第40話 クラレンス殿下の味方になれたら
文字数 1,613文字
お茶会の後、王妃様の生活エリアの廊下をゆっくり歩いている。
護衛の近衛騎士はついているけど、二人でのんびり歩いているという感じだ。
クラレンスと結婚したら、ずっとこんな感じで隣にいるのかな。
それとも、今の国王陛下みたいに愛人? えっと、側室っていうんだっけ。そういうのを作ってそっちに行っちゃうのかな。
でも、誰を選んでも国王ってそんな感じ?
他の誰かを選んだらクラレンスが処刑されちゃうもん。
誰を選んでも同じならクラレンスが良い。それに、今は優しいから味方もしやすいかな?
「キャロル。せっかくだから、私の部屋に寄ってから帰らない?」
クラレンスがにこやかに言ってくる。
「そうですね。それでは、お邪魔します」
よかった。さっきは、全くって言っていい程、これからの事を話せなかったもんね。
部屋に着いたら、お茶の用意をしてくれた。
他の所でもそうだけど、意外とお茶会って言いながら、お茶もお菓子も食べれないんだよね。
喉が渇いていたから助かった。
ソファーに座って、入れてもらったお茶を飲んでいると、人払いされたのか部屋の中から誰も居なくなった。
クラレンスは隣に座ってきた。
「疲れたね。せっかく二人っきりでお茶会するはずだったのに」
ふう~って感じで言っている。私の横でくつろいでいるようだった。
あっ、そうだ。今の内に、廊下でダグラスと会っていた事の誤解を解かなきゃ。
たまたま、出会ったんですって……。
「あの、クラレンス殿下。ダグラス殿下の事なんですけど」
「ん? ああ、キャロル……と言うか、ユウキ嬢が言ったのだろう? ダグラスの方が良いって」
え? そっち?
あれは、だってこっちに来たばかりで、クラレンス怖かったし。
「あ……あの時は、クラレンス殿下が怖くて。わたくしを嫌っていたではないですか。だから、わたくし……」
「今は?」
「え?」
私はクラレンスの方を見る。
「今は、どうなの? 怖い?」
「怖くないです。クラレンス殿下は、優しいから」
私がそう言うと、まだ子どもなんだねっと聞こえた気がした。
そっと抱き寄せられる。
その優しい手に、私は安心して寄り添った。
そうしたら片手であごを上げられて、口づけをされていた。
なんで? なんでこんな。
抱き寄せている方の手に力は入っていないようなのに、手をクラレンスの胸に当てて思いっきり押しても、ビクともしない。
その内に、唇の隙間から舌が入ってきた。
なんだか怖くて、目尻に涙が溜まってるのが分かる。
だけど。
私は抵抗を止めて力を抜いた。
考えないようにしていたし、両親が持ってくる本にはそういうこと書いてなかったけど。
昼間のテレビや、SNSなんか見てたらイヤでも情報は入ってきてたから……。
婚約者として側にいるってこういう事なのかもしれない。
それにダグラスの事を誤解される怖さより、こっちの怖さの方がまだマシな気がした。
「抵抗……しないの?」
クラレンスが耳元で言ってくる。
「クラレンス殿下が、わたくしの事を好きでいてくれるなら」
私はずるい。
何も知らない子どものふりをして、クラレンスを試すようなことを言ってしまう。
だってこんな言い方をしたらクラレンスの答えは一択しかないもの。
「うん。好きだよ。だから、私の味方になってくれる?」
ほらね。やっぱり、好きだと言ってくれた。
「はい」
笑うと目尻に溜まった涙がこぼれた。
クラレンスは、私を優しく抱きしめてくれる。子どもにするように、頭を撫でながら。
先ほどの怖さはもう無い。
「ごめんね。もう何もしないから。泣きたいのなら泣いて良いよ」
私は、クラレンスの顔を見上げる。
なんだか優しい、保護者のような顔をしていた。
「私も、君の味方でいるからね」
そう言って、もう何もしないと言ったはずなのに、私の頬にキスをしてきた。
そして、抱きしめられているうちに、私はその腕の中で安心しきって眠ってしまっていた。
護衛の近衛騎士はついているけど、二人でのんびり歩いているという感じだ。
クラレンスと結婚したら、ずっとこんな感じで隣にいるのかな。
それとも、今の国王陛下みたいに愛人? えっと、側室っていうんだっけ。そういうのを作ってそっちに行っちゃうのかな。
でも、誰を選んでも国王ってそんな感じ?
他の誰かを選んだらクラレンスが処刑されちゃうもん。
誰を選んでも同じならクラレンスが良い。それに、今は優しいから味方もしやすいかな?
「キャロル。せっかくだから、私の部屋に寄ってから帰らない?」
クラレンスがにこやかに言ってくる。
「そうですね。それでは、お邪魔します」
よかった。さっきは、全くって言っていい程、これからの事を話せなかったもんね。
部屋に着いたら、お茶の用意をしてくれた。
他の所でもそうだけど、意外とお茶会って言いながら、お茶もお菓子も食べれないんだよね。
喉が渇いていたから助かった。
ソファーに座って、入れてもらったお茶を飲んでいると、人払いされたのか部屋の中から誰も居なくなった。
クラレンスは隣に座ってきた。
「疲れたね。せっかく二人っきりでお茶会するはずだったのに」
ふう~って感じで言っている。私の横でくつろいでいるようだった。
あっ、そうだ。今の内に、廊下でダグラスと会っていた事の誤解を解かなきゃ。
たまたま、出会ったんですって……。
「あの、クラレンス殿下。ダグラス殿下の事なんですけど」
「ん? ああ、キャロル……と言うか、ユウキ嬢が言ったのだろう? ダグラスの方が良いって」
え? そっち?
あれは、だってこっちに来たばかりで、クラレンス怖かったし。
「あ……あの時は、クラレンス殿下が怖くて。わたくしを嫌っていたではないですか。だから、わたくし……」
「今は?」
「え?」
私はクラレンスの方を見る。
「今は、どうなの? 怖い?」
「怖くないです。クラレンス殿下は、優しいから」
私がそう言うと、まだ子どもなんだねっと聞こえた気がした。
そっと抱き寄せられる。
その優しい手に、私は安心して寄り添った。
そうしたら片手であごを上げられて、口づけをされていた。
なんで? なんでこんな。
抱き寄せている方の手に力は入っていないようなのに、手をクラレンスの胸に当てて思いっきり押しても、ビクともしない。
その内に、唇の隙間から舌が入ってきた。
なんだか怖くて、目尻に涙が溜まってるのが分かる。
だけど。
私は抵抗を止めて力を抜いた。
考えないようにしていたし、両親が持ってくる本にはそういうこと書いてなかったけど。
昼間のテレビや、SNSなんか見てたらイヤでも情報は入ってきてたから……。
婚約者として側にいるってこういう事なのかもしれない。
それにダグラスの事を誤解される怖さより、こっちの怖さの方がまだマシな気がした。
「抵抗……しないの?」
クラレンスが耳元で言ってくる。
「クラレンス殿下が、わたくしの事を好きでいてくれるなら」
私はずるい。
何も知らない子どものふりをして、クラレンスを試すようなことを言ってしまう。
だってこんな言い方をしたらクラレンスの答えは一択しかないもの。
「うん。好きだよ。だから、私の味方になってくれる?」
ほらね。やっぱり、好きだと言ってくれた。
「はい」
笑うと目尻に溜まった涙がこぼれた。
クラレンスは、私を優しく抱きしめてくれる。子どもにするように、頭を撫でながら。
先ほどの怖さはもう無い。
「ごめんね。もう何もしないから。泣きたいのなら泣いて良いよ」
私は、クラレンスの顔を見上げる。
なんだか優しい、保護者のような顔をしていた。
「私も、君の味方でいるからね」
そう言って、もう何もしないと言ったはずなのに、私の頬にキスをしてきた。
そして、抱きしめられているうちに、私はその腕の中で安心しきって眠ってしまっていた。