全体の質が上がった。
 黎明期を抜けた国内サボテンラジオ界では、優れた音楽やドラマを流す放送局がある一方で、社会派の放送局もあった。討論や検証をする番組では様々な主張や議論がなされ、国内サボテンラジオ界の一角は極度に政治化していった。
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