第10話美人女優 恵理

文字数 986文字

午後4時。
うっとりするような美女が、入って来た。

飛鳥は、クスッと笑う。
「これはこれは・・・恵理さん、主演女優賞おめでとうございます」
「また、お美しくなられて」

恵理は、フンと笑う。
「飛鳥ちゃん・・・小さな頃は、一緒にお風呂に入ったのに」
「洗いっこしたよね」
「可愛かったなあ、あの頃」
「いつの間に、お世辞を習ったの?」

飛鳥は黙ってキンと冷えたレモン水を美女の前に置く。
「可愛かったって・・・恵理さん、僕は子供でした」

恵理は、プッと吹く。
「飛鳥ちゃん、真っ赤になって、最後は目を閉じた」
「オマセさんだったの?」

飛鳥は、恵理をじっと見る。
「だって、憧れていたし・・・」
「恵理さん、天女みたいに、聖女みたいに、きれいで」
「今も・・・」

恵理が赤い顔になった。
「もう・・・歳の差があるの・・・10歳?」
「今、すごく・・・ドキドキした」

しかし、すぐに含みのある顔になる。
「デートに誘ったら、お持ち帰りさせてくれる?」

飛鳥も含みのある顔。
「寝かせないかも」と言いながら、恵理の前にカルドヴァスを置く。

恵理の目は、途端にトロンと変化。
「うわ・・・きれいな・・・赤?」
「リンゴのお酒?これ・・・大好き」
「飛鳥ちゃんと思って飲む」
そして、一口飲んで、ますます目がトロン。
「もう・・・美味し過ぎて・・・酔っちゃう・・・」
「この女殺し・・・」
「可愛い天使だったのに」

飛鳥は、次に丸いお菓子のようなものを、白い皿に乗せて、恵理の前に置く。
「エイプルスキーバーと言います」
「お皿のリンゴのジャムを付けてお召し上がりください」

恵理は、まずクンクンと香りを嗅ぐ。
「うわ・・・可愛い!」
「甘くて香りが華やかで・・・すごくいい感じ」
「それでいて・・・爽やか」
「ワクワクする・・・」
そして、食べると、満面の笑み。
「ほっぺが、落ちます」
「飛鳥ちゃんを食べちゃった」

飛鳥は話題を変えた。
「次は何の役を?」

ほろ酔いの恵理は、飛鳥と指を絡めてしまう。
「ねえ、セリフ無しでいいから、共演しない?」
「その甘い顔、いい絵になる」

飛鳥は、「そうですね・・・」と、恵理を焦らす。
「僕は男子学生」

恵理は、「うん」と、絡める指の力を強める。

飛鳥は、絡められた指を微妙に動かす。
「恵理さんは、その男子学生の初恋を受け止める女性教師」

恵理は、豊かな胸を震わせた。
「もう・・・このままお持ち帰りしたい」

飛鳥は、絡められた指を器用に抜いている。
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