第四項 避難
文字数 924文字
「よろしかったら、私たちと一緒に避難されませんか?」
戦いを終えて、ワゴンでリジルたちの無事を確認する僕に、彼女は声をかけてきました。
「貴女は?」
「先ほど処刑されそうだったところを、助けていただいた者です」
「ああ、あのときの……」
「ありがとうございます。貴方のお陰で、村は救われました」
キレイな女性(ヒト)だった……見た目だけじゃない。優しそうで、暖かい、それでいて瞳に力がある、ステキな女性だった。
「私はクレナ。クレナ・ティアスです。あなたは?」
「え?あ、えっと……僕は」
僕は咄嗟に、どう名乗るべきかを悩みました。
「僕は蓮といいます……よろしく」
「よろしく。失礼ですが、アルビジョワの方ではありませんね?」
そう言ってこの知的な美人さんは、僕にぺこりと頭を下げた。
「ええ、まぁ……後ろの2人はこの国の子です。戦火に見舞われてしまったようで」
「それは大変ですね。よろしかったら、この子たちを保護させてください。これから避難する隣町なら、こどもたちを預かれるので」
「預かる?施設かなにかですか?」
「学校があるんです。そこで戦災孤児が寝泊りしています。食事も、粗末ですが提供できるので」
「そうですか。私もそこにお邪魔していいでしょうか?この子たちをお任せできるのか、拝見したいので」
「構いませんよ。村を救っていただいたんです。お礼をさせてください」
そう言って彼女は、僕たちのワゴンに乗り込みました。後部座席に座り、フェルトを膝の上に載せてあやしながら、北にある隣町へと導いてくれました。
塞がれていたトンネルは、駆けつけたレジスタンスがダイナマイトで吹き飛ばし、なんとか通れるようになっていました。レジスタンスのトラックに大勢詰め込んで、彼らは避難を始めました。僕もワゴンを走らせて、彼らとともに町を目指したのです。
フェルトをあやす姿は、僕にとって心安らぐものでした。たったひとりでこの子たちを守る重責、追っ手と戦う緊張感を、彼女の存在が弱めてくれているような、支えてくれているような気持ちになっていたのだと思います。だから、この後彼女と過ごすうちに、彼女の優しさに触れるうちに、僕は心惹かれていくのです……
戦いを終えて、ワゴンでリジルたちの無事を確認する僕に、彼女は声をかけてきました。
「貴女は?」
「先ほど処刑されそうだったところを、助けていただいた者です」
「ああ、あのときの……」
「ありがとうございます。貴方のお陰で、村は救われました」
キレイな女性(ヒト)だった……見た目だけじゃない。優しそうで、暖かい、それでいて瞳に力がある、ステキな女性だった。
「私はクレナ。クレナ・ティアスです。あなたは?」
「え?あ、えっと……僕は」
僕は咄嗟に、どう名乗るべきかを悩みました。
「僕は蓮といいます……よろしく」
「よろしく。失礼ですが、アルビジョワの方ではありませんね?」
そう言ってこの知的な美人さんは、僕にぺこりと頭を下げた。
「ええ、まぁ……後ろの2人はこの国の子です。戦火に見舞われてしまったようで」
「それは大変ですね。よろしかったら、この子たちを保護させてください。これから避難する隣町なら、こどもたちを預かれるので」
「預かる?施設かなにかですか?」
「学校があるんです。そこで戦災孤児が寝泊りしています。食事も、粗末ですが提供できるので」
「そうですか。私もそこにお邪魔していいでしょうか?この子たちをお任せできるのか、拝見したいので」
「構いませんよ。村を救っていただいたんです。お礼をさせてください」
そう言って彼女は、僕たちのワゴンに乗り込みました。後部座席に座り、フェルトを膝の上に載せてあやしながら、北にある隣町へと導いてくれました。
塞がれていたトンネルは、駆けつけたレジスタンスがダイナマイトで吹き飛ばし、なんとか通れるようになっていました。レジスタンスのトラックに大勢詰め込んで、彼らは避難を始めました。僕もワゴンを走らせて、彼らとともに町を目指したのです。
フェルトをあやす姿は、僕にとって心安らぐものでした。たったひとりでこの子たちを守る重責、追っ手と戦う緊張感を、彼女の存在が弱めてくれているような、支えてくれているような気持ちになっていたのだと思います。だから、この後彼女と過ごすうちに、彼女の優しさに触れるうちに、僕は心惹かれていくのです……