第9話 二人の絆

文字数 2,600文字

「へい!お待ち!

ラーメン大盛と餃子二人前!」

ダンッ!

(テーブルにラーメンの器と餃子の皿を置いた音)

エヴァン達はバルトスに進められたラーメン屋に入りラーメンと餃子を頼んだ。

レオはこの時ヨダレをたらし待ちきれなかったのかすぐに品が来たらまずラーメンをズリズリと麺をすすり、急いでまだスープが熱いのにもかかわらず犬のようにバクバクと食べた。

エヴァンはその食いっぷりのレオの姿を見て、

「本当に余程お腹がすいてたんですね、レオ。

私は初めてラーメンと餃子と言うものを見るのですが、特にこの餃子という物は変わった形をしていますね。

どれ、この餃子はどのようにして食べるのですか、レオ?」

それを聞いたレオは机の上に置いてあるラー油と餃子のタレを混ぜ合わせて小皿に入れ、初めて餃子を見るエヴァンに向かってこうやってタレをつけて食べると見本を見せた。

エヴァンは見よう見まねでタレをつけて餃子を口の中に一フサ入れた。

エヴァンはこの時餃子を口に入れ頭の中で、

(変わった味だ……でもクセになるかも)

と思い横でバクバクと食べているレオとは対照的に皿に乗ってる餃子を一口ずつ箸でつまみエヴァンは淡々と食べた。

それを見たラーメンの店主は二人の姿を見て面白おかしく気を良くしたのか餃子を初めて食べるエヴァンに対して瓶ビールの蓋を開け、

「兄ちゃん、ビールは飲めるんかい?

瓶ビールは1本オマケしとくよ。

ほら、グイッとグイッと」

と、この時店主から1つのグラスを渡され、エヴァンはそのコップを持ちながらビールを入れてもらい店主から注がれたビールをその場でゴクゴクと飲んだ。

店主が注いだビールを飲んでるエヴァンの姿を見て、店主はそんなグイグイ飲んでるエヴァンに向かって、

「へぇ……兄ちゃん飲める口だね、てっきり酒は苦手だと思っていたのに。

ほらもう一本冷えたビールがあるんだが、もう一本ビール飲みかい?

おう、そうだそうだ、ごめんごめんボウズ。
お前さんの飲み物もなんも用意してなかったよな。
お前さんはほら、このオレンジジュースがいいかい?
このコップにいれてやるぜ。」

トクトクトク……

店主から渡された一個のグラスにオレンジジュースがそそられていく。

レオもエヴァンに対して負け時にオレンジジュースを一気飲みをし、再びレオは横に置いてあるラーメンをズリズリと音を出しながら食べ始めた。

そして二人がそうこうしている内にエヴァンは隣で寝てしまった。

無理もない。

レオの安否を気にし、引き続きハーバーと対峙していたのだから。

この時疲れがドッと出たのだろう。

レオからうけた傷の後もあるし、ずっと緊迫した状態でハーバーと戦っていたのだから……

エヴァンが酒を飲み隣の席で寝ていると店主はそんな横にいるレオに向かって、

「あらあら寝ちまったかい。

だいぶ疲れてんだなお前の先生……

よっぽど意識を失い店で寝るとは、さぞ体を酷使してるんだな、そこの兄ちゃん」

店主がレオに向かってそう言うと、店主も一本瓶ビールの蓋をあけグラスに酒を入れぐいっと飲み始めた。
そしてそんな席の前にいるレオに向かって店主は、オレンジジュースを飲んでいるレオに向かって、

「なあ、ボウズ、そこの隣で寝ている先生カルベロッカの王様なんだってな。

なんでも姫さんを人質にとられて魔族の国にされちまって、いろいろ一人で大変な思いをしたんだな、兄ちゃん」

店主がそう言いレオに向かって言うと、店主は空いたグラスにオレンジジュースをまたトクトクと入れ、飲んでいるレオに向かって再度真顔でレオの顔を見て、

「ボウズ、お前さんの大事な先生、これからもいろんな事があると思うが何かあったら助けてやれよ!」

とレオに向かってひと言言い、やがてレオはラーメンと餃子を食べ終わるとその場からスッと立ち、エヴァンを連れてバルトスが手配している宿に連れていき、その日はエヴァンと一緒にそこで晩を過ごした。

二人がベッドで横で熟睡しているその夜、やがてレオは不思議な夢を見た。

それはどこかはわからないが大きな神殿のあるとある場所で、そこに髪の色が火のように明るくオレンジで長い髪をした女性一人と、そしてその隣に蒼色の髪をした一人の男性が神殿のそこで二人寝そべっている。

レオはこの時夢の中で、

「なんだろうこの光景懐かしい感じが…
まるで初めての感覚ではなく何度も会っているような…

それは、今でも…」

ハッ!

レオは目を覚まし起きた。

そして隣のベッドにはエヴァンが疲れてグーグーとイビキをかきながら寝ていて、この時エヴァンの体はシーツからはみ出て気持ち良さそうに寝ている。

そんな姿を見たレオは寝ているエヴァンに向かって、

「もう!ほんとにだらしないですね先生。このままじゃ風邪ひきますよ!」

と言い、はみ出てるシーツを綺麗に整え、レオはエヴァンの体にそっとシーツをかけた。

そんな気持ち良さそうに寝ているエヴァンは寝言でレオに向かって、

「……

グゥグゥグゥ。

待って、待ちなさい、レオ。

そんなに食べたら貴方は美味しそうな子豚さんに見えて、先生レオの事をこのまま食べてしまいますよ、ムシャムシャ…」

それを聞いたレオは寝言を言って話しているエヴァンに向かって、

「なんで俺が子豚なんですか!

美味しそうって、現に俺の事いっぱい食らったくせに…

もう!」

レオは寝ているエヴァンに向かってその場で腕組をし、呆れて物を言う気にもなれずエヴァンのベッドに座った。

「…………」

だが再び寝ているエヴァンの顔を見てこの時レオはボーとし、寝言を言って寝ているエヴァンのベッドに入りレオは、

「はい、はい。子豚ですよ。

全くしょうがない先生ですね」

とこの時レオはイビキをかき気持ち良さそうに寝ているエヴァンに向かって言い、レオはその日背を背けながらもエヴァンが寝ているベッドで二人仲良くは寝た。

半世紀も渡りずっと受け継がれる魂の結び合い。

レオとエヴァンはその後国の代表者同士でこの恐ろしい出来事を議会で伝え、そして捕らえられているティファーを救い、そして打倒ハーバーに向けて戦いを挑むのであった。

end


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