第8話 門を破壊した犯人・・・
文字数 2,577文字
私の名前は、グレン・パワフィー。ヘブンという国を統一するお嬢様である。
この国では、争いが無いため、住民たちは毎日平和で楽しく過ごしていた。しかし、先日、城の門を破壊される事件が起こった。その犯人がその日のうちにつかまり、審議の間で審議を受けるのであった。
「ヴィトゥレェィアル。なぜ、このようなことをした?」
「・・・」
「黙秘を貫くか。何も、言わないのであれば、やったと解釈するぞ」
「・・・」
セバスチャンの問いに、ヴィトゥは何も話そうとしなかった。
「ヴィトゥ。私はあなたがやっていないと信じたい。しかし、あなたが何も言わなければ、信用することは難しい。いいのか?」
「・・・」
「ヴィトゥレェィアルを、城の門を破壊した国家反逆罪で、牢獄送りとする!」
セバスチャンは、『残念です』と小さな声で言い、ハンマーを持ち上げた。
ハンマーで叩いた瞬間、ヴィトゥの罪が確定してしまう。牢獄送りなんてされたら、二度と会えなくなっちゃう。そんなの嫌だ!!!
「ま。待ってよ! セバスチャン!」
「グレンお嬢様!」
「まだ、ヴィトゥは何も言ってないじゃん。ちょっと、待ってよ!!!」
「グレンお嬢様。ここでは、たとえ犯人であっても、平等でいなければいけません。なので、こればかりは、あなたの意見を尊重することはできません」
セバスチャンは、ハンマーを打ち付けようとした瞬間、ヴィトゥが口を開いた。
「レグンだ! 城の門を破壊した犯人は、レグンだ!」
「!!!」
私とセバスチャンは驚いた。
(どうして、ヴィトゥがその名前を知っているの!?)
「な、なぜその名を・・・!」
「俺は、レグンの正体を見た。そして、レグンが城の門を破壊する現場も見た!!!」
私は、状況が呑み込めなかった。
ヴィトゥが、レグンの名を知っていること、そして・・・
「い、一体誰なんだ! レグンの正体とは・・・!? 答えろ!!!」
「知りたいだろ! レグンという人物によって、国の機密情報が盗まれているのだからな!!!」
「早く言わんか!」
「レグンの正体、それは・・・」
ヴィトゥは、私の方を指さした。
「レグンの正体は、グレン・パワフィー、貴様だ!!!」
住民たちが、一斉に私の方を見た。
『ざわざわ』と、住民たちの声が聞こえてくる。
「な、何を言っている! グレンお嬢様がレグンのわけが無いだろ!!!」
「それをどう説明する! だれも、レグンの正体を見たことが無い以上何もないだろ! しかし、この俺は、レグンの正体が、グレン・パワフィーだという、決定的な証拠を持っている!」
ヴィトゥは、両手につけられていた鎖を無理やり外し、胸ポケットから布切れをだした。
私は、その布切れが何かすぐに分かった。
「それは!」
「これは、城の門が破壊された現場に落ちていたものだ。この正体を、セバスチャンとグレン・パワフィーは知っているだろ!」
あの布切れは、私のバースディパーティーの時に着たドレスの一部だ。でも、私はパーティーが終ったあと、しっかりとしまったはずなのに・・・。
「ばかな、そんな布切れ一枚で、グレンお嬢様がレグンで、城の門を破壊した証拠にはならないだろ」
「確かに、そうだな。だが、城の内部に入れて、どうどうと機密情報を盗める奴がどこにいる!」
ヴィトゥの発現に、セバスチャンの顔から汗がたくさんで始めた。
でも、ヴィトゥの発現は的を的を射ていた。あの布切れは、私のドレスの一部だし、機密情報も、私であれば簡単に城内に侵入出来て、怪しまれることなく盗める。
私は、悔しかった。明らかにヴィトゥは、私を陥れようとしていることがわかるのに、何も反論することができない。
しかし、私にはセバスチャンがいる。そして、住民たちだって私の無罪を信じてくれるはずだ。
「それは・・・。そ、それでも、わ、私はグレンお嬢様の無罪を信じています!」
「あれ? この審議の間では、両者が公平なはずだろ。グレン・パワフィーが何も、言わない以上、有罪ってことになるんじゃないのか? セバスチャン!」
「う、うぅ・・・」
「ほかの住民もそうだ、『がやがや』と、やじを飛ばして。俺に何か文句を言いたい奴は出てこい! そして、俺を嘘つき弱張りするのは構わない、なぜなら審判の間では、お前らの意見は無意味だ。もう一度言う、何か、言いたいことがあれば、今すぐにでもこの場に出てくるのだな」
ヴィトゥの人の小ばかするような笑い声が、聞こえてくる。
私には無実を証明する証拠が何も存在しない。このままでは、私が牢獄送りにされてしまう。
「ヴィ、ヴィトゥ! ど、どうしてこのようなことをするの!?」
「レグン。いや、今はグレン・パワフィーか。どうしても何も、目的は1つしかないだろ」
「わ、私はあなたの彼女だから、あなたを信じていたのに!!!」
ヴィトゥは、『ハァー』と、いきを吐いた。
「あのな~。確かに、俺はお前の彼氏だ。しかし、もう違う!」
「え・・・?」
「これ以上の、審議は不要だ! グレン、君が自身の無罪を証明できる証拠がない以上、君は、もうお嬢様ではない。君の代わりに、私がこの国を統一するから、安心してくれ」
ヴィトゥは、セバスチャンの元に向かった。
何か、小さな声で話し合っているが、話の内容は聞こえてこなかった。
『ドンドンッ!』と、叩かれた音が、審議の間中に響く。
「ヴィトゥレェィアルは、無罪」
「そして、レグン、改め、グレン・パワフィーを・・・!!!」
セバスチャンとヴィトゥの声が、会場中に響いた。
『グレン・パワフィーを国家反逆罪と情報を持ち出した罪で、有罪!!! この先、永遠の牢獄入りとする!!!』
セバスチャンとヴィトゥの声に反応して、私の元に警備の人たちが近づいてくる。
『カチャァ』と、手首に手錠がつけられた。
ゆっくりと、牢獄に追放される私の背中から、ヴィトゥの声が聞こえた。
「さようなら!!! 元、お嬢様!!!」
ヴィトゥの声が、徐々に小さくなっていく。私は、牢獄に連れていかれるまでの記憶を覚えていない。
『ドサァ!』と、音を立てて、牢獄内に放り込まれた。
牢獄内は、広く暗い。風の通しも悪く、透き通る風ではなく、やや生暖かい。
「だ、出して~!!!」
『ドンドンドン』と、牢獄の塀をたたくが、誰も来ない。
このままでは、2か月後に処刑されてしまう。
この国では、争いが無いため、住民たちは毎日平和で楽しく過ごしていた。しかし、先日、城の門を破壊される事件が起こった。その犯人がその日のうちにつかまり、審議の間で審議を受けるのであった。
「ヴィトゥレェィアル。なぜ、このようなことをした?」
「・・・」
「黙秘を貫くか。何も、言わないのであれば、やったと解釈するぞ」
「・・・」
セバスチャンの問いに、ヴィトゥは何も話そうとしなかった。
「ヴィトゥ。私はあなたがやっていないと信じたい。しかし、あなたが何も言わなければ、信用することは難しい。いいのか?」
「・・・」
「ヴィトゥレェィアルを、城の門を破壊した国家反逆罪で、牢獄送りとする!」
セバスチャンは、『残念です』と小さな声で言い、ハンマーを持ち上げた。
ハンマーで叩いた瞬間、ヴィトゥの罪が確定してしまう。牢獄送りなんてされたら、二度と会えなくなっちゃう。そんなの嫌だ!!!
「ま。待ってよ! セバスチャン!」
「グレンお嬢様!」
「まだ、ヴィトゥは何も言ってないじゃん。ちょっと、待ってよ!!!」
「グレンお嬢様。ここでは、たとえ犯人であっても、平等でいなければいけません。なので、こればかりは、あなたの意見を尊重することはできません」
セバスチャンは、ハンマーを打ち付けようとした瞬間、ヴィトゥが口を開いた。
「レグンだ! 城の門を破壊した犯人は、レグンだ!」
「!!!」
私とセバスチャンは驚いた。
(どうして、ヴィトゥがその名前を知っているの!?)
「な、なぜその名を・・・!」
「俺は、レグンの正体を見た。そして、レグンが城の門を破壊する現場も見た!!!」
私は、状況が呑み込めなかった。
ヴィトゥが、レグンの名を知っていること、そして・・・
「い、一体誰なんだ! レグンの正体とは・・・!? 答えろ!!!」
「知りたいだろ! レグンという人物によって、国の機密情報が盗まれているのだからな!!!」
「早く言わんか!」
「レグンの正体、それは・・・」
ヴィトゥは、私の方を指さした。
「レグンの正体は、グレン・パワフィー、貴様だ!!!」
住民たちが、一斉に私の方を見た。
『ざわざわ』と、住民たちの声が聞こえてくる。
「な、何を言っている! グレンお嬢様がレグンのわけが無いだろ!!!」
「それをどう説明する! だれも、レグンの正体を見たことが無い以上何もないだろ! しかし、この俺は、レグンの正体が、グレン・パワフィーだという、決定的な証拠を持っている!」
ヴィトゥは、両手につけられていた鎖を無理やり外し、胸ポケットから布切れをだした。
私は、その布切れが何かすぐに分かった。
「それは!」
「これは、城の門が破壊された現場に落ちていたものだ。この正体を、セバスチャンとグレン・パワフィーは知っているだろ!」
あの布切れは、私のバースディパーティーの時に着たドレスの一部だ。でも、私はパーティーが終ったあと、しっかりとしまったはずなのに・・・。
「ばかな、そんな布切れ一枚で、グレンお嬢様がレグンで、城の門を破壊した証拠にはならないだろ」
「確かに、そうだな。だが、城の内部に入れて、どうどうと機密情報を盗める奴がどこにいる!」
ヴィトゥの発現に、セバスチャンの顔から汗がたくさんで始めた。
でも、ヴィトゥの発現は的を的を射ていた。あの布切れは、私のドレスの一部だし、機密情報も、私であれば簡単に城内に侵入出来て、怪しまれることなく盗める。
私は、悔しかった。明らかにヴィトゥは、私を陥れようとしていることがわかるのに、何も反論することができない。
しかし、私にはセバスチャンがいる。そして、住民たちだって私の無罪を信じてくれるはずだ。
「それは・・・。そ、それでも、わ、私はグレンお嬢様の無罪を信じています!」
「あれ? この審議の間では、両者が公平なはずだろ。グレン・パワフィーが何も、言わない以上、有罪ってことになるんじゃないのか? セバスチャン!」
「う、うぅ・・・」
「ほかの住民もそうだ、『がやがや』と、やじを飛ばして。俺に何か文句を言いたい奴は出てこい! そして、俺を嘘つき弱張りするのは構わない、なぜなら審判の間では、お前らの意見は無意味だ。もう一度言う、何か、言いたいことがあれば、今すぐにでもこの場に出てくるのだな」
ヴィトゥの人の小ばかするような笑い声が、聞こえてくる。
私には無実を証明する証拠が何も存在しない。このままでは、私が牢獄送りにされてしまう。
「ヴィ、ヴィトゥ! ど、どうしてこのようなことをするの!?」
「レグン。いや、今はグレン・パワフィーか。どうしても何も、目的は1つしかないだろ」
「わ、私はあなたの彼女だから、あなたを信じていたのに!!!」
ヴィトゥは、『ハァー』と、いきを吐いた。
「あのな~。確かに、俺はお前の彼氏だ。しかし、もう違う!」
「え・・・?」
「これ以上の、審議は不要だ! グレン、君が自身の無罪を証明できる証拠がない以上、君は、もうお嬢様ではない。君の代わりに、私がこの国を統一するから、安心してくれ」
ヴィトゥは、セバスチャンの元に向かった。
何か、小さな声で話し合っているが、話の内容は聞こえてこなかった。
『ドンドンッ!』と、叩かれた音が、審議の間中に響く。
「ヴィトゥレェィアルは、無罪」
「そして、レグン、改め、グレン・パワフィーを・・・!!!」
セバスチャンとヴィトゥの声が、会場中に響いた。
『グレン・パワフィーを国家反逆罪と情報を持ち出した罪で、有罪!!! この先、永遠の牢獄入りとする!!!』
セバスチャンとヴィトゥの声に反応して、私の元に警備の人たちが近づいてくる。
『カチャァ』と、手首に手錠がつけられた。
ゆっくりと、牢獄に追放される私の背中から、ヴィトゥの声が聞こえた。
「さようなら!!! 元、お嬢様!!!」
ヴィトゥの声が、徐々に小さくなっていく。私は、牢獄に連れていかれるまでの記憶を覚えていない。
『ドサァ!』と、音を立てて、牢獄内に放り込まれた。
牢獄内は、広く暗い。風の通しも悪く、透き通る風ではなく、やや生暖かい。
「だ、出して~!!!」
『ドンドンドン』と、牢獄の塀をたたくが、誰も来ない。
このままでは、2か月後に処刑されてしまう。