第34話「最終章」:老人ケアハウス完成と増設

文字数 2,046文字

 やがて開所して夏が過ぎて10月となり、いくつもの問題点が出て対応した。一番の問題は料理の問題で車で10分の農協の食堂で20人分を作ったが想像以上に大変で通常のランチの営業が難しくなったので応援の臨時アルバイトさんを12人確保をする事にした。また運送をパートさんの運転手に、お願いした。

しかし、忙しく、勇三、自ら運転する時が多く、運転手のアルバイトを2人別に確保。また風呂、室内、トイレ掃除も人手がかかり自立生活できる人に極力手伝ってもらった。逆に良かった事は自宅で残った、お菓子、お茶、その他、飲料、食料の寄付をお願いしたいと入り口に掲げたのを見て差入が増え、多くの商品の寄付をもらえた事だ。

 冬が来て加湿器、大型ファンヒーター、空気清浄機をを大きな部屋に設置したが、経費節減のため全て中古販売業者から購入し大型テレビやステレオは地元の人の寄付でしてもらった。その他、来春から庭に花壇をつくり入所者の施設スタッフの協力で花を育てた。12月、寒くなって来てアルコール消毒、除菌石鹸で手洗い、うがい薬でのうがい励行させた。

 熱のある人、咳のでる人の入室を禁止した。しかし12月24日、サンタクロースではなく、インフルエンザが、やってきて2人が、陽性で、病院に入院。熱が38度を超えると近くの開業医へ連れて行き、毎食前に検温をする事をお願いした。施設職員には、マスク着用を義務づけ2016年を迎えた。

 1、2月がインフルエンザの本番で注意し過ぎる程、気を使い1月3人、2月3人の風邪の人、そのうち2人がインフルエンザで入院。それでも感染が広がらず済んで、2016年3月15日を迎えた。4月になり市役所からもう20人分の受け入れを要請され無利子で資金貸与すると言う条件を出してくれた。

 ちなみに入所希望者が50人も入るので、さらに2年のうちに100人の施設を希望したいと言われ、そのための予算も考えておくと言われた。2016年4月に相模原市のの職員が来て、もう20人分の施設を建てるように依頼が来て、市の無利子借入金1億円を借りて同じ施設をもう1棟、建設し職員を配置した。

 しかし介護なしでの生活が厳しいと言って、出て行く、老人が、既に、3人出て、また新しい人が入居した。これを見て勇三は内心、心配になり1、2年様子を見る事にした。すると2016年に3人が抜けて入りたい人もいたので補充できたが、今後、出入りが、多い理由を考えて近郊の老人ホームを回ってみた。

 そうすると2010年から東京、橫浜、首都圏の老人の受け皿として、多くの耕作放棄地に介護老人ホームが有料老人ホームも含めて開設が増えていることが判明。そして空いた時間を利用して、その原因を探り今後の予想を立た。首都圏で、平坦な土地が空いている場所として捜してみると距離、土地の価格、土地の地盤、総合的に考えて相模原が有利。

 さらに、京王相模原線の開通から利便性が、飛躍的に良くなり、農地の転用では、老人施設と賃貸アパートが増えていることがわかった。そこで無利子借入金を2億円借り入れて、現在、完成している4棟と同じ施設をつくり8棟の老人ケアハウスを建設。そして農協の食堂部門に2人のプロの料理人とアルバイト6人を雇い食事の供給体制も強化した。

 すると、この地区では農作物、果物、野菜、山菜、タケノコ、キノコ、川魚がとれ料理の評判が良く農協の全面協力体制のために食費を低く抑える事ができ。2017年5月建設した老人ケアハウスの定員40に対して応募が212人もあって抽選となった。その後、農家をリタイアした人達に施設で使う野菜を育てるミニ庭園を作ってもらった。

 老人ケア施設に、梨、トマト、キュウリ、スイカ、ナス、ピーマンなどを育てるミニ、農園を作り、旬の野菜、果物を自分達で、収穫できる様にすると大喜びされた。こう言う工夫が功を奏して総投資金8億円で市の無利子補助金、スポンサー料、その他を抜いた、正味投資金額、約5億円のうち4億円が2019年6月末迄に回収できた。

 やがて2021年3月31日で遂に黒字化できた。一番の大きい理由は、介護の必要ない老人もやがて介護施設に移る。そのため出入りが多ければ多いほど入所料金が増えていく事が一番の原因と考えられた。また、近隣の大学の福祉学部の学生のアルバイトの人件費が安いことも大きな要因だった。

 そして、2021年4月1日、施設の中庭にテントで建てて、職員や、関係者の記念パーティーを開き、近隣の企業、役所、老人介護施設、役所、銀行、スポンサー、福祉課の学生、農協の関係者に声をかけて、総勢180人が出席してアルコール抜きで簡単な式典を開いた。

 その席で勇三が、この施設の開設の前の考えと開設してから今迄の状況説明をした。それに対して役所、農協の代表が祝辞を述べて乾杯し祝った。近くの相模川の後ろには、緑深き山々の後ろから大きな太陽が我々の成功を祝福するかのように一瞬、太陽が輝きを増した。【終了】
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