そして、鶏へ

文字数 608文字

 数時間の残業をして帰路につく。赤いマーカーで値段を修正されたシウマイが、今日のおかずだ。作られてから時間が経ち、薄い容器に詰め込まれた鶏シウマイ。そのままでも旨く、飽きたら調味料をつけても良い。焼き鳥も旨いのだが、あちらはおかずと言うより晩酌向きだ。なんなら竹串の処分も面倒だから、その処分までも居酒屋任せにしたい。

 おかず一種では体に悪かろうと、青汁を作る。牛乳に溶かす方が好みだが、保存が利くのは豆乳である。また、どちらのストックもなく、苦さが気にならないなら、水に溶かせば良い。うむ、苦い。もう

「仕事だ。変身しろ」
 軽く吹いた。そして、噎せた。謎の生き物の出現には困るが、魔法少女アニメの様にくっつかれた方が困る。幾ら他者に気付かれない設定でも、コイツが会社に付いて来たらたまったもんじゃない。

「なんだ? もう変身呪文を忘れたか?」
「アーメン、ラーメン、イカソーメン!」
 最早、やけだった。諦めとも言う。

「今回は、前回に比べて憑かれた人間が強い。向かってきたら直ぐに呪文を唱えろ」
 言うが早いか転送魔法を使う謎の生き物。今回はどうやら体育倉庫らしい。平均台やマットが床に並び、バスケットボールが金属製の籠に入れられている。そして、埃と汗の混ざった独特の匂いがした。

「ターゲットは、ハゲの□リコン、変○ジジイだ」
 それ、良く学校側がもみ消すやつだな。被害者も口に出せないから、そのせいもあって公にならないやつ。
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登場人物紹介

社畜
流されやすい会社員

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