§02 11/25 今日も厄日かよ?(1)
文字数 4,114文字
一緒に登校して欲しい…と言われ、さすがに警戒した。シロタってそんなヤバい感じなの?と考えるわけだ。昨夜は違った。恐らく大迫から忠告されたのであろうシロタは(そいつは「忠告」ではなく「警告」と形容すべき内容だったかもしれない)、どうせ砕けるなら腰砕け方向ではなく当たって砕ける方針を選んだわけであり、なかなか偉い男だと思ったのだ。悪い結果を想像してそこからの回避を優先するのではなく、結果の如何にかかわらず(結果は初めから悪いとわかっていたはずだ)、チャレンジしたという実績に胸を張る。そうやってひとつひとつ、一回一回きちんと清算を怠らずに進めば、人生は思いのほか豊かになるものだろう。――また「人生」とか言ってやがる。俺こそちょっとヤバいな。
さて、朝の通学途上では何事も起こらなかった。まあ当然そうだろう。なにしろ茉央は昨夜、昼休みに会う約束をシロタと交わしたのだ。昼に約束がある以上、敢えて朝を襲うバカはいない。絶対にいないとは言い切れないが、少なくともシロタはそうしたレベルの救い難いバカではなかった。約束があればその刻限まで待てる男らしい。しかし決してこれは当たり前とも言えないだろう。なにしろシロタは昨夜、茉央に告白しすでに玉砕しているわけであり、精神状態は極めて不安定だと考えていい。そんな中で半日も学校で授業を受けながら時間の経過を待つのだ。並大抵の胆力ではない。……ふむ。俺はどうして今ここでシロタを褒めてるんだ? 今さらどうにもならないのに。
昼休み、俺がまだ弁当を食い終わる前に茉央がやってきた。だから教室にはくるなと何度も言ってるだろ! ほら見ろ、老若男女の視線が集まったじゃないか。いや「老」はいないか。それよりおまえさ、これからシロタに改めて残念なお報せを伝えるってのに、なんでニコニコしてる? もう事は成った、とか考えてるだろ?
「なんかね、部室棟に行く渡り廊下だって」
「ん? なにがだ?」
「だから、城田くんと会う場所だよ」
「いやちょっと待て! なんでそんな人目に付く場所なんだ? 昼休みだろ? あそこ運動部の連中がぞろぞろ行き来してるぞ?」
「そんなの茉央は知らないよ。さっき城田くんがそう言ってきたんだもん」
「言ってきた? ああ、メッセージかなんかか。しかしどうして直前になって場所変えるかねえ。身代金の受け渡しじゃあるまいに」
「廊下の壁に次の場所が貼ってあったりしてね、あはッ」
すまん……悪いが誰かこの女を、この
「隣人が何を言っているかわからない件」
「隣人とか酷いよ、
「他人を厄介事に巻き込んでおきながら、その態度はなんだ!」
「他人でもない! 引き取り手がなかったらお嫁さんにしてくれる、て言った!」
「ああ、保育園のときにな。あのときは『引き取り手がなかったら』なんて条件は付けてなかったけどな」
「でも
「だから隣人である他人で間違ってねえだろうが」
「……う~ん、ちょっと茉央には難し過ぐる話だにゃあ」
どうやら校庭のポールに吊るすくらいでは足りないようだ。しかし、じゃあどうしてやろうか…なんて、考える気にもなれない。これが「天使」でも「魔女」でもないときの、吹雪茉央の真の姿である。今度「にゃあ」とか言ったら、ぶっ殺すぞ。
*
城田は約束の時間を過ぎても直前に指定し直してきた場所に姿を見せなかった。従って、事前の肯定的評価はすべて撤回すべきだろう。しかし、本日付でカタがついたのか判然としない、この宙ぶらりんな状況を放置していいものか? しかし、茉央が困っていたのは城田がストーカーのように見え隠れしている事態だったのであり、そこから考えてみれば、城田が姿を見せなかったことは問題の解消と見做せなくもない。もちろんそう断言できるのは、この先もしばらく(たとえば数日から数週間にわたり)城田を見かけなくなれば…ではあるけれど。
俺たちはなんとも釈然としない思いでそれぞれの教室に戻った。――正確には、二名のうち少なくとも一方は…と言うべきだろう。実際、ほぼ間違いなく、茉央はぜんぶ終わったと考えている。そう考えることも終えている。間違いない。絶対にそうだ。俺が幼い頃から知っている吹雪茉央という女はそういうやつだ。
午後の授業時間中、俺はその釈然としない思いの源を、漠然とではあるが探っていた。――なぜ釈然としないか? 城田が約束した時間・場所に現れなかったからである。――なぜ城田は現れなかったか? 昨夜すでに一度は断られているわけだから、やはり直接また同じ返事を聴かされることに腰が引けたのだろう。――では、なぜ直前になって場所を変えたか? それも、当初指定した「教職員棟の非常階段が付いていない方」という、いかにも当該イベントににふさわしく思われる場所から、「校舎と部室棟をつなぐ渡り廊下」なんて、運動部にしてみれば目抜き通りみたいな場所へと……。
……はッ!? そうか! 俺がいたからか! 城田は茉央の登校をどこかで見ていたのだ。あるいは、そもそものスタートから、同じマンションのエントランスホールを出てくるところから、得意の(?)ストーキングを仕掛けていたのかもしれない。ちょっと誰かに尋ねれば、茉央と俺が同じマンションの同じフロアに暮らす、保育園からの(正確にはマタニティ教室からの)幼馴染みであることくらい、簡単に入手できる情報だ。なにしろ茉央は生来的に目立つ体質である上に、遠慮なくあちこち徘徊するタイプだから、この事実はすでに多くの人間が知るところとなっている。少なくとも校内では。
なるほど、だから直前になって場所を変えてみたのであり、そこにも俺が引っ付いてくるとわかれば、確かに城田としては出直すほかないかもしれない。冗談で口にした「身代金の受け渡し的振る舞い」は、存外、的外れでもなかったわけだ。……これは珍しくしくじったかもしれない。過去にこれをやらされた際の男たちの多くが学外の人間だったもので、先方が俺を承知しているケースのシミュレーションが不十分だったせいか。
気づくチャンスはあったように思う。「茉央はいつもみたいに、好きな人がいるから…と言って断った」――昨夜、平木からそう聞かされたところで、俺は立ち止まるべきだった。立ち止まり、過去の事例と今回の事態とを照らし合わせてみれば、茉央と一緒に俺が顔を出すのが得策でないことくらい、その場ですぐに気づいたろう。どうしてそうしなかったか? またかよ…との思いがあった。そもそも昨日は朝から厄日としての兆候が随所に顔を見せてくる一日だった。そんな一日の最後の最後だったから、俺も疲れていたし、茉央のバカな話を聞かされて、いっぺんに身も心も脱力してしまったのだろう。
午後の授業の合間に、何人かの男から(場所が場所だっただけにみんな運動部だ)、あそこで「提督」(一部のアホな男どもが茉央のことをそう呼んでいる)となにをしていたのか?と尋ねられた。あそこに至るまでの経緯を説明するのも面倒くさいし、いたずらに城田の名誉を汚す必要もないので、「募金だよ」と応じた。「なんの募金?」「殺処分を待つ気の毒な犬猫を救うのさ」「でも募金箱なんて持ってたっけ?」「関心のない人間には見えないんだろう」――むろん、みんな一杯食わされたという顔をして、しかしそれ以上の詮索はしない。「吹雪提督」にまつわる厄介な事柄なのに違いない、と正しく推察したのだろう。
放課後、部活動が休止中なものだから、まだわらわらと大勢の人間が残っている教室に、案の定、平木がやってきた。茉央は空気を柔らかく(グダグダ方面に)するタイプだが、平木はピシッと緊張を走らせる。しかしこちらから間合いを詰めていかない限り怪我をすることはない。平木のほうから攻め込んでくることはまずないからだ。……いや、まあ、今の俺がまさにその例外なんだけどね。
「悟朗、どうだった?」
「う~ん、なんかしくじったっぽいなあ……」
「茉央は終わったみたいな顔してたけど、そんなことないってこと?」
「逃げられちまったからなあ……」
「だったら悟朗が訪ねて行けばいいじゃない。いつもと違って学内なんだし。すぐそこにいるんだから、悟朗から顔出せばあっさり終わるでしょ?」
「……あのさあ、平木、そういう俺って、いったいなんなの?」
「なんだか知らないけど、とにかく悟朗は怖いの。昔からそうでしょ。悟朗が来ると男子はパタッとおしゃべりやめるもの」
「だからそれってさ――ああ、で、城田って何組よ?」
「3組」
「まだ教室いるかね? まあ、ちょっと行ってくるわ」
「一緒に行こうか?」
「心にもないことを」
見かけを大きく裏切る極度の人見知りなクセに、好奇心だけは旺盛ときてやがる。どうしてこの学校の美女たちはこうも厄介者ばかりなのだ? ……美女だからか。たぶんそうだな。出典を提出できないのが残念だが、どこかでそんな考察を読んだ記憶がある。それも専門家の考察だった。なんの専門家だったか憶えていないけど。
「城田になんて言うの?」
「さあ、顔見てから考えればいいんじゃね」
「朗報を待ってるわ」
「……え、ここで?」
「ここで待つはずないでしょ。終わったら自習棟にきて」
「平木への報告義務があるのか?」
「当たり前じゃない」
教室を出たところで、平木はあっさり3組とは逆方向に廊下を歩き去った。どことなく、その背中がほっと安堵しているように見えたのは、恐らく俺がかけている色眼鏡のせいだろう。「曇りなき眼で見よ」というセリフを聞くが、それでは目に映るものを意味あるものとして見ることができない。意味のないところに働きかけることはできない。――さて、城田ってのはどんな野郎だ?
さて、朝の通学途上では何事も起こらなかった。まあ当然そうだろう。なにしろ茉央は昨夜、昼休みに会う約束をシロタと交わしたのだ。昼に約束がある以上、敢えて朝を襲うバカはいない。絶対にいないとは言い切れないが、少なくともシロタはそうしたレベルの救い難いバカではなかった。約束があればその刻限まで待てる男らしい。しかし決してこれは当たり前とも言えないだろう。なにしろシロタは昨夜、茉央に告白しすでに玉砕しているわけであり、精神状態は極めて不安定だと考えていい。そんな中で半日も学校で授業を受けながら時間の経過を待つのだ。並大抵の胆力ではない。……ふむ。俺はどうして今ここでシロタを褒めてるんだ? 今さらどうにもならないのに。
昼休み、俺がまだ弁当を食い終わる前に茉央がやってきた。だから教室にはくるなと何度も言ってるだろ! ほら見ろ、老若男女の視線が集まったじゃないか。いや「老」はいないか。それよりおまえさ、これからシロタに改めて残念なお報せを伝えるってのに、なんでニコニコしてる? もう事は成った、とか考えてるだろ?
「なんかね、部室棟に行く渡り廊下だって」
「ん? なにがだ?」
「だから、城田くんと会う場所だよ」
「いやちょっと待て! なんでそんな人目に付く場所なんだ? 昼休みだろ? あそこ運動部の連中がぞろぞろ行き来してるぞ?」
「そんなの茉央は知らないよ。さっき城田くんがそう言ってきたんだもん」
「言ってきた? ああ、メッセージかなんかか。しかしどうして直前になって場所変えるかねえ。身代金の受け渡しじゃあるまいに」
「廊下の壁に次の場所が貼ってあったりしてね、あはッ」
すまん……悪いが誰かこの女を、この
当事者意識が致命的に欠落しているバカ女
を、校旗を掲揚するポールにでも吊るしてやってくれないか? そんでもって教室の窓からみんなで並んで眺めてやり、指さしながら大いに嘲笑ってやろうではないか。「隣人が何を言っているかわからない件」
「隣人とか酷いよ、
ゴロッち
!」「他人を厄介事に巻き込んでおきながら、その態度はなんだ!」
「他人でもない! 引き取り手がなかったらお嫁さんにしてくれる、て言った!」
「ああ、保育園のときにな。あのときは『引き取り手がなかったら』なんて条件は付けてなかったけどな」
「でも
ゴロッち
のお嫁さんになるのって条件付き確率だよね? でもその条件が『引き取り手がなかったら』じゃないと周辺確率に等しくなっちゃうでしょ?」「だから隣人である他人で間違ってねえだろうが」
「……う~ん、ちょっと茉央には難し過ぐる話だにゃあ」
どうやら校庭のポールに吊るすくらいでは足りないようだ。しかし、じゃあどうしてやろうか…なんて、考える気にもなれない。これが「天使」でも「魔女」でもないときの、吹雪茉央の真の姿である。今度「にゃあ」とか言ったら、ぶっ殺すぞ。
*
城田は約束の時間を過ぎても直前に指定し直してきた場所に姿を見せなかった。従って、事前の肯定的評価はすべて撤回すべきだろう。しかし、本日付でカタがついたのか判然としない、この宙ぶらりんな状況を放置していいものか? しかし、茉央が困っていたのは城田がストーカーのように見え隠れしている事態だったのであり、そこから考えてみれば、城田が姿を見せなかったことは問題の解消と見做せなくもない。もちろんそう断言できるのは、この先もしばらく(たとえば数日から数週間にわたり)城田を見かけなくなれば…ではあるけれど。
俺たちはなんとも釈然としない思いでそれぞれの教室に戻った。――正確には、二名のうち少なくとも一方は…と言うべきだろう。実際、ほぼ間違いなく、茉央はぜんぶ終わったと考えている。そう考えることも終えている。間違いない。絶対にそうだ。俺が幼い頃から知っている吹雪茉央という女はそういうやつだ。
午後の授業時間中、俺はその釈然としない思いの源を、漠然とではあるが探っていた。――なぜ釈然としないか? 城田が約束した時間・場所に現れなかったからである。――なぜ城田は現れなかったか? 昨夜すでに一度は断られているわけだから、やはり直接また同じ返事を聴かされることに腰が引けたのだろう。――では、なぜ直前になって場所を変えたか? それも、当初指定した「教職員棟の非常階段が付いていない方」という、いかにも当該イベントににふさわしく思われる場所から、「校舎と部室棟をつなぐ渡り廊下」なんて、運動部にしてみれば目抜き通りみたいな場所へと……。
……はッ!? そうか! 俺がいたからか! 城田は茉央の登校をどこかで見ていたのだ。あるいは、そもそものスタートから、同じマンションのエントランスホールを出てくるところから、得意の(?)ストーキングを仕掛けていたのかもしれない。ちょっと誰かに尋ねれば、茉央と俺が同じマンションの同じフロアに暮らす、保育園からの(正確にはマタニティ教室からの)幼馴染みであることくらい、簡単に入手できる情報だ。なにしろ茉央は生来的に目立つ体質である上に、遠慮なくあちこち徘徊するタイプだから、この事実はすでに多くの人間が知るところとなっている。少なくとも校内では。
なるほど、だから直前になって場所を変えてみたのであり、そこにも俺が引っ付いてくるとわかれば、確かに城田としては出直すほかないかもしれない。冗談で口にした「身代金の受け渡し的振る舞い」は、存外、的外れでもなかったわけだ。……これは珍しくしくじったかもしれない。過去にこれをやらされた際の男たちの多くが学外の人間だったもので、先方が俺を承知しているケースのシミュレーションが不十分だったせいか。
気づくチャンスはあったように思う。「茉央はいつもみたいに、好きな人がいるから…と言って断った」――昨夜、平木からそう聞かされたところで、俺は立ち止まるべきだった。立ち止まり、過去の事例と今回の事態とを照らし合わせてみれば、茉央と一緒に俺が顔を出すのが得策でないことくらい、その場ですぐに気づいたろう。どうしてそうしなかったか? またかよ…との思いがあった。そもそも昨日は朝から厄日としての兆候が随所に顔を見せてくる一日だった。そんな一日の最後の最後だったから、俺も疲れていたし、茉央のバカな話を聞かされて、いっぺんに身も心も脱力してしまったのだろう。
午後の授業の合間に、何人かの男から(場所が場所だっただけにみんな運動部だ)、あそこで「提督」(一部のアホな男どもが茉央のことをそう呼んでいる)となにをしていたのか?と尋ねられた。あそこに至るまでの経緯を説明するのも面倒くさいし、いたずらに城田の名誉を汚す必要もないので、「募金だよ」と応じた。「なんの募金?」「殺処分を待つ気の毒な犬猫を救うのさ」「でも募金箱なんて持ってたっけ?」「関心のない人間には見えないんだろう」――むろん、みんな一杯食わされたという顔をして、しかしそれ以上の詮索はしない。「吹雪提督」にまつわる厄介な事柄なのに違いない、と正しく推察したのだろう。
放課後、部活動が休止中なものだから、まだわらわらと大勢の人間が残っている教室に、案の定、平木がやってきた。茉央は空気を柔らかく(グダグダ方面に)するタイプだが、平木はピシッと緊張を走らせる。しかしこちらから間合いを詰めていかない限り怪我をすることはない。平木のほうから攻め込んでくることはまずないからだ。……いや、まあ、今の俺がまさにその例外なんだけどね。
「悟朗、どうだった?」
「う~ん、なんかしくじったっぽいなあ……」
「茉央は終わったみたいな顔してたけど、そんなことないってこと?」
「逃げられちまったからなあ……」
「だったら悟朗が訪ねて行けばいいじゃない。いつもと違って学内なんだし。すぐそこにいるんだから、悟朗から顔出せばあっさり終わるでしょ?」
「……あのさあ、平木、そういう俺って、いったいなんなの?」
「なんだか知らないけど、とにかく悟朗は怖いの。昔からそうでしょ。悟朗が来ると男子はパタッとおしゃべりやめるもの」
「だからそれってさ――ああ、で、城田って何組よ?」
「3組」
「まだ教室いるかね? まあ、ちょっと行ってくるわ」
「一緒に行こうか?」
「心にもないことを」
見かけを大きく裏切る極度の人見知りなクセに、好奇心だけは旺盛ときてやがる。どうしてこの学校の美女たちはこうも厄介者ばかりなのだ? ……美女だからか。たぶんそうだな。出典を提出できないのが残念だが、どこかでそんな考察を読んだ記憶がある。それも専門家の考察だった。なんの専門家だったか憶えていないけど。
「城田になんて言うの?」
「さあ、顔見てから考えればいいんじゃね」
「朗報を待ってるわ」
「……え、ここで?」
「ここで待つはずないでしょ。終わったら自習棟にきて」
「平木への報告義務があるのか?」
「当たり前じゃない」
教室を出たところで、平木はあっさり3組とは逆方向に廊下を歩き去った。どことなく、その背中がほっと安堵しているように見えたのは、恐らく俺がかけている色眼鏡のせいだろう。「曇りなき眼で見よ」というセリフを聞くが、それでは目に映るものを意味あるものとして見ることができない。意味のないところに働きかけることはできない。――さて、城田ってのはどんな野郎だ?