第1話

文字数 7,637文字

 川沿いの桜は満開をすぎ、風が吹くたびに花びらが歩道に舞い降りた。この桜が咲くころ、ツムギという名の若い女が俺の家に身をよせていた。故郷の友だちから頼まれて預かった。事情があってとのことだった。
 会話らしい会話もなく、おたがいに気をつかいながらすごした。が、いやな感じはしなかった。それは、若い女性だからということだけではない何か――通じ合うような何かを感じたからかもしれない。その何かは、彼女がいた三日では確かめることはできなかった。
 故郷の友だち、イサから電話があったのはツムギが俺の家を離れて半月ほどしてからだった。車で来るというイサを俺は国道の橋のたもとで迎えた。家に呼びたくないというのではないが、春は外のほうが気持ちがいい。それに、言葉で説明するには俺の家までの道は混み入りすぎていた。
 顔を合わせるのは去年の冬――イサの幼馴染の親友、俺とは中学からのダチだった男の葬式以来だ。イサの車で川原に降りた。広い川原にはサッカーグラウンドがあり、子どもたちがボールを蹴って遊んでいた。
「彼女、おまえのところで、どんなふうにすごしてたんだ」
「リビングで寝てもらってた。俺は毎日夜勤だから、何してたかはよくわからない。本は読んでたみたいだ」
「そうか」
「それと、料理はうまかった」
「つくってたのか」
「煮物と野菜炒めとカレーを食わしてもらった」
 今でもあの味は思い出せる。カレーは絶品だった。
「自分のことはどのくらい話した?」
「何も」
「そうか」
「俺も訊かなかったし」
「おまえらしいな」
 相変わらずだというふうにイサは笑った。
「報告だと思って聞いてくれ。言える範囲で言うからな」
 俺はうなずいた。
「彼女、キノツムギは俺の同僚の妹で、ある事件に巻き込まれて有罪になった。執行猶予がついたんだが、被害者の家族からしつこい嫌がらせを受けるようになってな」
「なるほど」
 どこかに避難させたいが、精神的に不安定だったから、ひとりにはさせられない。両親ともすでに他界していて、事がことだけに親戚にも頼れない。そこで、俺に白羽の矢が立ったということらしい。
「おまえのところなら安全だと思ってな」
「若い女の人が来た時には驚いたぞ」
「言ったら断ってただろ」
「そりゃそうだ。逆に、危ないとは思わなかったのか」
「おまえ、自分が危ないと思うか」
「いや」
「だろう」
 と言って、イサは笑った。
「おまえのとこで世話になってるあいだに警察に届けて、弁護士に入ってもらった。今のところ、彼女本人も向こうも落ち着いてるようだ」
「そうか。おまえも大変だったな」
「ま、好きな女の妹だからな」
「なるほど」
 どうりで力が入るわけだ、と俺は笑った。声を出して笑うなんて久しぶりだ。何があったかはわからないが、ツムギや相手方にとってはまだまだ終わってない話だ。だが、俺は気分がよかった。故郷の友だちが俺を思い出して頼ってくれたこと、そして顛末を話しに来てくれたことがうれしかった。
 気づけば、グラウンドで遊んでいた子どもたちの姿が消えていた。夕方の川風はまだひんやりとしている。
「じゃあ、帰るわ」
「おお」
「たまには」
 と言いかけて、イサは車のドアに手をかけた。
「なんだよ」
「帰って来いと言っても、来ないだろうと思ってな」
「だな」
「世話になった。ありがとう」
 短くクラクションを鳴らして、イサは道路に戻る坂を上って行った。
 
 川原からの帰り道、マルセンストアに寄った。ビールと野菜と牛肉、そしてリンゴを買った。ビールはクラフトビールにした。きょうは贅沢をゆるそう。口笛でも吹きたい気分で家に向かった。
 郵便受けには何も入っていなかった。新聞をとってない俺の郵便受けに入るのは役所からの通知か、名前も知らない会社からのDMくらいだ。へたをすると二、三日開けないこともある。が、ここのところつい見てしまっていた。我ながらあきれる。住所も名前も教えてないのに、どうやって手紙を書けというのだ。イサでさえ住所は知らないはずだ。調べようもない。
 ラジオをつけ、ビールを開けた。あしたは夏の陽気だと天気予報が告げる。野菜をきざんで肉を炒める。カレーにするつもりだ。ツムギのカレーを食って以来、自分でも二、三度つくってみた。ルーを変えたり火加減を変えたりしてみたが、同じ味にはならなかった。不味くはなかったが、つくりすぎると何日もカレーを食いつづけるハメになった。
 イサに会ったせいか、あらためてツムギのことが思い出された。俺のコミュ力というのがポンコツすぎて、まともな会話にならなかったというのもあるが、彼女も口のうまい人間ではなかった。俺と同じように、安心できる相手でないと、言いたいことの半分も言えないのかもしれない。けれど、ゆっくりと紡ぎ出す言葉にはまじめで親切な心が織り込まれていた。もちろん、見ず知らずの俺に素の自分を見せるはずもないが、犯罪をおかすような人には思えなかった。
 カレーはきょうもうまくできなかった。

 午後九時十五分、俺はタイムカードを押して、控室に向かった。夜勤専門のフォークリフトドライバーは俺のほかにも何人もいるが、ここのところ急に数が増えた。インド向け部品の輸出が好調だからということだった。忙しくなったからといって給料が上がるわけでもない俺たちにとっては、危険が増えるだけのやっかいなことだった。
 すんでのところでフォーク同士が衝突しそうになったり、荷崩れを起こしたり――いわゆるニアミスが頻発していた。おとといは、とうとう怪我人の出る転倒事故が起きた。怪我人が出ても、余程の重症でなければ、たいていの工場は救急車を呼ばない。労災になるからだ。警察、消防、労働基準監督署が検証に来る。短くても半日、へたをすると数日に渡って操業停止だ。おとといの怪我人も、そいつの出荷ヤードの班長が自分の車で夜間病院に運んで行った。
 きのうは組合員だという男が門の前でチラシを配って、告発とか団交とか言っていた。たぶん正しいことを、ひょっとすると本気で俺たちのことを思って言っているのかもしれない。だが、俺はそいつの横を素通りした。どんなに正しくても、他人の非を声高にあげつらう人間は信用できない。
 始業前のミーティングを終え、フォークリフト駐車場に向かっていると班長が追ってきた。
「サイトウ」
「はい」
 俺は振り向いた。
「終わったら、俺んとこに寄ってくれ」
 いかつい顔に妙な笑顔を浮かべている。四年も付き合ってると、何の話かだいたいの察しはつく。
「後釜の話なら勘弁してください」
 去年あたりから、身体がきついから日勤に移りたいんだよ、俺の後はおまえが班長な、とことあるごとに言うようになっていた。そのたびに、班長にさせられたら俺は辞めます、と答えてきた。俺に人をまとめるなんてできるはずがない。
「その話は忘れろ。娘が大学に行きたいとか言い出してな。応援してやりてえし、日勤移籍の夢はしばらくおあずけだ」
 大学なんてお嬢さんすごいですね、とか、大学に行くんじゃ班長もがんばって稼がなきゃならないっすね、とか言えるように俺の口はできてない。わかりました、とだけ答えて俺はまた歩き出した。
「忘れんなよ」
 班長の野太い声が追いかけてきた。
 出荷ヤードで働く連中は、日勤も含めてほとんどが契約社員か派遣だ。夜勤ともなれば、正社員は管理責任者が部署ごとにひとりいるだけだ。
 夜勤は身体は楽じゃないが手当がいい。どうあがいても正社員には追いつけないが、それでも夜勤専門で働けば日勤の倍近くになる。班長が日勤への移動をあきらめたのもうなずける話だ。
 いそがしいなりに、さほどトラックを待たせることもなく、出荷作業は順調に進んでいた。ところが、明け方四時近く、突然けたたましいクラクションが倉庫中に響いた。ビーッ、ビッビーッ。続いて、ガッシャーン!と金属をまき散らすような甲高い音が倉庫中に響いた。数秒して、全フォークリフト停止のサイレンが鳴り、壁の警告灯が一斉に回り出した。
 音の大きさからして隣かその隣の出荷ヤードだった。俺は通路の壁沿いにフォークを駐めて、音のしたほうに走った。俺のほかにも何人かが同じ方向に走っていた。おととい怪我人が出たばかりだ。俺たちは事故を連想させる音に敏感になっていた。仲良し職場ではなかったが、俺たちが夜の出荷を支えているという仲間意識はあった。
 現場に着くとパレットから崩れ落ちた鉄製の部品がコンクリートの床に散乱していた。用途はわからないが何かのカバーだ。ドライバーは俺たちとはちがう班の新人だった。班長にどやされている。ぶつかりそうになって急ブレーキをかけたにちがいない。フォークリフトは急ブレーキと急旋回が一番危ない。
「手伝いますか?」
 俺はその班長に声をかけた。
「ああ、悪いな。落ちたのをパレットに積み戻してくれ」
 俺たちは散乱した鉄製のカバーを集めて丁寧に積んでいった。一枚四~五キロはあるだろうか。ざっと三百枚はあった。
「けっこうありますね」
 同じ班の若いやつが声をかけてきた。
「たしかに」
「早く片付けないと俺たちも動けませんからね」
 いつから同じ班だったか忘れたが、話すのははじめてかもしれない。
「急がないとな」
 答えながら、俺はまたあのやっかいな声が耳の中に滲み出すのを感じた――おまえ先輩なんだろう。もう少しましなこと言えないのか?安心させてやれよ。はげましてやれよ。
 うるせえ!と言いそうになる口を結ぶ。中学、高校のころは声がもれて変人扱いされた。ケンカになることもあった。今でこそ抑えられるようになったが、自分ながらにやっかいだ。イサのように友だちになってしまえば大丈夫なのだが、それまでがクソみたいに大変で、結局は距離を置くか、向こうから離れていくことになる。まあ、今では、そんなもんだと思えるようになった。
 早く作業に戻りたいのは皆同じだったようで、次々と応援がかけつけてきた。散乱したカバーはあっという間に片付いた。
「みんな、聞いてくれ」
 それぞれのフォークに戻ろうとする俺たちに班長が声をかけた。
「仕事を止めてすまなかった。それと、片付けありがとう。助かった」
 俺は黙っていたが、気にすんなよとか、ちゃんと運転教えとけよとか、声をかける年嵩のドライバーたちもいた。やらかした新人は黙り込んでいた。見た感じ、カバーの半分は使い物にならない。弁償させられることはないが、原因調査やら、始末書やら、再訓練やら面倒くさいことが続く。辞めなければいいが。
 その後はトラブルもなく、時間までに積み込みを終えた。控室に戻ると班長が待っていた。
「おつかれ。大変だったな」
 俺はうなずいて答えた。
「なあ、サイトウ」
「はい」
「きょうしか言うときがないんでな」
 班長はいつにない神妙な声で言った。
「上には言ってあったんだが、ここを辞めることになってな。きょうが最後だ」
「……」
「言ってもピンとこねえだろうが、おまえにはいろいろ助けられた。ありがとうな」
「いえ、俺は何も。俺のほうこそ」
 と言うのがやっとだった。辞めないでほしい、というようなことを言ったり、辞める理由やこれからのことをたずねる場面なのはわかっていたが、その言葉が組み上がらない。
「じゃあな。元気でな」
「はい。班長も」
「俺ぐらい口が軽けりゃ、おまえもいい班長になるんだけどな。ま、しょうがねえな。がんばれよ」
 ポンと俺の肩を叩いて班長は控室を出て行った。
「しょうがねえな」
 小声で真似てみた。班長のような味わいは出ない。あしたから、この職場で班長のようにふつうに話しかけてくれる人はいなくなる。それはもっぱら自分のまいた種で、嘆いてもしかたがない。ふつうに話しかけてほしかったら、こっちから話しかとけばいいってことなんだが――それができないから苦労してるんじゃないか、と誰でもない誰かに俺は言いたい。
「がんばれよ」
 真似てみたが、がんばれそうな気はしなかった。

 工場を出て家に向かう。空は晴れて晩春の朝風がそよぐ。川の堤には黄色や薄紫の春の花々が揺れていた。思わず頬が緩むような光景なのだが、俺の胸は晴れなかった。イサとツムギの顔が思い出された。そして班長。続けざまに去られると、さすがに応える。
 人とかかわるのが面倒で、知る人のいない土地で夜勤専門で働く生活を選んだ。というのに、気にかけてくれる人が一人二人いなくなったくらいでこのざまだ。人恋しくてあたふたしちまってる。あきれたものだ。
 シャワーを浴びて、ベッドにもぐった。本を読み、目覚ましをかけて、目を閉じた。眠りはやってこなかった。小一時間ごろごろして、あきらめた。ふとんをはねのけて、ベッドの端に座った。目覚ましに目をやる。九時五分前。
 走るか――ふいに思い浮かんだ。
「走るか」
 口に出してみる。いいかもしれない。走るのは休みの日と決めていたが、別にきょう走ったからといって問題があるわけじゃない。今まで、仕事のある日は走らなかっただけだ。走る。いいじゃないか。朝っぱらからビールを飲んで無理やり寝るよりよほどマシだ。
 ランニングウェアに着替え、シューズを履いて走り出した。タッタと地面から脚に伝わるリズムがボーッとしていた頭をスッキリさせていく。汗が流れ、風が気持ちいい。
 川沿いの道を北上した。しだいに田んぼが広がる。あちこちでトラクターが土をうなっていた。田うないが終われば水が入る。もうすぐ田植えの季節だ。
 のんびりと行き交うトラクターをながめながら、運動公園まで走って折り返した。片道三キロくらいか。ここまで来ると街は一塊りの島に見える。その右奥にポツンと見えるのが俺がはたらく工場だ。笑えるほど小さい。帰りはペースを落として走った。夜勤明けの疲れが一気に出てきた。
 家に着いて、もう一度シャワーを浴びて寝た。今度は秒速だった。目をさますと夕方になっていた。飯を炊いて買い物に出る。いつのもマルセンストアだ。たまには別のスーパーでとも思うが、いかんせん歩くには遠すぎる。年寄りが多い住宅地だからか、マルセンは総菜が充実している。俺にとってもありがたい。適当にいくつかカゴに入れて、焼きそばを買った。早く行かないと売り切れてしまう、人気の焼きそばだ。
 台所で、買ってきた総菜をテーブルに並べる。夕飯はどれにしようか。焼きそばは外せない。野菜炒めとザーサイを残して、あとは冷蔵庫に入れた。
 ビールを開けて、ラジオをつける。スローなAORが春の夕暮れにとけこむ。こんなとき、俺はしみじみと独りのよろこびを感じる。朝の落ち込みようからすれば、今泣いたカラスを地でいってるようなものだ。どっちが本当の自分なのか、どっちを本当の自分にすればいいのか――哲学好きならそんな問いを立てるのかもしれない。俺の頭ではいくら考えてもわからない問いだ。
 焼きそばと野菜炒めをレンジで温めた。ビールを干して、飯を焼きそばの皿によそう。混ぜながら食う。俺流のソバ飯だ。美味い。そして野菜炒め。箸を伸ばす。もう少し肉が入ってるといいんだが、といつも思う。キャベツともやしを口に放り込む――。
 錯覚か?
 もう一口。ゆっくりと噛む。
 俺は椅子を立って冷蔵庫を開けた。探す。きょう買ってきた総菜のなかに煮物は。あった。筑前煮。パックを取ってフタを開け、鶏肉をつまんで口に入れた。
 確信は持てない。が、錯覚ではないと思う。カレーを食えばわかるのだが、マルセンにテイクアウトのカレーはない。
 どうする?
 確かめるのか?
 どうやって?
 だいたい、確かめてどうする?
 俺はどうしたいんだ?
 あなたの料理がまた食べられてうれしいです。カレーもあればいいんですけど。今度作り方おしえてもらえませんか。
 おいおい、料理の話がしたいのか?
 いや、たまに――。
 たまに、なんだ?どうしたいんだ?
 いや、だから――。
 ソバ飯と野菜炒めと筑前煮を食いながら、俺は堂々巡りを続けた。初恋の中学生かよ、とツッコミたくなるくらいだ。
 最後の一口を飲み込んで俺は立ちあがった。ため息と苦笑が続く。皿と箸を洗ってカゴに伏せた。ちょうど七時。出勤にはまだ間がある。風呂場とトイレを掃除して、床に掃除機をかけ、洗濯機のタイマーをセットした。一時間もかからなかった。
 わかったよ、とつぶやいて俺はポケットから携帯を取り出した。
 ――変なことを聞くが、彼女がこっちに来てるってことはあるか?
 イサにメールを打った。そしてすぐに後悔した。なぜ、と理由を訊かれたらどう答えるか考えてなかったからだ。俺からのメールを無視するはずもなく、イサはほどなくして返事を送ってきた。
 ――どうした?
 正直に頭の中のぐだぐだを伝えるか、ちょっと気になった風を装うか。
 ――きょう、彼女と同じ味つけの料理を食った。
 ――そっちでか?
 ――近所のスーパーの総菜だ。
 ――おまえの舌が彼女の味だと言ってるんだな。
 ――ちがうかもしれないが、そうだ。
 と答えてから、イサからのメールが途絶えた。仕事中だったのかもしれない。
 ――忙しいようだな。悪かった。改めて連絡するよ。
 と打っているところへ返信が来た。
 ――彼女の姉に確かめた。行先は誰にも言わないでほしいと言って、先週引っ越したそうだ。だから、ありうるな。
 ――そうか。
 ――で、おまえはどうしたいんだ?
 即答できなかった。一番手前の答えは、もう一度会ってみたい、だ。ツムギがどう感じていたかはわからないが、自分と同じ空気をまとう彼女にもう一度会いたかった。だが、その先の答えが出せない。会っても話が続かず、お互いに疲れ果ててしまう。そうなる可能性は高い。それでは彼女にもうしわけない。余計なストレスになるだけだ。
 ――電話で話すか?
 ――いや、大丈夫だ。
 ――おまえの連絡先を伝えてくれるように頼んでおこうか?
 ――もうすこし、様子を見てみる。悪かったな。ありがとう。仕事に行ってくるわ。
 ごまかした。ウソをついた。本当は、頼むと言ってしまいたい。あとのことなど考えずに、会いたい、仲良くなりたいから頼む、と言ってしまいたかった。
 携帯の画面を消して作業服に着替えた。明かりを消して家を出る。春とはいえ夜はまだ寒い。住宅街が切れると、あたりは一気に暗くなる。工場までの闇は夜の海に見える。海にうかぶ灯台、それがパイプラインに星をまとった工場だ。
 班長はもういないが、俺は今夜もフォークリフトを運転する。俺が人に引けを取らないと思えるたったひとつのことだ。朝までトラックに荷を積んで、時間になれば工場を出て家に戻る。シャワーを浴びて、寝て、夕方になればマルセンストアに行く。そして総菜を買う。買うだけだ。人に話せば情けないと思われるだろう。でも、たぶん、それが今の俺にとっていちばん自然で、自分らしいこと。 
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