(二)-6

文字数 311文字

 ジョージは肝心のエミリア嬢の船に抜かれてちゃ、勝てないと思ったが、敢えて口には出さずに「そうだな」とだけ返事した。
 そしてそんなやる気満々のシッコから顔をそらす意味合いでジョージは顔を左右に向けた。
 コックピットの裏には座席が二つあった。どちらも空席だった。
 ジョージは何か忘れているような気がした。一体それが何かはすぐに思いつかなかった。
「俺たち三人でエミリアのキスを頂きだ!」
 そうシッコは大声を出した。
「三人?」
 何気なくジョージはつぶやいた。今この船に乗っているのは、コックピットにジョージ自身と、隣の席に座っているシッコの二人。そして二席ある後部座席は両方空いているのだ。肝心の三人目は一体どこに……。

(続く)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み