3 世界史を思い出して

文字数 1,090文字

 陰謀論のようですが、それとは別に、歴史の教科書にも載るような、後から判明したり、公開されたりする秘密政策も結構あります。私は東西冷戦自体にも、演出の部分があったのではないかと思います。核兵器による〝相互確証破壊(MAD)〟への恐怖のおかげで、世界大戦は避けられたのかもしれません。

 冷戦時代に騒がれた爆撃機(ボマー)・ギャップもミサイル・ギャップも実は存在せず、偵察機のU2は落とされたがSR71はソ連上空をあたかも無人境の如く飛んでいた、と書いた本も読んだ記憶があります。湾岸戦争に見られたような技術格差は、実は当初からあったのではないでしょうか。

 東西冷戦偽作説は、広瀬隆さんも『赤い盾』のなかで書いています。

 赤狩りのマッカーシーも、『共産中国はアメリカが作った』という本を書いています。

 共産主義自体も含む制度・政策上の支援。核・ミサイル・航空機・戦車などの軍事技術や、石油採掘技術といった技術の移転。金融・物資・芸術など経済・社会的な支援も沢山あったようです。

 アムステルダムの金融市場やクルップの鉄製大砲、日露戦争の軍艦や戦費、イスラエルのミサイル艇なども同様ですが……。

 放送大学でも、イギリスは欧州各国の、アメリカは世界各国のバランスをとっていたと講義していました。

 アメリカの政策研究所(シンクタンク)、ストラトフォーを率いるジョージ・フリードマンの著作群や、日本でも有名なサミュエル・ハンチントンの『文明の衝突』など、国際政治学のベストセラーにも、そうした生々しい〝勢力均衡政策〟は当然のこととして書かれています。

 確かに、干拓でできた小国オランダはフランスやスペインを相手に善戦し、三十年戦争で荒廃していたプロシャ/ドイツは急激に発展して普仏・普墺戦争に勝利し、広大で環境の厳しいロシア/ソ連も急速に拡大してイスラム・黄色人種の文明圏を抑えつつ近代化しました。

 オランダ、ドイツ、ロシアは、いわばユーラシア大陸における文明化の(くさび)にように次々と発展し、強くなりすぎると英蘭戦争や両次大戦、東西冷戦で他の国々から抑えられますが、その先の国から攻められたり、圧力を受けたりすると助けてもらい、これで恨みっこなしね、というようにバランスがとられていたようにも見えます。

 またその反対側では、ロシア/ソ連を初めは日本、次に中国が抑え、中国をインド、インドをパキスタンが牽制した、といったこともあります。日本やイスラエル、南アフリカなど、大陸周辺の地理的要地にある他の国々についても、同様のことが言えるかもしれません。
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