1、超絶技術、厳男子先生のテクに迫る!

文字数 4,573文字

4月23日  20時00分開始予定


こんにちは。

漫画家の森脇かみんです。

今回も私主催で漫画家さんをゲストにお呼びし、お話を聞いていきたいと思います。

第六回目のゲストは「厳男子(きびだんご)」先生です。


よろしくお付き合いください。

本日 20時より開始

パネリストへの質問は21時より 可能となります

皆様、よろしくお願い致します。

時間になりましたね。今回も座談会始めさせていただきます。


まずは自己紹介をば「かみんの部屋」司会進行を務めさせていただきます。
森脇かみんです。
みなさま、よろしくおつきあいくださいませ。


今回のゲストは
LINEマンガにて脅威の創作ダンス漫画
『ムラサキ』

を連載中の鬼才!

『厳男子(きびだんご)』先生です!

こんばんは!
厳男子です!よろしくお願いします!
では、さっそくですが、厳男子先生のこれまでの足跡をお伺いしてもよろしいでしょうか?
はい。時は2008 年。ゲーセンにストリートファイターシリーズの新作『ストリートファイターⅣ』が登場しました。そのゲームに完全にはまってしまい週7でゲーセンに通ってました。今だったらプロゲーマーを目指すところですが、その時は漫画家を目指すことにしました!
(この人なに言い出したんだろう?)
完成させた漫画は2009年秋のアフタヌーンの四季賞に投稿し萩尾望都特別賞をいただくことができました。四季賞ポータブルというアフタヌーンのおまけ小冊子でデビューしました。
それはすごいです! すごいんですけど、なんで、ゲームから漫画描く話になったんですか?
ゲームは直接関係ないです(笑)
大学が美術系で油絵を描いてました。なので絵を描くのは好きだったんです。教員免許もとらなかったし就職活動も一切しなかったんで漫画家になって一発当てるしかねえ!と思ったんです!
じゃあ、なんでゲームの話したんですかっ?!


しかし、なるほど、すごいわかりやすい動機ですねw

それでは、漫画家になろうとかはじめは思ってなかったんですか?

大学入学した頃は漫画家になろうと思ってなかったです。

漠然と芸術家になろうと思ってました(笑)
でも入学してからほとんど絵を褒められず、授業で上から順に絵を並べられるんですが、いつも真ん中かそれ以下ぐらいの評価でした。
ただ共通体育でダンスをやった時だけダンスの先生にすごく褒められてダンサーになろうと一瞬思いました!

それはなんとなく分かる気がします。

それまで、自分ではそれなりに出来ると思っていたことが、大学とかに入ってみたら、自分よりずっと上手い人がいて心が折れそうになる経験ってありますよね。

そんななかでも、ダンスが自己表現として向いてた感じなんですかね?

ダンスの技術は全くなかったですが、恥ずかしがらずに表現する!思いっきりやりきる!人と違う演出をするということが評価されました。一年間の授業の最後にダンスの作品発表があるのですが、基本みんなグループでやるなか、自分はソロで発表しました。自分以外の人間にこれをやれといったら断られるような演出や振付けだったからです。先生はひとりで発表したことも褒めてくれました。
この経験は今漫画を描くことに生きてきてると思います。
その経験が、今のダンス漫画『ムラサキ』に通じるわけですね!! へーっ、面白いです。確かに厳男子先生の作品には『人と違うことをして、それを表現する』ことに特化している部分があると思いますが、そういう経験が元になっているわけですね。
そうですね。ダンスを通してそういうことに気が付きました。自分の性質がアートよりもエンターテイメント向きだったんだと。
それで一枚絵よりも演出やストーリーがある漫画をやろうと決意するに至りました。
さすがは厳男子先生。おそらく『ダンスやったから、漫画描こうって気づいた』人ってまずいないですよw
21時を過ぎました。ここからは視聴されている皆様からの質問も受け付けます。何かご質問ありましたら、書き込みよろしくお願い致します。
そういえばダンス作品の発表の時にソロで発表したひとが3人いて、ひとりはプロのダンサー、ひとりはお笑い芸人、ひとりは漫画家(自分)になりました。ひとりで人前で身体表現するとギャンブル人生をスタートすることになるのかもしれません(笑)
その尖り方がエンタティナーに必要なのかもしれないですね。


そうしたところから漫画家としてスタートした、厳男子先生ですけれども、厳男子先生といえば、画力に裏づけされた独特の画風と、画面描写になるとおもうんですけれど、あれはどのように作られているのでしょうか?

『ムラサキ』に関してはフルデジタルで原稿を描いてます。
最初はそれほど特異な描き方をしていなかったと思うのですが、最近はデジタルでしかできないような描き方はないか常に模索しながら描いてます。それはある事故がきっかけでした…。
事故?!

事故って何があったんですか?

ずっと解像度600dpiで漫画を描いてたんです。でも『ムラサキ』の途中から解像度が350dpiになってます。これは原稿データを作成するときに自分がミスったんです。
描き終わった後に気が付いて青ざめました。
うわぁ、それ大丈夫だったんですか!?
「線の感じ変わった?」と知り合いの漫画家さんから言われて「ギクッ」ってなりました。でも「前より好きかな」と言われたんです。
おおっ! それは、結果オーライですねっ!!
そうなんです!ちなみに漫画の新人賞の作品投稿の概要にはだいたい600dpiで原稿を作ってくださいと書いてありますが、オレは気にせず350です!

「ワイルドだろ?」

森脇先生、いつもお世話になっております。

厳男子先生、毎回ムラサキ楽しく拝読しております…!今回の座談会もとても楽しいお話が聞けて嬉しいです!

地由と申します。


厳先生のダンスのお話と、それを想起させるムラサキ制作の裏話もとても気になります。

が、まずは厳先生の超絶画力・表現力について質問をさせてください!


油彩画を描かれていたとおっしゃっていましたが、

色を塗り重ねる油彩画の描写と、白と黒で表現するマンガの描写はとても異なると思います。

作品を拝見して毎回嘆息ものなのですが、

あの形に仕上がる前、下絵はどのように描かれていますか?

いや、下絵よりももっと前、ネームはどのくらい描き込まれているのでしょうか?

準備段階でどれくらい完成図が見えているのか、とても興味があります。

やはり油彩っぽいのでしょうか…?

もし下絵・ネームを残していらっしゃれば、一度拝見したいです!

(いまこのタイミングでスギちゃん……だと?!)

ワイルドかどうかはわかりませんけど、それが上手く効果の一端になっているのは間違いないですね。それはそれとして、読みきりの時の『ムラサキ』は600で描かれていたんですよね? あれも、新連載研究会で騒然となった3ページ見開きとかありましたけど、どこからあの画面と発想が出てくるんでしょう?

地由さん質問ありがとうございます!


あの形に仕上がる前、下絵はどのように描かれていますか?

いや、下絵よりももっと前、ネームはどのくらい描き込まれているのでしょうか?

準備段階でどれくらい完成図が見えているのか、とても興味があります。

やはり油彩っぽいのでしょうか…?

もし下絵・ネームを残していらっしゃれば、一度拝見したいです!


了解しました。今から参考になる画像を貼りますね。

これが今LINEマンガで読める最新話の1ページ目のネームと完成原稿です。ネームの描き込みはだいたいこんな感じです。
はじめまして。ニシヤマと申します。

質問よろしいですか?


350dpiで書いたら、作業は楽になりますか?

それとも、出来上がりが良いから350を採用しつづけるのですか?

ku-ri-bou

一コマ目の後ろのエフェクトは最初なにも決まってなくて描いてるとできてくる感じです。

さきほど350dpiで原稿を描いているという話をしていましたが、350dpiのメリットはグレーのレイヤーをふんだんに重ねたり、特殊な描き方ができる筆を最大の大きさで使いまくってもあまり重くならず描けるのでどんどんワイルドな実験ができるところです。

準備段階でどれくらい完成図が見えているのか、とても興味があります。

やはり油彩っぽいのでしょうか…?


ダンスシーンの一枚絵を描く過程を今からアップします。

↑ここまではモノクロレイヤーで描いてます。
↑ここからグレーで描き足していってます。
↑階調の反転をして白黒を逆転させました。デジタルならではの荒業です。
↑適当に切り取って階調を元に戻してます。
↑最終的に階調を反転させたところと元に戻したところを混ぜて完成しました。現在デジタルでしかできないような描き方を研究しています。レイヤーを重ねて一部削ったりなどは油絵を描いてるときにやすりで下地を削り出したりしたのと近い感覚でやってます。油絵はアナログですがあるいみデジタルのレイヤーの概念にすごく近い部分があると思います。

ニシヤマさん質問ありがとうございます!


>350dpiで書いたら、作業は楽になりますか?

それとも、出来上がりが良いから350を採用しつづけるのですか?


作業は600より楽になることはないですかね(笑)ただ細かいところが600より描けないので細かいところに諦めが気持ちつきやすいかもしれません。データが軽いので350で描いた方が色々実験が楽にできます。

うわああ…!迷いない線でネーム描いていらっしゃる…!!

眼福です。ありがとうございます!

5コマ目の改変はありますが、ネーム時点でキャラの演技などはもう固まっているのですね。


制作過程のアップまで…!! これはすごい…!!

ネームがあくまでラフで、筆を運びながら最大限実験して、

塗り重ねるように完成させていくのですか…!!!


デジタル作画だからこそ、マンガで油彩画のように、

アーティステックに描いていらっしゃるのでしょうか。

現代アートの作品を見ているような、何とも言えない味わいがあります。

いいものを見させていただきました!厳先生ありがとうございます!!!

森脇先生へ


>読みきりの時の『ムラサキ』は600で描かれていたんですよね? あれも、新連載研究会で騒然となった3ページ見開きとかありましたけど、どこからあの画面と発想が出てくるんでしょう?


読み切りの時は600で描いてました。見開きのページはグレーで描いてましたが、筆が重くてあんまりこういう描き方はできないかなと思ってましたが、今は350ドーピングでああいうのがいけるようになりました。発想は偶然降りてくることが多いです(笑)



なるほど、結果として350で描いたことが今の作品の良さに繋がるという、先ほどのお話どおりの事なわけですね。結果オーライ!
そして、地由さんへのお答えとしてあげていただいたネームや作画過程は本当に素晴らしくて勉強になりますありがとうございます。

発想はひらめき、というのは確かにありますよね。

大分オーバーしてしまいましたが、本日はここで締めようと思います。
分量的にも次のエピソードに移りましょうか。
厳男子先生、明日もよろしくお願いいたします。
おつかれさまでした!明日もよろしくお願いします!
以降の質問や、回答へのコメントなどは次のエピソードでお願い致します。

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登場人物紹介

森脇かみん


漫画家。『東京ネームタンク』ネーム相談講師。


web、アプリ漫画「サイコミ」にて医療漫画「サブカルメディカル」でデビュー、連載。

連載終了後は企業案件漫画など。その他、漫画連載を企画中。

某医大医学部を中退し、漫画家になるため上京した過去を持つ。

医療知識があるので、その方面の質問に応えることもある程度可能。

日本シャーロック・ホームズ・クラブに所属する程度にミステリ好き。

厳男子(きびだんご)


漫画家。

LINEマンガオリジナルにて高校生が創作ダンスをやる漫画

『ムラサキ』連載中。


大学時代は油絵を勉強していた。しかし油絵の制作よりもダンスと格ゲーにハマっていた。

現在は茨城の田舎でたまに農業をやりながら漫画を鋭意制作中。

趣味は読書、瞑想、自転車、写真、格ゲー動画鑑賞。

ハマった漫画を繰り返し何度も何度も読んでしまうタイプ。

『シグルイ』、『ガラスの仮面』、『ジョジョの奇妙な冒険』をループした数は全国10指に入ると勝手に思っている。

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