第41話 クラレンスとの朝のひととき?
文字数 1,464文字
覚醒前のうつらうつらした時間。
なんだか、安心できる香りに包まれて眠っていた気がする。
この世界……ううん。前の世界でもこんなにゆったりした気分で寝入ってしまったのは、いつぶりだろう。
寝る前は、確か心が凍るような事を考えていた気がするのに、今は暖かい。
誰かにそっと抱き寄せられる。
素直にその暖かさに縋ろうとして、ふと目を開ける。
「クラレンス殿下?」
私、昨日ここから、賢者の間に飛んだっけ。
「ご……めん。眠ったの明け方だから、もう少し」
クラレンスは、そう言いながら私をギュッと抱きしめて、眠ってしまった。
抱き枕替わりかな? 寝ていて良いのなら、私ももう少し寝てようっと。
そう思って、私も寝入ってしまった。
次に目が覚めたのは、もう日も高くなった時間。
隣にいたクラレンスが起き上がった気配を感じたからだ。
「もうそろそろ起きないと、このままダラダラと一日が終わってしまうよ。キャロル」
そう言われて、おでこにキスされる。
私は働かない頭で、クラレンスを見た。
「すみません。昨日、私ったら、ここから賢者の間に飛んだんですね」
「いや。部屋で寝入ってしまったから、寝室に運んだんだが……。ああ、着替えは侍女に任せたからね」
寝入って?
ああ~。そうだわ。クリスが私の中から出て行って、賢者の間に飛ぶなんて出来なくなってたんだ。
一気に、目が覚めた。
なんで? 昨日、何が……って、そうだった。
昨日は、これからの事を話そうとしてこの部屋へ来て。
キスされたんだ。なんだか、怖くて。だけど、婚約者なんだからと思って抵抗を止めたら、すぐにいつものクラレンスに戻ってくれて……。
「もしかしたら、あのまま眠っちゃいました?」
「泣き疲れて眠ってしまってたね。私の腕の中で」
クラレンスが苦笑いしている。顔がカーっと熱くなるのが分かった。
泣き疲れて眠っちゃうなんて……。
「ああ。クリスの事なんだけど、しばらくは私たちに、関われないそうだよ。表向きは、寝込んでいることになっているけど、後始末があるようだから」
後始末……あの混ざった状態ってやっぱりまずいんだ。
だけど、なんだか……。
「そう。なんですか」
そう。なんだかこの世界で、一人ぼっちになった気分。
この世界に来て、ずっとクリスがいてくれたから……なんだか、見捨てられた感が半端ない。
不安に思っていたら、ベッドに転がったままの私にクラレンスが覆いかぶさってきた。
「クリスの方が良い? こういう事をするの」
唇に触れるだけのキスをする。
クリスと? こういう事するの? クリスが私に?
「考えた事も無いです。だいたいわたくしにキスなんてしないでしょう? どちらのクリスも」
私がそういうと、自分の体制を戻し、呆れたように言ってくる。
「でもさ。婚礼の儀が終わったらそういう訳にもいかないだろう? 誰と一緒になっても子供を産まないわけにはいかないのだからね」
「誰と一緒にって……。わたくしは、クラレンス殿下が良いです」
私はガバッと跳ね起きて言った。
クラレンスは妙な顔をしているけど、気を取り直したように咳ばらいをして話題を変えてしまった。
「許可を出しておいて、悪いのだけど。ダグラスの事、警戒しといてもらえないかな。選ぶとかそういう事以前に」
「何かあるのですか?」
「うん。ここじゃなんだから、ちゃんと支度をして朝ごはんの後に話そうか」
確かに、ベッドの上でいつまでも二人して寝間着でいるわけにはいかないと思う。
クラレンスの言った通り、着替えるために寝室を出ることにした。
なんだか、安心できる香りに包まれて眠っていた気がする。
この世界……ううん。前の世界でもこんなにゆったりした気分で寝入ってしまったのは、いつぶりだろう。
寝る前は、確か心が凍るような事を考えていた気がするのに、今は暖かい。
誰かにそっと抱き寄せられる。
素直にその暖かさに縋ろうとして、ふと目を開ける。
「クラレンス殿下?」
私、昨日ここから、賢者の間に飛んだっけ。
「ご……めん。眠ったの明け方だから、もう少し」
クラレンスは、そう言いながら私をギュッと抱きしめて、眠ってしまった。
抱き枕替わりかな? 寝ていて良いのなら、私ももう少し寝てようっと。
そう思って、私も寝入ってしまった。
次に目が覚めたのは、もう日も高くなった時間。
隣にいたクラレンスが起き上がった気配を感じたからだ。
「もうそろそろ起きないと、このままダラダラと一日が終わってしまうよ。キャロル」
そう言われて、おでこにキスされる。
私は働かない頭で、クラレンスを見た。
「すみません。昨日、私ったら、ここから賢者の間に飛んだんですね」
「いや。部屋で寝入ってしまったから、寝室に運んだんだが……。ああ、着替えは侍女に任せたからね」
寝入って?
ああ~。そうだわ。クリスが私の中から出て行って、賢者の間に飛ぶなんて出来なくなってたんだ。
一気に、目が覚めた。
なんで? 昨日、何が……って、そうだった。
昨日は、これからの事を話そうとしてこの部屋へ来て。
キスされたんだ。なんだか、怖くて。だけど、婚約者なんだからと思って抵抗を止めたら、すぐにいつものクラレンスに戻ってくれて……。
「もしかしたら、あのまま眠っちゃいました?」
「泣き疲れて眠ってしまってたね。私の腕の中で」
クラレンスが苦笑いしている。顔がカーっと熱くなるのが分かった。
泣き疲れて眠っちゃうなんて……。
「ああ。クリスの事なんだけど、しばらくは私たちに、関われないそうだよ。表向きは、寝込んでいることになっているけど、後始末があるようだから」
後始末……あの混ざった状態ってやっぱりまずいんだ。
だけど、なんだか……。
「そう。なんですか」
そう。なんだかこの世界で、一人ぼっちになった気分。
この世界に来て、ずっとクリスがいてくれたから……なんだか、見捨てられた感が半端ない。
不安に思っていたら、ベッドに転がったままの私にクラレンスが覆いかぶさってきた。
「クリスの方が良い? こういう事をするの」
唇に触れるだけのキスをする。
クリスと? こういう事するの? クリスが私に?
「考えた事も無いです。だいたいわたくしにキスなんてしないでしょう? どちらのクリスも」
私がそういうと、自分の体制を戻し、呆れたように言ってくる。
「でもさ。婚礼の儀が終わったらそういう訳にもいかないだろう? 誰と一緒になっても子供を産まないわけにはいかないのだからね」
「誰と一緒にって……。わたくしは、クラレンス殿下が良いです」
私はガバッと跳ね起きて言った。
クラレンスは妙な顔をしているけど、気を取り直したように咳ばらいをして話題を変えてしまった。
「許可を出しておいて、悪いのだけど。ダグラスの事、警戒しといてもらえないかな。選ぶとかそういう事以前に」
「何かあるのですか?」
「うん。ここじゃなんだから、ちゃんと支度をして朝ごはんの後に話そうか」
確かに、ベッドの上でいつまでも二人して寝間着でいるわけにはいかないと思う。
クラレンスの言った通り、着替えるために寝室を出ることにした。