【chapter13】憂える心

文字数 452文字

その後、何度か肌を重ねる中でも彼の回復力はすざましいものがあった。

「若い時でもこんなことなかった。」

「俺、賢者タイム長い方だと思ってたんだけどな…何でまたこんなになってるんだ?」

彼は自分の体に起きている異変が、にわかには信じがたいといった様子で自分の逸物を眺めている。

それは、私にとっても同様だった。

今まで体の関係は何人もの男性と結んでいる。

だが、彼との交わりは一線を画すものであった。

彼が肌に触れると全身が熱を帯び、体が吸い付くように彼を求め、背中に回した腕を離すことができなくなるのだ。

ツインレイという唯一無二のソウルファミリーに出逢うとこのような交わりの現象が起きると聞いたことがある。

だが、それゆえに恋衣(こいごろも)のような彼との関係が辛くなった。

私は彼の思い人ではないという事実がいつしか苦しくなったのだ。

ある日のことだ。

人に彼のことを話す機会があった。

その時に、情夫だと説明することに抵抗を感じ(うれ)える思いが込み上げてきた。

だが、私は彼の恋人ではない。

彼との関係を説明する言葉を私は持ち合わせていなかった。
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