第5話 交際開始
文字数 2,239文字
さて、実際に交際を始めたのだが、ファーストデートはどうしようか悩んだ。
何といっても旧家のお嬢様だ。
食事の場も、ちゃんとしたところを事前に予約しなくてはいけないだろう。
といろいろと悩んでいた。
『そう言えば、食の好みとは聞いていなかったな』
と思い、早速電話をしてみた。
「この度、お見合いをさせて頂き、交際をご了承いただいた白藤勇輝です」
「赤峰恵さんの携帯電話でお間違いないでしょうか?」
「はい。赤峰恵でございます」
「本日は、どのようなご用件でいらっしゃいますか?」
となんか凄くお嬢様らしくでたので、正直腰が引けた。
と思っていたら、電話の先で急に笑い出した。
「あははははは」
「だって勇輝さんが、とっても丁寧すぎる挨拶をしてくるものですから、これは合わさないといけないかなって思ったのですが、おかしくなって笑ってしまいました」
「そんなに畏まらなくても、あの庭園のように普通に話してください」
そう伝えてくれた。
「あ、はい。そうですね。これからは、そうします」
「はい。そうしてください」
と返ってきた。
「正直に言いまして、今度のデートで悩んでいます」
「どこか料亭とか予約しようと思ったのですが、恵さんの食の好みをお聞きしていなかったので、教えてくれませんか?」
『……』
『あれ? 返事がない』
と思っていると
「う~~~ん。まだ解っていらっしゃらないのですか? 家柄のことは気にしないでください」
「普通に映画に行ったり、水族館に行ったり、ウィンドショッピングを楽しんだりで良いですよ」
「食事も、別にファーストフードで全然構いません」
と言ってくれたのだ。
『……』
「え? 本当にそんなので良いのですか?」
と思わず聞き返した。
「勇輝さん、そんなに気にすると疲れちゃいますよ」
「私たちは、夫婦になる前提でお付き合いをするのですから、早々に疲れたとご辞退されては、私が困ります」
と強く言ってきた。
その言葉で、身体から力が抜けた。
思わず笑いだし
「あはは。そうですね。では、普通の女性だと認識を改めます」
と宣言した。
「はい。その方が嬉しいです」
と電話口から声が聞こえた。
*
そんな訳で、本当に普通のデートとなった。
彼女は、清潔感を感じさせる淡いブルーのワンピース姿で現れた。
勿論、良いものらしく生地が上物でデザインもオシャレだった。
そして来ないだろうとは思っていたが、お付きの人も付いて来なかった。
「おはようございます」
「とてもワンピースお似合いですね。清潔感があって、恵さんにピッタリです」
と伝えた。
が、いきなりジト目になった。
「あら、勇輝さんは流石にデート慣れしていらっしゃいますね。女性を褒めるのがお上手ですわ」
と責めてきた。
その言葉で焦っていると、恵さんは笑い出した。
「あはは、冗談ですよ。ジョーダン」
「褒めて頂いて、ありがとうございます。いろいろと悩んで、これに決めたので安心しました」
と手をチョイチョイしながら伝えてきたので、一気に緊張が取れた。
*
その後は彼女が観たかったという映画を見て、普通にチェーン店のうどん屋で食事したあとは、いろいろウィンドショッピングを楽しんだ。
そして夕方になったので、自宅まで送ろうと思ったら、
「あら、私と夕食は一緒にしてくださらないのですか?」
と聞いてきた。
「いえ。初めてのデートですし、恵さんには門限とかあるのかと思ったのです」
「ふぅ~~~~~」
「えっと、私たちはお見合いの上で両家の公認の元でお付き合いしているのですよ」
「いきなり朝帰りなんてなったら流石にいけませんが、夕食くらいはご一緒にと思って今日は来ましたのよ」
と顔を赤らめて話してくれた。
『無茶苦茶、可愛い!!』
心臓がドキっとした。
「そうなんですね。では、ご一緒に夕食を済ませてから自宅までお送りしますね」
と答えた。
*
夕食は、少し高めの寿司屋に入って済ませた。
「もっと安いところで、良いですよ」
と言ってくれたが、
「最初のデートですから、カッコつけさせてください」
と伝えたら納得してくれた。
奢ろうと思ったのだが、こう提案された。
「勇輝さん、私にお金をそうですねー。3万ほど預けてくれませんか?」
「私も3万だします。別の財布を持ってきたので、それに入れますね」
「ですので、今後はこうやって出費はこの財布から出しましょう」
「それで足りなくなったら、お互い追加しあいサイフに入れる。如何ですか?」
と言うのだ。
『しっかりとした方だ!』
『もう財布を握られた感はあるが、本当に結婚前提で考えてくれているんだな』
そう心から感心した。
「はい。わかりました。恵さんに、お任せします」
と早速3万円を渡した。
それを受け取って恵さんは自分の財布から3万をとりだし、別の財布に入れてからお勘定を済ませていた。
『……凄い人だな』
と尊敬の意が湧いた。
その日は、そのまま自宅まで送り届けてから帰宅した。
*
「帰宅したら連絡してください」
と言われていたので、早速電話した。
「勇輝です。今、自宅に着きました。今日は、ありがとうございました」
「こちらこそ、楽しかったです。ありがとうございました」
その後、ついつい長話をしてしまった。
その夜、寝る前に
『なんと言うのか、パズルのパーツがあったって本気で思えたな』
と心底感じ、
『イリス、恵さんと巡り合わせてくれてありがとう』
と心の奥へ感謝の念を伝えて、眠りについた。
その夜、イリスが無邪気に喜んでいる夢を見た。
何といっても旧家のお嬢様だ。
食事の場も、ちゃんとしたところを事前に予約しなくてはいけないだろう。
といろいろと悩んでいた。
『そう言えば、食の好みとは聞いていなかったな』
と思い、早速電話をしてみた。
「この度、お見合いをさせて頂き、交際をご了承いただいた白藤勇輝です」
「赤峰恵さんの携帯電話でお間違いないでしょうか?」
「はい。赤峰恵でございます」
「本日は、どのようなご用件でいらっしゃいますか?」
となんか凄くお嬢様らしくでたので、正直腰が引けた。
と思っていたら、電話の先で急に笑い出した。
「あははははは」
「だって勇輝さんが、とっても丁寧すぎる挨拶をしてくるものですから、これは合わさないといけないかなって思ったのですが、おかしくなって笑ってしまいました」
「そんなに畏まらなくても、あの庭園のように普通に話してください」
そう伝えてくれた。
「あ、はい。そうですね。これからは、そうします」
「はい。そうしてください」
と返ってきた。
「正直に言いまして、今度のデートで悩んでいます」
「どこか料亭とか予約しようと思ったのですが、恵さんの食の好みをお聞きしていなかったので、教えてくれませんか?」
『……』
『あれ? 返事がない』
と思っていると
「う~~~ん。まだ解っていらっしゃらないのですか? 家柄のことは気にしないでください」
「普通に映画に行ったり、水族館に行ったり、ウィンドショッピングを楽しんだりで良いですよ」
「食事も、別にファーストフードで全然構いません」
と言ってくれたのだ。
『……』
「え? 本当にそんなので良いのですか?」
と思わず聞き返した。
「勇輝さん、そんなに気にすると疲れちゃいますよ」
「私たちは、夫婦になる前提でお付き合いをするのですから、早々に疲れたとご辞退されては、私が困ります」
と強く言ってきた。
その言葉で、身体から力が抜けた。
思わず笑いだし
「あはは。そうですね。では、普通の女性だと認識を改めます」
と宣言した。
「はい。その方が嬉しいです」
と電話口から声が聞こえた。
*
そんな訳で、本当に普通のデートとなった。
彼女は、清潔感を感じさせる淡いブルーのワンピース姿で現れた。
勿論、良いものらしく生地が上物でデザインもオシャレだった。
そして来ないだろうとは思っていたが、お付きの人も付いて来なかった。
「おはようございます」
「とてもワンピースお似合いですね。清潔感があって、恵さんにピッタリです」
と伝えた。
が、いきなりジト目になった。
「あら、勇輝さんは流石にデート慣れしていらっしゃいますね。女性を褒めるのがお上手ですわ」
と責めてきた。
その言葉で焦っていると、恵さんは笑い出した。
「あはは、冗談ですよ。ジョーダン」
「褒めて頂いて、ありがとうございます。いろいろと悩んで、これに決めたので安心しました」
と手をチョイチョイしながら伝えてきたので、一気に緊張が取れた。
*
その後は彼女が観たかったという映画を見て、普通にチェーン店のうどん屋で食事したあとは、いろいろウィンドショッピングを楽しんだ。
そして夕方になったので、自宅まで送ろうと思ったら、
「あら、私と夕食は一緒にしてくださらないのですか?」
と聞いてきた。
「いえ。初めてのデートですし、恵さんには門限とかあるのかと思ったのです」
「ふぅ~~~~~」
「えっと、私たちはお見合いの上で両家の公認の元でお付き合いしているのですよ」
「いきなり朝帰りなんてなったら流石にいけませんが、夕食くらいはご一緒にと思って今日は来ましたのよ」
と顔を赤らめて話してくれた。
『無茶苦茶、可愛い!!』
心臓がドキっとした。
「そうなんですね。では、ご一緒に夕食を済ませてから自宅までお送りしますね」
と答えた。
*
夕食は、少し高めの寿司屋に入って済ませた。
「もっと安いところで、良いですよ」
と言ってくれたが、
「最初のデートですから、カッコつけさせてください」
と伝えたら納得してくれた。
奢ろうと思ったのだが、こう提案された。
「勇輝さん、私にお金をそうですねー。3万ほど預けてくれませんか?」
「私も3万だします。別の財布を持ってきたので、それに入れますね」
「ですので、今後はこうやって出費はこの財布から出しましょう」
「それで足りなくなったら、お互い追加しあいサイフに入れる。如何ですか?」
と言うのだ。
『しっかりとした方だ!』
『もう財布を握られた感はあるが、本当に結婚前提で考えてくれているんだな』
そう心から感心した。
「はい。わかりました。恵さんに、お任せします」
と早速3万円を渡した。
それを受け取って恵さんは自分の財布から3万をとりだし、別の財布に入れてからお勘定を済ませていた。
『……凄い人だな』
と尊敬の意が湧いた。
その日は、そのまま自宅まで送り届けてから帰宅した。
*
「帰宅したら連絡してください」
と言われていたので、早速電話した。
「勇輝です。今、自宅に着きました。今日は、ありがとうございました」
「こちらこそ、楽しかったです。ありがとうございました」
その後、ついつい長話をしてしまった。
その夜、寝る前に
『なんと言うのか、パズルのパーツがあったって本気で思えたな』
と心底感じ、
『イリス、恵さんと巡り合わせてくれてありがとう』
と心の奥へ感謝の念を伝えて、眠りについた。
その夜、イリスが無邪気に喜んでいる夢を見た。