第59話

文字数 984文字

 なんで人を好きになるんだって思う。理屈?
これはジェンダーには関係ない。色が白いから、きれいだから、頭が良いから、優しいから、仕事ができるから。いくらでも理由は並べられるだろう。価値観。う~ん。。。
私の場合、人として尊敬できるかだけのような気はする。嘘をつく、隠し事をする、自分だけよければよい、これって問題外。恋愛対象でなく、関わりたくない。
 今まで一緒にいた人たちを思い浮かべる。人の何倍も努力する人しか、近くにいなかったのに、
今ってどうなのかなと、頭を傾げる。早稲田に青学も出たひと、短大卒で海外研修教員枠に選ばれた人、
イギリスの航空会社のCAになった日本人友人。マンチェスター大学で教鞭をとる人。
今の私は、毎日に対する不満だらけで足元どころか、彼女らの爪の先にも及ばない。
 この人たちが私の近くにいてくれた理由は何だろうって思う。でも、私が彼女らを好きであったわけではない。学歴もステータスも顔もスタイルも金も、私の好きになる条件には必要ない。
私が好きになった人。嘘をつかない努力家。この部類。見た目がなんの役に立とうか。
 最近思う。横浜での生活に戻りたい。なぜって私を大事にしてくれる、私も尊敬できる人が毎日常に近くにいてくれたから。特別じゃなくても、居酒屋に、ラーメン食べに、横浜線中山の中華料理をたべに、菊名に、渋谷ロフトに、中華街に、代官山に、目黒に、西船橋に一緒に行けていた日々が、ものすごく懐かしい。鹿児島のおでぶの女の人と一緒にいた時間に戻りたい。なぜって尊敬できる存在だったから。家に帰って二人パジャマでテレビをみる。エロイこともせず、そのまま隣でねる。それで十分だった。朝、おはようって、コーヒーを作ってくれて、くだらない朝番組を二人で眺める。今日の夜は何を食べようかと話をする。この繰り返し。が、最高に幸せだったことに最近気がついた。

海外につれていってでも、結婚しておけばよかったのかもしれない。こうやって羅列すると、やっぱり尊敬できる人っていうのが最低限、好きの条件なのかもしれない。真っ白な雪の壁にコートのまま飛び込み、私の体の形を形どって、ケタケタと、一緒に遊んでいたあの日が、眩しすぎる。

私の人生でもう一度、出会いがあるのかな、尊敬出来て安心できる人。
どうなのかな。。

贅沢におぼれすぎていて、大事なものが見えなかった私は、大馬鹿だ。




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