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文字数 498文字

 この時期、同級生の中で、一日何回こけるかと言うことが、話題になっていた。
 こくことに関しては、何かと話題を提供してくれる谷本でも、
「オラ、五回が限度やにや」
 と言った。
 しかし、大熊が
「オレね、昨日朝から一日こきまくって十六回こいたぞ」
 と豪語した。
 皆は「うそこけー」と笑った。
「ばかいえ、十三回目くらいはまだかまんけんど、それから後はつらいがぞ。ピクピクっとなるけんど、もうなんちゃ出てこん」
 と、向きになって言った。
 僕達は大熊の話を、一応は信じることにした。それ以来僕達は彼のことを、敬意と侮蔑の念を込めてコキー大熊と命名した。
 その、コキー大熊がある日僕にそっと耳打ちをした。
「おまえ、あいつらMの出身ゆうこと、しっちょってつきあいようがか」
「そんなこと、全然関係ないぜよ」
 事実僕は、テツヤやアイやミチコが好きだった。
「そうか、そんなら別にかまんがやけんぞ」
 コキー大熊は、僕がここのところ頻繁に白木のアパートでテツヤやアイやミチコ達とたむろしていることを聞いて、僕のために良かれと思って言ったのだろう。  
 大熊は「いらん事ゆうてすまんかった」という顔をして、教室から出ていった。

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