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文字数 519文字

 ヤマモトが生き残りのメンバーと体勢の立て直しを図っているあいだ、勇三には特別に休息を得る許可が与えられた。
 それだけの働きをした、というのがヤマモトの言い分だったが、気をまわしてくれているのは明らかだった。ほかの面々からも不満は出ず、勇三自身もこの恩恵をありがたく受けとることにした。

 二階の一室に入って後ろ手にドアを閉めた直後、勇三はその場にうずくまった。
 静まり返った室内が、ゲート前で起きたあの戦闘を余計にはっきりと思い出させてくる。周囲の薄闇が恐怖心をあおったが、勇三はランタンの明かりをつけることさえできなかった。
 肩に担いだライフルを重く、右手のグローブを窮屈に感じたが、どちらも手放せなかった。はずすこともできなかった。

〝あいつはおれたちを恐れてる〟

 ヤマモトの声が頭の中で反響する。

〝やつは戻ってくる〟

 感じている恐怖の大きさなら、勇三が抱えているものはあのレギオンにもひけをとらなかった。
 ヤマモトはここにいる全員が恨まれていると言ったが、それは方便だろう。
 あの怪物は、なによりも勇三を殺すためここに戻ってくるはすだ。

 炎の中で慟哭するレギオンの姿がよみがえる。
 勇三はそこに、死の影が迫りつつあるのを予感していた。
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