第22話  兄弟(姉妹)の絆 2

エピソード文字数 2,890文字

どうぞどうぞ平八さん。遠慮しなくてもいいですよ
ありがとうございます。蓮ぼっちゃま
ちょっと俺。家の事しないと。華凛と話してやってください。きっと喜びますよ


 リビングには平八さんが加わったのを見届けると、俺はまず洗濯物を始める。

 ベランダからリビングを覗くと、声は聞こえないが凛が楽しそうに喋るのが見えた。


 そんな様子を見ながら家事を済まし、頃合いの時間になると自分の部屋に戻る。

 聖奈のリクエスト通り、女になってやらねば。


 只今午後三時。この時間から女になるのは若干早いが、大丈夫だろう。

 


 ちなみに入れ替わりの際に一番楽なのは、一旦全裸になる事だ。服の事を気にしなくていいからな。

 それに脳内が安心している分、スムーズに入れ替われるので、基本は全裸が良かったりする。



 トランクスとシャツを着て、短パンを履くと準備完了。長い髪の毛を一つに括り、はい完成。

 入れ替わってからここまでの所要時間は五分ほどだ。


お待たせ。女になってきたぞ

おおっ。なんと奇抜なファッションでございますな。


しかも推定Fカップとは、何ともけしからんおっぱいに育ってしまいまうとは……


これは聖奈お嬢様も……負けてはおられませんぞ

 え? 今、平八さんが言ったんだよな?
ねぇお姉ちゃん。平八さんってね。おっぱい好きだったの?
え? い、いや……そんな記憶はねぇぞ
本当? 平八おっぱい職人らしいわよ。知らなかったの?

 おっぱい職人? いやいや。聞いた事ねぇから。

 そんな変態チックな平八さんなんて知らねぇぞ!

そうですな。昔はまだ……聖奈お嬢様や楓蓮お嬢様も幼女でしたから特に申し上げませんでしたが……


この平八。おっぱいにかけてはただならぬ拘りが御座いましてな

 マジ? ってか平気でおっぱいとか言うのに淡々と喋る平八さんの無表情は変わらず、クールなのも変わらない。

華凛お嬢様もきっと大きくなるでしょう。


もしかすれば楓蓮お嬢様をも凌ぐ素質をお持ちのようです

本当? お姉ちゃんより大きくなるかな?

この平八が断言します。どう転んでも爆乳は確定ですな。


もしかすれば……平八が誇るおっぱいランキングのトップに君臨する資質をお持ちですぞ

 へ、平八さんが……平八さんのイメージが……

 心なしかいつもよりも活き活きしてる気がするぞ。  


 どうでもいいが平八さん? 

 華凛の事を喋りながら、俺の胸ガン見してんだけど。なんでだよ。

あぁー! 思い出した!

 華凛がそう叫ぶとみなが注目する。

 するとこいつは一人で思い出しているのか、やたら嬉しそうだった。


 「えっとねー」を数回繰り返した後、また笑い出すので「何だよ」と催促すると、ようやくこんな事を喋り出すのだ。


聖奈お姉ちゃんと、お姉ちゃんがね。


よくちゅっちゅしてた

へ?
あ、バカお前! 何でそれを言うんだよ!
華凛ちゃん! それ……本当なの?
俺はな。こいつが絶対ヘコむだろうから言わなかったのに。
ねぇ平八! 本当なの?
如何にも。華凛お嬢様の証言どおりですな
 聖奈の顔が歪むと同時に、俺の顔も歪む。
待ってよ! それは男? 女の時?
どっちもだよ。男の子でも女の子でもやってた
左様でございます。平八めも何度か目撃しておりますぞ
 俺と聖奈の顔にピシっと亀裂が入る。
待って待って待って! そ、それって。ほっぺただよね?

 真実を知る俺は思わず顔を背けた。


 それをみた聖奈は答えが聞こえてくる前に「そんな……」と漏らし後ろに倒れそうになっていた。

そんな……

まぁまて。昔の事だし、ちっちゃい頃だろ?


そんなショック受けんなって。あの出来事はもう忘れよう。俺も忘れたいから

 そう聖奈を励ましたつもりが、逆に俺を睨み出すと、一気に俺に突っかかってきたのだ。
……あんた。なんで正直に言わないのよ!

おいっ! これはお前に言わない方が良いと思ったからだってば。


こんな事実を知ってもショック受けるだけだろ?

私はちゃんと全てを知っておきたいのっ! 


どんな事でもいいからって言ったじゃない!

 まずい。聖奈がマジキレしてやがる。


 二人で言い合ってる最中にも、華凛が燃料を注ぎ込みやがる。

他にね。布団の中でね、裸で抱き合ってたよね。たまに私も一緒に入れてくれたけど
華凛っ! もうやめろ! その辺の話はやめてくれ!

それは恐らく【雪山登山遭難ごっこ】でしょうか。


それか【寝取られ奥さんごっこ】でしょうな

平八さぁん! マジやめてください

 やべぇ! 華凛もヤバいが平八さんのが危険すぎる。

 俺のトラウマ遊びまで……名前まで知ってやがるぞ!

何よそれ……どんな遊びだって言うのよ!

 聖奈は既に鬼と化していた。既に冷静さを失った顔は、最早直視できないほど、恐ろしいものとなっていた。


 それに比べ、平八さんはどことなしか楽しそうに淡々と喋ると、華凛もずっと笑顔だし。縦線で顔が見えないのは俺だけだった。




 そんな時。玄関が開く音がしたので、俺は少し席を外して玄関に向かうと――


 親父が女の姿で帰って来ていた。

あれ? 仕事は?
今日は早く帰ってきたんだよ
あ、そうだ。平八さん来てるぜ
マジ?

 親父は荷物を玄関に置いたまま、リビングに入るなり「平八ぃ久しぶりだな」と聞こえてきた。


 やっぱり仲の良い知り合いなのだろうか?

お久しぶりでございます。麗華さん。流石はおっぱいランキングトップに君臨している神乳ですな。


昔と何一つ変わらない輝きを放っておりますれば、見事でございます。

 親父がランキングトップとか。どういう基準で決めてるんだ?
じゃあこっちが聖奈ちゃんか。めちゃくちゃ美人になっちゃったな
あっ。初めまして。聖奈です。私その……記憶が……

気にしないでいいよ。それは楓蓮や平八からちゃんと聞いてます。聖奈ちゃん


これからまた……ここから仲良くすればいいだけだから。

 親父らしからぬ丁寧語を発しているのを見ると非常に違和感があった。

 まぁこの場合、いつものノリで喋られる方が痛い人間だとは思うが。


 聖奈も……親父には大人しくなっちまうし。

楓蓮お嬢様が平八めもご一緒にと、お招きしていただきました

あのさ平八さん。親父の胸をガン見しながら喋るなよ。

おっぱいと喋ってるみたいに見えるぞ。

そっか、じゃあ平八! 俺と一緒にビールでも飲もうぜ
しかし麗華さん。平八めは運転手でありますゆえ……
あぁそうだった。じゃあ向こうで話しようぜ
 そう言って平八さんに絡んだ親父は、背中から抱きつくと、平八さんの様子が明らかにテンパっていた。
おあああああっ。こ、これは紛うことなき、神乳の圧が……背中にぃ~~~!

 そして平八さんは力尽きた。白目剥いてるぞ。



 これには聖奈も口を開けたまま見開いてやがる。

 笑っているのは華凛だけだった。 

じゃあな。若い奴らはそっちで喋ってろ
おい! 別にいいじゃねぇか! 何を内緒話しようってんだよ
大人には大人の付き合いがあるのさ

 そういい残し親父は平八さんを引きずって、自分の部屋に行ったようだ。

 何が起こったのか分からない俺達は、暫く言葉を失い、誰も喋ろうとしなかった。




 親父と平八さん。一体どんな関係なんだろうか?

 こりゃ後でしっかり聞いておかないと。





 ※

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登場人物紹介

キャラのプロフィールは、章の始まりにも記載しています。


ここに記載されているのは主要人物です。

その他の登場人物は章の始まりなどに記載しています。


読者視点は神視点。

物語の中の人達が知らないことを全部見る事ができます


また、二章からはキャラの心の声まで聞こえます(フキダシが灰色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年


 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 とても弟思いの良いお兄さん(お姉さん)

 ★ 白峰楓蓮 しらみねかれん


  蓮の女性の姿。白峰というのは偽名。

  黒澤家とは繋がりを見せないように演じる。


  心の中は男の子なので、女の子のファッションやらに興味が無い。

  とても美人なのにあまり自覚がなく、女性の姿はオマケだと思っている。

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生


 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。



 ★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは家族だけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。


 ★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。


 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。

 など、全てを兼ね備えている人。


 二人目の主人公。

 ★ 白竹 美優 しらたけ みゆう


 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。

 自分の家の喫茶店で働いており、メイド服で接客をこなす。


 学校と喫茶店では、雰囲気がまるで違うのには理由があり……

 

 三人目の主人公。 

 

 ★ 白竹魔樹 しらたけまき


 蓮の隣のクラス。美優は双子の姉弟。


 学校ではとてもクール。喫茶店では男の娘?

 双方を知る蓮にとっては、非常に疑問な人物。


 四人目の主人公

 ★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的。学校ではいつも笑顔で誰にでも優しいが……

 

 五人目の主人公

 ★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲



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