第1話 原作を超える作品に 芥川也寸志

文字数 3,986文字

映像と音楽は圧巻。

原作は読んでいたので、映画も観に行きました。レコードも買いました。

『宿命』音楽監督・芥川也寸志、作曲/編曲・菅野光亮。


映画『砂の器』がテレビ放送されたとき、ラストシーン近くで真相が明かされる場面、丹羽哲郎演じる刑事が捜査会議で述べるセリフがある。

「当時は不治の病と思われていた、○○病であります」

○○病の部分だけ音声カットされた。

この映画の中で、一番肝心な「○○病」というセリフが出てくるのはこの1か所だけ。それがカットされては、もはや映画全体のテーマが分からなくなるということである。

(砂の器と差別用語の話から)

拙作『材料集め』163話から。

芥川 也寸志(あくたがわ やすし、1925年(大正14年)7月12日 - 1989年(平成元年)1月31日)は、日本の作曲家、指揮者。JASRAC元理事長。

小説家・芥川龍之介の三男として東京市田端に生まれる。長兄は俳優・芥川比呂志。

父は1927年に自殺したが、也寸志は父の遺品であるSPレコードを愛聴し、とりわけストラヴィンスキーに傾倒した。


交響管弦楽のための音楽は、芥川也寸志が1950年に作曲した管弦楽曲。演奏時間は約9分。

NHK放送25周年記念事業の懸賞募集管弦楽曲応募作として作曲、1950年2月20日に完成された。審査の結果、團伊玖磨の交響曲第1番とともに特賞入賞し、作曲者の出世作となった。

この曲、ずっと探していました。○十年も前にアマチュアオーケストラに入っていた知り合いが、カセットテープをくれた。第九の前の演奏がこれ。芥川…‥というのだけは覚えていた。毎年暮れの大掃除をしながら大音量でかける。思い出して調べたらわかりました。ほんと、便利。

「八甲田山」は1977年に公開され、当時の日本映画界空前の大ヒットとなった作品。明治35年の1月に起きた、陸軍青森第5連隊198名が八甲田山で遭難、全滅した事件の映画化である。

北大路欣也が吹雪の中で「天はわれわれを見放した!!」と絶叫するシーンがTVスポットで流された。

「八甲田山」の製作期間は3年を要した。

CGも合成もほとんど無かった時代の映画である。主人公はもちろん人間だが、厳冬の八甲田でのシーンがこの映画の最大の見せ場となる。そのシーンをどう撮るか?でこの映画の成否が決まるといっても過言ではなかった。様々なカメラチェック、ロケハンを繰り返した結果、他の場所での撮影は一切やらず、本当の雪が降り積もる青森県内で撮影することが決まった。

当時の俳優の拘束期間は最大で連続40日。殆ど全てが天気頼みのロケだから、撮影には膨大な時間がかかった。そして完成までに3年という歳月がかかったのである。

https://plaza.rakuten.co.jp/vivaclassic/diary/200504280001/

父・龍之介に対しては尊敬の念を抱いていたが、同時に「学校を卒業して社会に出た時には、ことある毎に〈文豪の三男〉などと紹介され、いい年をして、親父に手を引っぱられて歩いているような気恥ずかしさに、やり切れなかった」「父が死んだ年齢である三十六歳を越えていく時は、もっとやり切れなかった。毎日のように、畜生! 畜生! と心の中で叫んでいた。無論、自分が確立されていないおのれ自身への怒りであった」

エローラ交響曲は、芥川也寸志が1958年に作曲した交響曲。

インドのエローラ石窟群での印象がインスピレーションを与えた。

エローラ石窟寺院のヒンドゥー教のカイラーサナータ寺院で目にした、性行為が彫られた幾万枚ものレリーフが巨大な空間に果てしなく広がる光景や、性行為がタブー視される事なく、根源的・原始的な生命力の象徴として赤裸々に表現され、信仰の対象になっている事に作曲者は衝撃を受けた。エローラ交響曲では狭い音域を駆け回るアレグロの男の楽章と、それを包み込むように広い音域に跨る動機を持つアダージョの女の楽章が断片として作曲され、演奏の際はこれを自由に並べ替えたり繰り返したりして、エローラ寺院のレリーフのように始まりも終わりも無い果てしないセックスの無限空間を表現している。

20の楽章はすべて独立した断片であり、うち9個には♂、11個には♀の記号が記されている。どの楽章をどう演奏するのかは指揮者に一任されており、割愛しても何度繰り返しても良いとされている。しかし、この曲の総譜は特定の順番で通して1冊で書かれており、実際には専らこの順で演奏される。具体的には、初演時のスコアの順番は「♀♀♀♀♂♀♀♀♂♂♀♀♂♂♂♀♂♂♂♀」であった。その後、芥川は初演時の8・14・15・16番目に当たる楽章を削除し、3と4番目の楽章を一つに繋げたので「♀♀♀♀♂♀♀♂♂♀♀♂♂♂♂♀」の全15楽章の楽曲として演奏される。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A9%E4%BA%A4%E9%9F%BF%E6%9B%B2

解説読むと面白そうだけど……

結婚を3度している。

1948年2月、東京音楽学校で知り合った山田紗織と結婚する。このとき芥川は紗織に対して「作曲家と声楽家は同じ家に住めない」と主張し、音楽活動を禁じている。これはマーラーが妻・アルマに取った行動と酷似しているが、芥川の場合は、彼女の歌が「作曲の邪魔になる」というもっと即物的な理由であった。歌を禁じられた紗織は「音のない」美術に転向、程なく画家として認められる。しかし、二女をもうけた後、1957年に離婚した。 

2度目の妻は女優の草笛光子である(1960年に結婚、1962年に離婚)。離婚の原因は、草笛が芥川の連れ子と不仲だったこととされる。

3度目の妻は東京芸術大学作曲科出身で石桁真礼生門下の作曲家・エレクトーン奏者の江川真澄(1970年に結婚)

大河ドラマ『赤穂浪士』 【1964年放送】

大河ドラマ第2作。大石内蔵助引きいる四十七士が主君の仇を討つまでの苦難と忍耐の人間模様を描く。

原作:大佛次郎 脚本:村上元三 音楽:芥川也寸志 語り:竹内三郎

歌舞伎、映画、新劇の各界の看板スターを総動員して描いた「忠臣蔵」の決定版。大河ドラマ史上不滅の最高視聴率53%を獲得した。

大河ドラマ2作目は、四十七士の仇討ち物語を新しい史観で描いた原作をテレビドラマ化。原作に忠実な密度の高い本格歴史劇として評判になった。

『赤穂浪士』は放送以前から大型時代劇として話題を集め、文字通り茶の間の人気をさらい大河ドラマ史上空前のヒットとなった。その人気の理由が豪華な出演者にあったことは言うまでもない。主役の大石内蔵助にテレビドラマ初出演の長谷川一夫さんが扮したほか、山田五十鈴さん、淡島千景さん、尾上梅幸(7代目)さん、坂東三津五郎(8代目)さん、滝沢修さん、宇野重吉さんら、映画、歌舞伎、新劇の各界から人気、実力ともにトップクラスの俳優たちが勢揃い。彼らは、映画の撮影や舞台がはねてからNHKに駆けつけるという日々で、ほとんど休みらしい休みがなかったそうだ。

https://www2.nhk.or.jp/archives/search/special/detail/?d=taiga033

逝去の前日、容態急変を聞き付け病院に駆け付けた黛敏郎の手を握り、回らぬ舌で「あとをたのむ」と言ったというエピソードが、東京新聞に掲載された黛による追悼記事に残されている。最後の言葉は「ブラームスの一番を聴かせてくれないか…あの曲の最後の音はどうなったかなあ」だった。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E8%8A%A5%E5%B7%9D%E4%B9%9F%E5%AF%B8%E5%BF%97

『八つ墓村』は、横溝正史の長編推理小説「金田一耕助シリーズ」の一つ。

本作を原作とした映画が3本、テレビドラマが7作品、漫画が5作品、舞台が2作品ある(2020年6月現在)。10度の映像化は『犬神家の一族』とともに横溝作品の中で最多である。

1977年の映画化の際、キャッチコピーとしてテレビCMなどで頻繁に流された「祟りじゃ〜っ! 八つ墓の祟りじゃ〜っ!」という登場人物のセリフは流行語にもなった。

『ゼロの焦点』は、松本清張の長編推理小説。北陸地方を舞台に、太平洋戦争直後に端を発する時代の傷痕が生んだ連続殺人事件を描く。

1961年・2009年の2度にわたり映画化、また多数テレビドラマ化されている。

1961年3月19日公開。製作は松竹大船、配給は松竹。監督は野村芳太郎。能登金剛・ヤセの断崖をクライマックスの舞台とする松本清張原作映画の中でも著名な作品のひとつとなった。第12回ブルーリボン賞助演女優賞(高千穂ひづる)受賞。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%AD%E3%81%AE%E7%84%A6%E7%82%B9

原作以上の作品になったのは、この音楽があったから。『砂の器』以上だという声も。

本映画公開後、能登金剛周辺地域で投身自殺が急増し、多い年には18人の自殺者が確認されるにいたった。当時19歳の女性が、「『ゼロの焦点』の舞台となった能登金剛で死ぬ」との遺書を残して自殺した事件を契機に、女性の霊を慰め、更なる自殺者が出ないようにと、能登金剛の巌門には、本作にちなんだ歌碑が立てられた。歌碑には「雲たれて ひとりたけれる 荒波を かなしと思へり 能登の初旅」と、原作者直筆の文字が刻まれている。

主人公と犯人が崖上で相対する演出は、のちに2時間ドラマなどで多用、定番化されたため、現在では、しばしば本映画がこの演出の原型と位置づけられている。
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