第5話 1月27日 宿酔明け

文字数 2,165文字

「…さ、さっみ。…なんだよこの寒さ。
 …あぁ~、会社行きたくね。
 …あぁ~、起きられねぇ。」

宿酔から明けて、月曜日。
…眠い。

実に陰鬱であり、
寒さと濁った空の重苦しさが
一層それらを際立たせてくれた。

ゲーム制作会社で働いているといっても、
くりえいたー(笑)と言うには程遠く、
飽く迄企業であり、組織であり、

毎月決まった日に決まった労働賃金、
所謂サラリーが発生する時点でサラリーマンでしかないのだ。

よって、こういった悪しき旧体制と戦ってみたところで、
結句、馘首されるのがオチなのである。
まあ体験者が言うのだから間違いない。

誰もかれもがプレイヤーのことなど考えてはおらず、
物を創るといった誇りも何もなく、
ただただ保身に走るということが現実なのである。

とまあ、私の下らない話は置いておいて、
二日前に行った飲み会でいったい何が起こったのか。
性懲りもなく淡々と綴ってゆこうではないか。

1月24日(金)
給料日だというのにマイナスから始まるという
そんな残酷な事実に半ば自棄になりつつ、
私は早めに帰宅をし、アッツイ煎茶を飲みながら
ゆっくりとエロ動画を鑑賞していたのだ。

この前日に飲みすぎたということ、
更には殆ど晩飯を食していなかったということも相俟ってか
珍しく朝飯、昼飯とをしっかり食べた。

しかし普段から食に対し節制してはいるので
空腹には耐えられど、満腹には耐え難いものがあり、
結句、私はこの日の晩飯を抜き(というか満腹感が取れなかった)
無論酒も飲まずに就寝したのであった。

そんな陰惨は給料日の週末を乗り切った私は、
兼ねてから付き合いのある同僚と友人でもって、
先だって飲み会の約束をしていたのであった。
翌、1月25日(土)のことである

体調は万全なのだが、懐がズタボロな私は、
馴染みの金貸し屋、もう初めてではない〇コムへと向かい、
1万5千円ほど借り入れをした。

そもそもこの飲み会、私を含め計5人なのだが、
方々から集まるもので、なるべく早めに開始して
早めに開こう、という算段でもって都合したのだ。

よって、開始は16時。早い!
案の定で一番遅れてきたのが私。

とにかく楽しかった、ということだけは覚えているのだが、
その肝心の内容が今一つ思い出せないのだ。
…あれ?それって、楽しかった、ってことになるのかな?

内容を覚えていなくて、雰囲気だけ、フレーバーだけ、
ほんと匂いだけ嗅いで、それで
「ああ~!あの料理美味しかった!」
と、言えるのか?

…うるさーい!
男は細けぇことたぁ気にしねぇ!

そして会計が幾らだったのかも覚えてはいないが、
私ともう一人以外、全員年下ということもあり、
その1万5千円全てを払った。…と思う。

「宵越しの銭は持たねぇ!」

…って莫迦!
ありゃあ、当時支払いが日払いだったから言えた台詞であって、
そもそもお前は月払いだろうが!
あと、マイナスなんだぞ!すでに!

…はぁ~。

で、お開き。…とはならないー!
俺はそんなにお行儀よくなーい!

その後、(それ以前この時何時だったのかも覚えていないが)
同じ年の一人と共に、
二人でアイリッシュパブに行き、
ナンパをしたようなしていないような…

でも、女性らと座ってワイワイ話していたであろう
記憶の断片はある。
そこではさほど飲まず、1パインドのエールを彼に一杯おごってもらい、
それをチビチビやっていたような、そんな記憶も断片としてある。
(まあ、この時一文無しなのだからそうなるだろう。)

その後女性たちとも別れ、その彼とも別れ、
私は独り、家路へと就いたのだ。

伽藍堂な部屋に戻り、颯爽とカードケースを…
ってチョット待ておい…
お前やっぱ莫迦だろう!何で同じことしてんだよ!
懲りてねぇな?懲りてねぇだろ!?
自分が今何やってっか解ってる?なあ、おい!莫迦!タコ助!

どうすんだ、どうすんだそのカードケース!

か~ら~のぉ、〇コムのカードを取り出しぃのぉ、
コンビニ向かぃ~のぉ、キャッシングッ!!!

…もうお願い、見てらんねぇわ。

うろ覚えだが、何故か足取り軽やかに、
ってチョットは躊躇しろ!莫迦!また極貧生活送ることになるぞ!

…そうです、私はガールズバーへと向かったのです。

しかし、フリーだったので3セット居たにも関わらず、
タックス込みで7千ちょいだったのは不幸中の幸い!

…あのな、そもそも行くなって話な。

更に運のいいことに、眠気が勝ってそのまま帰宅!

…って当たり前ぇだタコ助!

…しかし、一瞬スマホ見て
「まだ2時前か」
と、キャバクラが脳裏をよぎった事実を勘案すれば、
自身のクズっぷりに恐怖すら覚える…
…あぁ、ただただ、俺は淋しいだけなんだろうなぁ。

ま、生きてるしいっか!

だめぇええええええええええええ!!!!
ぜってぇよくない!!!!!

記憶がある状態で、しっかり考えて散財。
これなら問題なし。

記憶がないのがダメ、更に後々後悔するからもっとダメ!

でも、誰にも迷惑かけてないしね!てへっ!

…はぁ~。
マジで今月もどうすんだよ…。

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