第1話

文字数 421文字

「森川さん、図書委員のことで山田先生が呼んでたよ」

昼休み、青戸くんにそう言われて図書室に行くも、山田先生はいない。職員室に行っても、山田先生は「呼んでない」と答えた。

またやられた。これでもう4度目だ。

最近、青戸くんは私に変な嘘をつく。

呼んでもいない人が呼んでいると私に伝えるのだ。お陰でここ数日、私の昼休みは少し短い。

私は空腹に悲鳴をあげるお腹をさすりながら、教室へ向かい、廊下を歩いた。


青戸くんはなぜあんな嘘をつくのだろう。

もしかすると私は嫌われているのだろうか。

私をからかっているのだろうか。

とてもそんなことをする人とは思えないが、こうも何度も嘘をつかれるとそう思わざるを得ない。

職員室前は質問をする受験生がポツポツ見られたが、少し離れると、廊下の人通りは少ない。みんな教室やら食堂で昼食をとっているからだ。

夏休みが明け、数週間。もうすぐ10月という時期だが、廊下は少しひんやりとしていた。
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