秘剣<十字剣>
文字数 2,586文字
リカルド・バウアーはようやく騎乗した<ベアトリスナイト>を駆って、別働隊の副団長のマリア・アドレラと合流した。
マリアは中国とヨーロッパ人のハーフの女騎士であった。
彫が深いボーイッシュな顔立ちに、短い赤毛、碧い瞳という奇妙な融合が神秘的な雰囲気を醸し出していた。
リアルド・バウアー同様、身体にぴったりした白銀色の騎士のスーツに身を包んでいた。
マリアは嬉々として<ベアトリスナイト>を駆って戦場に向かった。
†
いつのまにかメガネ君が話に割り込んできた。
しかし、サイバーグラスにやけにこだわるなあ。
兵士たちのどよめきが大地を揺らした。
彼らの士気は1000パーセント上昇した!
いくらなんでも、上昇し過ぎだろ!
オタク軍団が万全の体制になったところに、白い機体の<ベアトリスナイト>が一騎、近づいてきた。
と思ったら、背中のコクピットが開いて、赤毛の女騎士が現れた。
白銀の騎士スーツ姿に、兜を小脇に抱えている。
安東要もうなづいた。
卑怯なのか、正々堂々なのかはっきりしてほしい気もする。
基本、卑怯と認識しておくが。
天海が源氏の妖刀のひとつ<膝切>を抜く。
<膝切>は騎乗した式鬼<
式鬼<
マリアも銀色の<十字剣>を抜く。
真紅の<ベアトリスナイト>の両足ローラーが金切り音を上げて土煙が上がった。
と見る間に、瞬間移動のように一瞬で天海の目前に現れて切りつけてきた。
天海もとっさにで受けると見えて、マリアの剣は躱されて、いつのまにか<膝切>の切先がマリアの眼前を掠める。
マリアも不敵に微笑む。
天海も好敵手に出会えてうれしそうだ。
真紅の<ベアトリスナイト>と式鬼<
二機の機体がしばし静かにたたずむ。
戦場の静寂を破ったのは、やはり、真紅の<ベアトリスナイト>の方だった。
ただ、その姿はほとんどの人の目には捉えられず、気づいた時には背後から式鬼<
一刀両断、天海の式鬼<
秘剣<十字剣>の正体は、空間そのものを両断する<次元剣>である。
だが、天海も同時に秘剣<
秘剣<
影の中から、せり上がるように式鬼<
天海は<膝切>を構えなおした。
(あとがき)
<影流>は柳生新陰流の源流と呼ばれていて、<陰流>に名を変えて時に上泉信綱に伝えられて、<新陰流>となったようです。
倭寇の刀術だとも言われていて、開祖は日向の愛洲久忠(愛洲移香斎)は明の時代の成化二十年(文明十六年頃)に北京紫禁城に赴き、皇帝の直属軍・御林軍(近衛兵)に「影流」を指導していたという記録もある。
倭寇と戦った明の将軍、
https://kotobank.jp/word/%E6%84%9B%E6%B4%B2%E9%99%B0%E6%B5%81-421389
倭寇の大太刀を模して造られた苗刀(みょうとう、ミァオタオ、miáo dāo)も明で造られている。それを元にした中国武術もあるという。
それだけ、倭寇の刀術、体捌きが優れていて研究されたということである。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8B%97%E5%88%80
次回は「秘剣<陰流>」の予定ですが、当てになりません(笑)