(三)

文字数 235文字

 私は、日曜の夜に実家から都内のアパートの自分の部屋に戻ってきていた。
 そして週が明けた月曜日、午後一時から始まる三限目の授業が休講になったため、サークル部室に顔を出した。
 中には、永尾武雄だけがいた。会議室用のテーブルとパイプ椅子が並べられた質素な部室だった。彼はその一席に座って、漫画雑誌を読んでいたのだ。
 私は思いきって彼に聞いてみた。
「あなた、もしかして尾襖(おぶすま)中出身なの?」
 彼は私の方に顔を向けたが、答えなかった。
「もしかして、あんた、有田? 野球部の」

(続く)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み