【西方怪談6】 ✿ つけられている !?

文字数 804文字

初夏、野山が宵闇に包まれる頃。


忠平と金太は、提灯をたずさえ、細い山道を歩いていた。

この辺りですね? 金太さんが1つ目小僧を見たというのは

ああ。谷の近く、ここらに間違いない。


ほら、あの辺りの樹の根元にいたんだ

・・・・・・。

金太さん。

あなたに話さなければならないことが。

お、おう。

どうした、先生?

我々はつけられています。

な、なんだって?

あの樹か…。少し揺らしてみよう

忠平は、人の気配がする樹へ、手裏剣を放つ。

わわ!? なんか飛んできた!!
いてえ! 誰だ、俺の頭たたいたの!

だれもたたいとらん、木の実が落ちてきたんや!


あ…しまった、見つかっ…

みなさん、お揃いですね?
先生、もしかして気付いちょった?

はい。

どうして私たちのあとを?

俺たち、先生が心配で…そのぉ…
ひ、1つ目小僧に、食われたりせんかなー…と
先生の加勢をしようと思って
というのは口実で、ただ単に妖怪カリコボウズ、見たさだろう、てめぇら。
だから。カリコボウズは山の神ですって…
1つ目て言うたら、絶対妖怪やろ
いや、やっぱり山神やなかったっけ?
1つ目」に限って言えば、妖怪でも神様でもなく「」という可能性もありますよ

そりゃ、どういうことや?

タタラ場など、製鉄業が盛んな地域の人間は、片目、片足、片腕の人間が多いのをご存じですか
え? なんで片っぽばっかりやと?

目で火の様子を確認したり、吹子を片足で踏んで風を送り高温の炎を保っているからです。

1つ目の妖怪は…実は人で、里に入ってきたのかもしれんってこと?
私や金太さんのように、何らかの事情でこの山へ入ったということも…
いや、あれは目が真ん中にあった
俺の見たのもそうや。目が顔の真ん中にあった
ということは・・・・・・人ではありませんね。
妖怪だ。
山神さんだ!

参考資料


夜話 かりこぼう:米良風土記1中武雅周 著/鉱脈社2017年5月

 この昔話は、西米良村の民話「じっくり谷の目一つごろ」を基にしています。

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登場人物紹介

日高萌栄 (ひだか・もえ


中学2年生、13才の少女。

カピバラをこよなく愛する。

重黒木 鋼じゅうくろぎ・はがね


中学2年生、13才の少年。機械いじりが得意。

椎葉 発(しいば はつ)


中学2年生、13才。

萌栄の友達。花火師の孫。

黒木 殿下(くろき でんか)


萌栄のライバル

那須 雨音(なす あまね)


殿下の友達。

黒木 媛(くろき ひめ)


殿下の妹

日高 結芽(ひだか ゆめ)


萌栄のお母さん

日高 地平(ひだか ちへい)


萌栄のお父さん

日高 雲水(ひだか うんすい)


萌栄の祖父

重黒木 功(じゅうくろぎ こう)


鋼のお父さん

重黒木 理玖 (じゅうくろぎ りく)


鋼のお母さん

椎葉 康次(しいば やすじ)


発の祖父。花火師

黒木 智子(くろき ともこ)


殿下、媛のお母さん。

黒木 未夏 (くろき みか)


クラスメイト

中武 陽(なかたけ はる)


クラスメイト

那須 貴也(なす たかや)


クラスメイト

那須 由子(なす ゆうこ)


クラスメイト

お殿様。


西方の里を治める、お殿様。

南朝の忠臣、その子孫。

忠平(ただひら)


お殿様が助けた忍者。

加藤清正に仕えていたが、毒殺の濡れ衣をかけられ、逃げてきた。

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